松浦利尚の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○松浦利尚君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました昭和五十九年度補正予算三案に反対の討論を行います。(拍手)
 第一は、余りにも見え透いた黒字隠しが行われているからであります。
 政府は、租税二千三百九十億円プラス補正としていますが、しかし、五十八年度はマイナス四千百三十億円の補正であったにもかかわらず、決算は四千五百六十億円の黒字になったこと、さらには、五十九年度は五十八年度より景気回復が進んでいることを考え合わせますと、酒税の減収を埋めてもなお低過ぎる数字と言わなければなりません。景気は、五十八年二月を底として三月以降は順調に回復し、今日依然として拡大基調が続いているのであります。租税弾性値を見ますと、五十八年度は、政府が固定化し絶対化している一・一を超えて一・四となっています。明らかに経済の様相が変わってきているのであります。法人企業統計を見ましても、五十七年度までは前年同月比がマイナスという状態が見られましたが、五十八年度は営業利益で一〇%、経常利益で二〇%の伸びを示しています。
 こうした景気を反映して、大蔵省が今年一月に発表した昨年四月から十一月までの法人税収の伸びは、順調に推移しています。多くの企業が決算期を迎える三月には、かなり好成績が予想されております。法人税収の伸びは二けたを持続するというのが常識的な見方ではないでしょうか。本補正予算の数字は過小評価と言わざるを得ません。私の試算によりますと、補正後の五十九年度決算で黒字幅は四千億から五千億近く出るだろうと想定いたします。政府は、財政赤字を軽減することにのみ集中いたしまして、我が国経済の現況を見る目を失っているのではないでしょうか。木を見て森を見ざる誤りを犯しているのではないでしょうか。
 反対理由の第二は、ダイナミックな内需振興策、拡大政策を著しく欠いているということであります。
 我が党は、内需に依存する建設業、消費関連企業等を中心に、企業倒産が年間二万件にも上っているという事態を深く憂慮いたしております。全般的な景気の回復と、これら内需関係の特に中小企業の不況現象は、単に経済の光と影の関係として見過ごすことはできません。政府の血の通わない経済政策の痛ましい犠牲であります。公共事業への投資が経済に与える効果として、冬目公共投資を一兆円追加をしますと、乗数効果が一年目で一・二七、二年目で二・二五、三年目には二・七二になることが明らかにされています。税の自然増収も、一年目は二千億円弱、三年目には七千六百億円になります。このことを明らかにしているのは経済企画庁の経済研究所であります。なぜこの研究成果を政策に取り入れようとはしないのでしょうか。
 反対理由の第三は、貿易摩擦に対して政策的対応がなきに等しいという点であります。
 昨年一年間の米国から見た対日貿易赤字は、実に三百六十八億ドルに達したということであります。これは前年の一・七倍にもなります。日米間を中心とする貿易摩擦が解消の方向になく増大の方向にあることは、日本政府が内需拡大に積極的に取り組もうとしなかった結果であります。内需が動かないため、貯蓄超過、長期資本の海外流出現象をも生んでおるのであります。また、いわゆる民間活力を生かしたいと政府は盛んに主張いたしておりますが、資本の運用益が保証されていないところに民間活力が動くはずはありません。その意味でも、本補正予算案は策のないものと言わざるを得ません。
 反対理由の第四は、人事院勧告を不当に値切ったという点であります。
 人勧は、単に国家公務員の給与をふやすという意味だけのものではありません。民間企業の賃金決定に明らかに影響を与え、ひいては勤労者世帯がより多く可処分所得を得て、これまた内需拡大にも結びつくと思われることは言うをまちません。
 以上、反対の理由を幾つか述べましたが、補正後の五十九年度決算で大幅な黒字が出たとき、政府は、倒産、失業、生活苦などに懸命に耐えながら必死で働き必死に生き続けておる国民に対して、何と説明をするのでしょうか。我が党は、その説明なり釈明なりを聞きただす権利を留保いたしまして、反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 110205254X00919850209_008

発言者: 松浦利尚

speaker_id: 15921

日付: 1985-02-09

院: 衆議院

会議名: 本会議