松本善明の発言 (本会議)

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○松本善明君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、ロンドン・サミット帰国報告について質問いたします。
 総理は、昨年、新型中距離核ミサイル配備の強行を決めた軍拡サミットを積極的に推進する役割を果たしました。あなたは、このことについて昨日参議院で、核戦力の削減のためだと答弁をいたしました。しかし今回、イギリスの国際戦略研究所の演説では、昨年のサミットの合意に基づいたアメリカのパーシングⅡ、巡航ミサイルの実戦配備を当面の対ソ対応策の一石は打たれたと述べて、アメリカの核戦力の増強を高く評価をしたのであります。イギリスでは新型核戦力配備の増強を褒めながら、日本では核兵器の削減のためにやったと答弁する。総理、これで国民が納得をすると思いますか。一体どういうことか、はっきり答弁をしていただきたいと思います。(拍手)
 また総理は、昨日も本日も、核兵器廃絶について究極的な目標だという答弁をいたしました。しかし二年前、国連軍縮特別総会を前にして、本院は核兵器の廃絶について、原案にあった究極的という言葉を削って、今日の緊急の課題とする決議を行いました。これが国会の意思であります。また、このとき、国連に提出された核兵器廃絶を求める署名は二千八百万に上っております。
 総理は、世界でただ一つの被爆国の首相として、国権の最高機関である国会が決議し、圧倒的多数の国民が望んでいる核兵器の廃絶をなぜ真正面から緊急の課題として全世界に訴えないのですか。明確な答弁を要求いたします。(拍手)
 総理は、昨日、事前協議がないから核兵器は持っていないと、核トマホーク積載可能の原潜タニーの入港を追認する答弁を行いました。本日この趣旨の外相答弁に失笑が沸いたように、もはやこんな理屈を信用する人はいないと言っても過言ではありません。今国会、総理は、我が党の不破委員長の戦艦ニュージャージーに関する質問に対して、核兵器のあるなしを確認すると言明したではありませんか。総理、核巡航ミサイル・トマホークの配備、日本への持ち込みは、日本が公然と核基地となって核戦争の戦場になるかどうかという重大な問題であります。私は、非核の確認を重ねて要求し、答弁を求めます。(拍手)
 総理は、昨日も本日も抑止と均衡論を述べられましたが、これは既に破綻の明白な理論であります。現にストックホルム国際平和研究所の最近のまとめでも、現在の米ソの核軍拡競争によって世界の核兵器は五万発に達しており、サミット合意などに基づく新たな配備によって六万発に増大すると指摘しております。だからこそ、一九七八年の第一回国連軍縮特別総会の最終文書が、永続する国際の平和と安全は不安定な抑止力の均衡によって支えられるものではないと述べ、八〇年の第三十五回国連総会に対する国連事務総長報告では、抑止と均衡は恐らく現存する最も危険な集団的誤謬とまで言っているのであります。
 総理、この抑止と均衡論こそが、米ソの際限のない核軍拡競争を生んでいる論理であります。あなたは、この悪循環を断ち切ることこそが必要だとは思いませんか。答弁を求めます。
 さらに、総理は戦略研究所での演説で重大発言を行っております。あなたは自衛隊について、その目的と性格を自国の防衛のみに限ることといたしましたが、その後、防衛力を漸進的に建設していくことによって極東の平和及び安定の維持に寄与することとしたのでありますと述べております。これは、政府のこれまで言ってきた専守防衛という自衛隊の性格を転換し、自衛隊がアメリカの極東戦略への積極的協力に踏み出したという重大な問題であります。総理の真意を明確にしていただきたいと思います。
 次に、民主主義の諸価値に関する宣言について質問をいたします。
 総理、これほど欺瞞に満ちたものはありません。この宣言は、各国の独立及び領土保全の尊重、紛争を解決する手段としての武力行使の拒否をうたっています。ところが、アメリカ政府は、人口十一万人の小国グレナダに一万六千人もの軍隊を動員して軍事占領し、今なお軍隊の駐留を続けております。また、ニカラグアに対して、機雷封鎖を初めとした軍事干渉を直接間接に行っています。国際司法裁判所は、この機雷封鎖の事実を認め、解除するよう求めた裁定を下しておりますが、こういう事実と民主主義宣言の原則とは両立する余地があるのでありましょうか。総理の明確な答弁を求めます。
 次に、宣言は社会正義をうたっておりますが、現職の総理が外国の企業から五億円という巨額のわいろを受け取り、本人はこれを否認しているけれども、贈った側は皆この授受を認め、有罪実刑の判決まで受けている、しかもなお政界に大きな影響力を振るっている。そして、国会でこの田中角榮議員辞職勧告決議案の採決さえしないという事態を総理は社会正義に合致していると考えているのですか。はっきりお答えいただきたいと思います。(拍手)
 市民の権利、自由の公平な尊重、保護、自由な選挙を通ずる自由な選択をうたった宣言と、総理の推進しようとしている政党法の関係について質問いたします。
 まず、総理が研究の対象としてかねがね主張している西ドイツでは、国家基本法と政党法で結社の自由を制限したり剥奪したりすることができ、団体や政党、その代替組織は解散までさせられます。実際、一九五六年のドイツ共産党解散に続いて、平和委員会や国際民主法律家協会など四百の平和・民主団体が解散させられ、これらの運動に関与していた大学教授や牧師まで免職、起訴されました。そして徴兵制、核武装が進められ、社会民主党も徴兵制、核武装反対を大会決議からおろしてしまったのであります。同様のことやもっとひどいことが政党法のある韓国、チリ、トルコでは行われております。
 総理、こうした状態は、市民の権利と自由の尊重、自由な選挙と合致いたしますか。総理の見解を伺いたいと思います。
 政党法についてでありますが、自民党は、政治倫理協議会で、政治倫理の確立どころか政党法の制定を公式に主張し、税金で政党への補助金を出すために政党を法的に公認することを主張しております。政党を法的に公認するということは、政党を公認された政党と非公認の政党に分けることです。そして膨大な補助金を公認政党に出すことによって差別するわけですが、このような差別が行われることになれば、政治活動のやり方や選挙参加にこれが広げられ、さらには、総理が盛んに口にする西ドイツのように、政党禁止に道を開くことになるでありましょう。
 現に自由新報は、弘津恭輔氏の法律によって結社の自由を奪うことができるという議論を掲載しております。まさに明治憲法が言論、集会、結社の自由を法律の範囲内に限定し、治安維持法によってこれらを根こそぎ奪ったと同じ論理が堂々と自由民主党の機関紙で論じられているのであります。これは、サミットで宣言された自由、民主主義と相入れないのは明瞭ではありませんか。総理の所見を伺いたいと思います。
 総理、あなたは本日民主主義の価値に関する宣言の意義についていろいろ述べられましたが、昨日は、これについての質問に対し、プロレタリア独裁に反対するためのものと答弁をいたしました。これは、総理がこの宣言を実は社会主義反対のためのものとみなしているという本音が出たものだと私は思います。
 なお、この際一言述べておきますが、プロレタリア独裁というのは、労働者階級の権力ということの不正確な訳語であることを我が党は十二年前の大会で明らかにしております。さらに我が党は、党大会の自由と民主主義の宣言で、日本の将来にわたり言論、集会、結社の自由、複数政党制の保障などを明確にしており、これは議会制民主主義を一層発展させるものであることは明白であります。
 経済問題について伺います。
 総理は、高金利問題で、国際的な高金利の引き下げは各国の財政赤字削減努力で行うことを決めたと答弁をしています。各国みんなで努力するなどと聞こえはよいけれども、これでは、八千億ドルを超える累積債務問題の原因ともなり、また超軍拡政策による膨大な赤字財政と結びついたアメリカの高金利政策に免罪符を与えることになるではありませんか。総理の答弁を求めます。
 宣言が社会保障費の削減を意図し、公共支出の増大に懸念を表明したことも重大であります。これは、軍拡のための福祉切り捨てを要求するアメリカの主張が貫かれ、各国で軍拡優先、国民生活犠牲の路線をさらに一層進めることの表明にほかなりません。我が国では、既に臨調行革の名のもとにその政策が進められ、国民生活はもはや耐えがたいものになっております。今国会に提出されている健康保険の大改悪はその具体的なあらわれであります。にもかかわらず、大蔵省からは、軍拡、大企業奉仕を聖域とし、福祉、教育の切り捨てを進める来年度予算のマイナスシーリングが発表をされ、自民党内からも批判が起こっております。
 総理、あなたは、サミットの国際的権威をかりて、このような軍拡と国民犠牲の政策を引き続き進めていくつもりなのか。明確な答弁を要求をいたします。(拍手)
 この際、緊急の問題として、米問題について質問いたします。
 何よりもまず、米不足と緊急輸入という今回の事態を招いた政府の責任をどうとるのか。昨日、また本日も、政府は、五十三年産米に起因する限られた問題で食糧米に不安はないと答弁しましたが、東京や大阪の知事などは、米の供給に深刻な不安を感じていることを農林水産大臣に申し入れております。根拠を挙げて、責任ある答弁を求めます。
 今必要なことは、古米の安全性確保とともに、現物返還だなどとごまかさずに、緊急輸入を撤回をして、今年産米の緊急増産や早場米の集荷促進を図ることであります。そして、減反政策をやめるなど米政策の抜本的見直しをすることではありませんか。総理並びに農林水産大臣の責任ある答弁を求めます。
 最後に、国際平和のためにも、諸国民の生活向上のためにも、軍縮、核兵器全面禁止、すべての軍事同盟の解消、諸民族の自決権の尊重が必要なことを強く指摘をして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕

発言情報

speech_id: 110105254X03019840619_021

発言者: 松本善明

speaker_id: 33168

日付: 1984-06-19

院: 衆議院

会議名: 本会議