北村汎の発言 (内閣委員会在外公館に関する小委員会)

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○北村(汎)政府委員 第一回の在外公館小委員会の開催に当たりまして、本小委員会の設立と本日開催のために大変御尽力をいただきました深谷小委員長並びに小委員の先生方に深く感謝を申し上げますとともに、深谷小委員長よりお話のございました在外公館の直面する主要問題につきまして御説明を申し上げまして、本小委員会の小委員の皆様方の御理解と御支援を得たいと考えるものでございます。
 戦後四十年の歳月を経まして、我が国は自由世界第二の経済大国としての地歩を築き上げたわけでございますが、我が国の国力の増大に伴いまして、我が国の国際的役割は著しく増大しております。そうして、これを果たすための外交に課せられました使命と負担というものはいよいよ重くなってきております。また、我が国といたしましては、ますます厳しさを加える国際情勢の中で、国力にふさわしい責任を果たすことによりまして国益を増進するとともに、世界の平和と繁栄のために貢献していく必要があると思います。
 在外公館は、このような外交の場でございます、言うなれば外交活動の第一線にあって、相手国政府との交渉、情報の収集、対日理解促進のための広報文化活動、さらには邦人の保護などの重大な任務を果たしておる拠点でございます。
 ところが、在外公館の半数以上は、自然条件、衛生状態、生活環境、治安状況、さらに子弟の教育事情等の厳しい地域に存在しております。特に、多くの任国におきましては、電気、水道、住宅等のインフラストラクチュア、それから治安及び経済事情の悪化によりまして、在外公館員は最低限の生活の維持自体に多大の労力と時間、それに経済的負担を強いられております。そうして、これら地域に勤務する職員がその期待される外交活動を遂行するためには、まず、基本的に必要な条件の確保が大前提になると思います。
 このような厳しい条件のもとに勤務する職員にとりまして、最近議員先生の間で、在外公館の直面する問題に対する御理解と御支援が高まっていることは、私どもにとりまして大変大きな心の支えになっております。その意味から、本日、このように第一回の在外公館小委員会が開催されますことは、これらの職員にとりましてはまことに喜ばしいニュースでありまして、必ずや在外の諸君は大きな喜びと期待を持ってこのニュースを聞くものと確信しております。
 以下、在外公館の抑える主要問題につきまして御説明を申し上げたいと思います。
 まず、在外公館の活動を制約する最も大きな要素はやはり定員の問題でございます。
 外務省の定員は、先生方及び各方面の御理解を得まして徐々に改善されてはきております。現在、三千七百九十五名という定員を持っております。私ども、十年ぐらい前に、外務省の定員を早く富士山の高さぐらいにしなければいかぬ。富士山の高さは三千七百七十六メートルでございます。三千七百七十六メートルと同じ数の定員を早く確保したいということで努めてきたわけで、やっとこの三千七百九十五で、富士山の高さには達したわけでございますけれども、まだまだ米国の四分の一、英国の五分の二、フランスの半分強、それから西独、イタリアにも大きく劣っております。インドですら、私どもより一千百名以上多い四千八百七十七という定員を持っております。こういう各国の定員に比べましても大幅に下回っておりまして、なお十分な体制とは言いがたいものでございます。
 このため外務省は、定員を昭和六十年度までに五千名に拡大するということを目標とした定員拡充計画を作成いたしまして、毎年の予算要求においても定員の拡充を最重点事項として、その実現のために努力してきたわけでございますが、現下の行財政事情のもとでは当初の計画どおりにはまいりません。その達成は困難でございます。しかし、時間的に多少おくれることはございましても、目標自体は変わらないわけでございまして、今後とも各方面の御理解と御協力を得ながら、速やかに外交実施体制の強化を図ってまいりたいと思っております。
 在外公館の定員増強の重点分野は、何と申しましても小規模公館の拡充でございます。現在七名以下の小規模公館が全体の約四割を占めております。館長以下、電信、会計に至るまで七名以下で構成されております公館でございます。こういう小規模公館におきましては、例えば一人の館員が政治関係と経済関係を一人で担当するとか、あるいは十分な活動は期待し得ない状況のもとで働いております。世界の中で我が国を代表する在外公館の陣容といたしましては、やはり少なくとも政務、経済、領事事務等についてはおのおの一名の担当官は必要であると思います。そこで、私どもは、最低限度の規模の公館はやはり八名が必要であるというふうに考えます。その八名とは、大使いわゆる館長でございますが、それにその館長を補佐する館長補佐及び政治関係を兼務いたす者が一人、経済及び経済協力を担当する者が一人、広報・文化関係を担当する者が一人、領事関係一人、文書・電信が一人、会計・庶務が一人、警備が一人。以上で八名になるわけでございますが、少なくともこの八名はそろえて、これが最小限の規模であるというふうに考えております。ところが、この八名に達しない七名以下の公館が約四割というのが現状でございます。もっとも、昭和五十五年度におきまして八十五公館ございました小規模公館は、五十九年度には六十九の公館に減少しております。しかし、今後とも引き続き小規模公館の拡充強化に努める必要があると考えております。
 さらに、外務省といたしましては定員不足を補うために、特定の地域または分野にお意ましてそういう知識と経験の豊富な者を広域担当官といたしまして、これらを地域ごとに拠点となる公館に配置いたしまして、その分野についてその地域を広域的に活動させることによりまして在外公館機能の強化を図る制度、いわゆる広域担当官制度というものを実施しております。さらに、民間の人材と能力を機動的に活用することによりまして、在外公館における調査、分析の仕事を補充いたしまして、もって外交機能の強化を図る専門調査員制度、これらも拡充をいたしております。こういうような制度の拡充を通じまして、在外公館の情報収集・分析を初めとするいろいろな機能の強化を図っていきたいと考えております。
 次に、在外公館施設、すなわち事務所とか大使の公邸あるいは館員の宿舎、そういう施設の整備拡充の問題について述べたいと思います。
 在外公館の事務所、公邸は、任国における我が国の存在と任国とのつながりの強さ、我が国の国威等を体現するものでございまして、任国の官民あるいは在留邦人などに大きな心理的な効果を与えるものであるということから、しかるべき威容を有し、また永続性を印象づけるものであることが必要であると考えております。
 また、在外公館施設は、秘密保全、それから通信、警備、社交等の外交活動に特有の機能を充足する必要がございます。在外職員の宿舎につきましても、自宅で設宴をいたして任国の官民の連中と意見交換する、そういう外交活動の遂行に役立ち、かつ他国の外交官に比べても劣らないものを確保する必要があると考えます。
 しかるに、これらの在外公館施設の整備拡充に充てるべき在外営繕予算というものは、過去十年間ほぼ据え置きとなってきております。ここ数年間は、サウジアラビアあるいは米国、ソ連等で公邸、事務所等の大型案件を抱えておりますために、新しい施設の取得というものが非常に困難な状況になっております。また、これらの施設の修繕費も極めて逼迫した状態でございます。全世界の施設に対して、今年度全部で五億円という予算でございます。
 このような事態を改善をいたし、在外公館施設の整備拡充を進めてまいりますためには、一般会計の営繕予算の大幅な増額を図る必要がございます。
 続いて、不健康地対策について申し述べたいと思います。
 在外職員の多くが、厳しい生活環境の中で、職務以前の生活の維持に多大の負担を強いられておるということはさきに述べたとおりでございますが、できる限りこの生活面での不安に脅かされることなく、高い士気を持って外交活動に専心できるようにいろいろな対策を充実させていきたいと考えております。
 外務省といたしまして緊急に改善の要ありと考えておりますのは、電気、水などの自給化を含めて基本的な生活条件を整備するインフラ対策、それから官費で借り上げたものあるいは国有の宿舎の拡充を中心とする住宅対策、それからアフリカ・中近東地域に重点を置きながら、医務官、お医者さんですが、医務官を配置する計画を拡充していくということでございます。そういうことによる医療対策。さらには警備担当官の派遣をふやす、あるいは委託警備員、いわゆるガードマンでございますが、その拡充を図るということによって、警備施設、機材の整備を進めるなどの警備防犯対策というものがございます。これらがいろいろ早急に進めなければならない事項でございます。
 最後に、在外邦人の最大の悩みの一つでございます海外子女教育に係る問題につきまして御説明させていただきたいと思います。
 現在、海外の子女数は三万六千二百二十三人に上っておりますが、このうち、全世界に七十六校ある日本人学校に通学する者は四三%にすぎません。日本人学校は著しい不足を来しておるのが実情でございます。また、既に設置されております日本人学校についても、教員の確保が困難であること、校舎など施設設備が非常に劣悪なることなど、改善を要する点が多々あるのが実情でございます。
 在外邦人がそれぞれの活動に専念でき、また同伴しております子女が日本国民として健全に育成されていくためにも、今後とも毎年日本人学校を新設していくということが必要であるというふうに思います。海外子女教育の一層の拡充を図っていく必要を痛感いたす次第でございます。
 他方、当省の、外務省の在外勤務者にとりましても、子女教育問題というものは重大な問題でございます。現地における外国人学校の授業料などは極めて高額でございます。これらの学校に通学させざるを得ない土地に勤務する在外職員の生活は、このために圧迫されているのが実情でございます。
 在外職員の子女が、外国において教育を受けるという事情のために、こうむる各種のハンディキャップの中で、できるだけ国内の子女と同水準の教育を受けられるように、またそれに伴う職員の負担を軽減するために、子女教育手当の改善が必要であると考えます。
 私、まだなりたての官房長でございますが、先ほども申し上げましたように、在外公館は第一線外交の拠点でございます。この拠点をできるだけ整備拡充して、これからますますその厳しさを加える国際情勢の中で有効な外交活動ができるようにしていかなければならないと痛感いたしております。
 こういうようなときに、深谷小委員長を初め各小委員の方々が、私ども外務省の本当の台所事情を聞いてやろう、こういうことで本日の在外公館小委員会を開催していただきましたことは、本当に私どもにとりましてありがたいことであります。省員一同が感謝をいたしております。何とぞ皆様の御理解と御支援を得まして、在外公館の人員、施設、活動、そういうものを強化できますように念願する次第でございます。
 以上申し述べました諸点につきまして、御疑問の点あるいは御示唆などがあれば、以後御指摘をいただきたいと思います。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 北村汎

speaker_id: 21742

日付: 1984-08-07

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会在外公館に関する小委員会