立木洋の発言 (本会議)
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○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十九年度決算に関連し、総理並びに関係閣僚に質問します。
冒頭にただしたいことは、総理は円高対策を講ずるために臨時国会を早期に召集する意向だと伝えられていることであります。
これは口実にすぎず、実は臨時国会で衆議院を解散し、総理自身の党利党略に基づく衆参同時選挙を強行するためであることは衆目の一致するところであります。自民党政府自身が、国民の苦しみのもとになっている円高をつくり出し、しかもそれをみずからの党利党略に利用するなどということは断じて許されないことであります。総理は、この演壇で、憲法の二院制度の精神に反する衆参同時愚挙は行わないと明言すべきではありませんか。
今日重大化している急激な円高に至った責任の所在と円高対策について、次に質問をいたします。
言うまでなく、アメリカの財政赤字や貿易赤字の最大の原因は、レーガンの大軍拡や多国籍企業の海外活動など、アメリカ自身の問題にあることは明白であります。このことを総理はアメリカに率直に指摘をすべきであります。アメリカみずからの政策の誤りやそのために生じた困難に対して日本が責任を負う必要は毫もありません。今、中小企業や産地は、当面せめて二百円に戻してくれと痛切に訴えております。政府はこの当然な要求にこたえ、円高を是正する毅然とした態度を内外に公にし、対外的にも必要な措置を求めるべきであります。答弁を求めます。
政府は、昨年九月以来、アメリカのドル高是正策を積極的に促進してきました。レーガンの、円高は貿易収支調整に役立っているとの主張を受け入れ、一方的に我が国の輸入拡大や農業、中小企業、石炭産業などの切り捨てを進める産業構造調整を約束し、サミットでは我が国への内政干渉を認める相互監視機構の設置までが合意されました。総理や蔵相は、今日、行き過ぎだとか緊急事態などと述べていますが、これまでレーガンの言いなりになってきて生じたこの円高の責任についてどう考えているのでしょうか。アメリカ経済の責任を他国に転嫁するレーガンに追随するのではなく、輸入大国化や産業調整の対米公約、相互監視機構の設置合意はすべて破棄するよう求めます。
また、膨大な貿易黒字を招いた大企業による輸出ラッシュについていえば、トヨタ、松下など、この五年間に二倍に輸出を伸ばしてきました。その根源には、低賃金、長時間超過密労働、下請中小企業の締めつけがあることは周知のとおりであります。抜本対策は大企業のこの横暴を規制することであります。少なくとも労働時間短縮、賃上げ、下請工賃引き上げ、減税など真の内需拡大にすぐ着手すべきではありませんか。答弁を求めます。
次に、中小企業対策についてであります。
中小企業への緊急融資については、政府にやる気さえあれば、利子補給によって産地中小企業への融資は激甚災害並みの金利三%を適用できるではありませんか。しかもこれに要する経費は六十億円、日立製作所一社への補助金七十億円にも満たない額であります。直ちに実施するかどうか明確にしていただきたい。
さらに、円高差益の還元の問題ですが、今回、通産省の認可した電力、ガス料金の引き下げは余りにも企業寄りのものであります。それは、現状を無視した為替レートや原油価格の見直しという点でも、算定基準を前回認可時ではなく八四年度に置いたことでも、全額消費者に返すべき差益であるにもかかわらず三分の一を電力、ガス会社の利益として留保したことでも極めて不当であります。公正な試算をすれば、さらに一兆円以上の国民への還元が可能であります。私は、政府に再検討を強く求めるものであります。
次に、漁業の問題です。
二百海里時代が十年目を迎えた今日、とりわけ我が国の北洋漁業は深刻な苦境に陥っております。これは、政府が根本的対策を怠り、資源の乱獲、浪費の体質を改める施策を実施せず、ただ既得権の確保にのみきゅうきゅうとしてきた結果であります。特に中小漁業者、沿岸漁民の安定した操業の育成を怠ったことは重大であり、大手水産会社本位、遠洋漁業優先の漁業政策、対米追随外交、対ソ非友好的外交を改めるべきであります。政府は、速やかに二百海里時代に対応できる我が国の漁業政策を確立し、必要な対外措置を講ずべきであり、当面、既に出漁予定日を過ぎた日ソサケ・マス交渉の早期妥結を図るべきであります。また、一月以降の交渉遅延や今次交渉結果生じた事態についても、政府の責任において漁業・水産関係者に完全補償することを求めます。
次に、金権腐敗の一掃について伺います。
ロッキード裁判の二審でも佐藤孝行、橋本登美三郎両被告に有罪判決が下され、判決は被告に対して、自己の非を全く省みない態度に終始しているとさえ指弾し、二階堂進、加藤六月両議員にも金が渡されたこと及びそのわいろ性も明白としています。ロッキード疑獄の真相究明と政治的道義的責任の明確化のために政府・自民党は一体どんな自浄能力を発揮したというのでしょうか。田中議員辞職勧告決議をあくまで拒否し、証人喚問を棚上げしたまま航空機調査特別委員会も解散しました。総理、あなたが本当に有終の美を飾りたいのであれば、わいろを受け取ったことの明らかなこれらの議員に対して毅然として辞職を迫るべきであります。
撚糸工連汚職についても同様であります。改めて言うまでもなく、この事件は、構造不況にあえぐ中小繊維業者の弱みにつけ込んでわいろを受け取るという政治家として恥ずべき行為であります。総理、あなたは、この事件についても、稻村佐近四郎議員が自民党を離党すればそれで責任を免れたとお考えなのでしょうか。
マルコス疑惑についても、その解明はほとんど進んでおりません。その原因が政府・自民党にあることは全く明らかであります。フィリピンに対する借款について、個別企業の契約内容を示す資料を国会に提出し、関係者の証人喚問を行うことが真相の究明を進めるかぎであることは明白ではおりませんか。フィリピン政府自身が協力を明言しているのに、なぜ日本政府がそれを渋るのでしょうか。私は資料提出と証人喚問の実行を強く要求するものであります。
マルコス疑惑は、我が国の対外経済協力が関係企業の悪徳商法と結びつき、マルコス独裁政権延命に利用されていたことを示すものであり、我が国の対外経済協力のあり方の根本的見直しを迫っております。我が国の対外経済協力について、経済協力計画や実施状況など、国会での審議制度も含めてその抜本的改善を行うべきだと思いますが、総理の見解を明らかにされたい。
最後に、今日、人類にとって緊急の課題である核兵器廃絶についてであります。
本年一月のソ連の核兵器廃絶の提案に見られるように、核兵器廃絶の課題が国際政治の日程に登場し、核兵器廃絶を求める世界の世論がますます高まっているとき、東京サミットの宣言が、日本国民の願いと世界の核兵器廃絶の世論に背を向けたことは極めて重大であります。これは核兵器廃絶のゴルバチョフ提案を棚上げしたレーガン米大統領の態度を評価するという合意に端的に示されています。総理が核兵器廃絶を口にされるのなら、世界で唯一の被爆国で開いたサミットでなぜ堂々と主張しなかったのですか。
以上、責任ある答弁、見解を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕