川崎寛治の発言 (本会議)
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○川崎寛治君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいまの宮澤大蔵大臣の財政演説に対し、中曽根首相初め関係閣僚に質問いたします。
今日の急激な円高不況は、決して経済の自然な摂理で起こった現象ではありません。日米間の貿易不均衡を是正するという名目で、人為的に誘導されたものであります。日本政府は円高誘導を受け入れることで不況を招来し、輸出企業に大打撃を与え、新日鉄や川崎製鉄なども一時休業に追い込まれたのでありますから、まさに円高不況は人災と言わざるを得ないのであります。
昨年のG5当時、竹下大蔵大臣とともに交渉に当たった大蔵省の大場財務官は、為替調整の目標は一ドル二百円だったと言っております。しかし、二百円を超す段階においても、中曽根首相、竹下大蔵大臣、澄田日銀総裁らは円高を歓迎し、適時適切な対策を立てなかった責任は極めて大きいと言わざるを得ないのであります。(拍手)中曽根首相の楽観的な円高景気のシナリオは、どこに消え去ったのでありましょうか。ただロンさんについていけばよいというお考えだったのでしょうか。明快なお答えをいただきたいのであります。大蔵大臣にも答弁を求めます。
当然、アメリカ側は貿易赤字、財政赤字を減らす約束であったはずですが、減るどころか、一九八六年度の財政赤字は史上最高の二千二百億ドルを超してしまいました。先般の宮澤・ベーカー会談、一連の国際会議でどのように話し合われたかを明らかにしていただきたいのであります。つい先般の衆参予算委員会においては、澄田、三重野の日銀正副総裁は、金余り現象の今日、公定歩合を動かすべきではないと答弁したのでありますが、あすから公定歩合を下げることになりました。今日、金融緩和による景気対策には限界があると思うのでありますが、大蔵大臣はいかがお考えになりますか。
財政演説では、緊急避難を宮澤色として強調しておられますが、この補正予算案では、年内執行にも限界があり、大きな波及効果は期待できないのであります。近藤経企庁長官は、去る二十三日の衆議院物価対策特別委員会で二・七%成長と述べ、また、民間機関の見通しも、総合対策を織り込んでなおかつ二・五%前後の見通しであります。宮澤大蔵大臣は九月のIMF・世銀総会で四%成長を公約しましたが、その達成はますます困難な情勢であります。あなたが述べておられる円高不況対策のための十八カ月予算の構想を明らかにしていただきたいのであります。
完全失業者百七十万は、日本の歴史上初めてのことであります。急激な円高で生産活動が落ち込み、求人の減少、失業者の増加が見られ、輸出比率の高い産地や石炭、鉄鋼、造船、非鉄金属、海運などの構造不況業種を中心に、雇用情勢の悪化は深刻になっております。北海道の室蘭等においては求人倍率〇・一という状況であります。地域的には北海道、東北、九州の落ち込みが激しいのであります。中曽根内閣の抜本的な雇用失業対策を求めますとともに、補正予算執行に当たっては、これらの特定地域、産業に対する施策を重点的に行うよう総理、大蔵大臣に強く要望いたします。
総理は、海外直接投資を促進してまいりました。ハイテク産業の海外進出に伴い部品工場も進出しますが、生産性の高い中小企業が進出し、二次、三次の残らざるを得なかった下請零細企業は廃業に追い込まれております。アメリカ同様、産業の空洞化はゆゆしき問題となってまいっておりますが、中曽根首相の見解を伺いたいのであります。
円高不況による倒産、失業の増大を防ぐためには、内需拡大を目指す積極的な経済政策が不可欠であります。特に重要なのは財政面の積極政策ですが、今回の補正予算案のような緊急避難的な一時しのぎの対応では効果に疑問があり、将来に禍根を残すことは火を見るよりも明らかであります。一〇〇%実現不可能な六十五年度赤字公債発行ゼロのにしきの御旗、いや、今ではぼろぼろのござののぼりに縛られて、財政は機能を失い、経済はゆがめられております。この機会に行政改革と財政再建の取り組み方を根本的に再検討し、経済政策の転換を図るべきであります。中曽根首相の見解を伺います。
次に、税制改革についてお尋ねをいたします。
当初予算で野党が一致して要求しておりました二兆三千四百億円の所得税減税を実施をしておりましたならば、今日のような不況に追い込まれることはなかったでありましょう。減税について与野党の政策担当者の努力が続けられておりますが、議会制度信頼の根幹の問題であります。中曽根首相は、与党の総裁として誠実に実行することを求めます。
政府税調の答申は大型間接税の導入を提起しております。中曽根首相は、大型間接税は導入しないことを選挙で公約されました。自民党税調が審議に入ったようでありますが、どのような結論が出ようが、男子の一言金鉄よりもかたし、あなたは、この本会議場から国民の皆さんに向かって、大型間接税は導入しないことを弁明なしに約束していただきたいのであります。(拍手)答申では不公平は解消されませんし、マル優廃止はマイナスが大きいと言わざるを得ません。(発言する者あり)シャウプ税制以来三十五年に一度の大改革と言われております。小倉税制調査会長は「国民、政府・与党がどういう考え方なのか全くわからない。我々は無視されている。まだ国民の声を十分聞いていないので、選択肢のある成案を一応出した」と記者会見で述べておられます。
政府は、税制改革の具体的な青写真とスケジュールを示すべきであります。その上で、中曽根首相は国会を解散をして国民の信を問うべきであります。多数横暴は絶対に許されません。フランス、ドイツ、イギリス等では、付加価値税を導入するのに数十年の歳月をかけているのであります。
今回の補正予算編成に伴って、地方財政は重大な圧迫を受けております。
第一には、総合経済対策三兆六千億円の中でその二割は地方の単独事業として押しつけられていますが、地方財政の実態からして消化は無理と思われます。これは年度当初の計画を超えての単独事業であるだけに、別途の対応を具体的に示すべきであります。
第二には、地方交付税が四千五百二億円減額され、その穴埋めに交付税特会で借り入れをすることになりました。交付税特会の借り入れは五十七年以降やらないことになっております。今回申し合わせを破ったのはなぜか、異例の措置はやるべきでないことを強く要求いたします。
第三には、今年度当初予算で、地方団体への補助金、負担金一兆一千七百億円のカットに際し、三年間の暫定措置として、この間は国、地方の財政上の重要な変更は行わない旨の大蔵、自治両大臣の覚書が交わされております。しかるに……