草野威の発言 (本会議)

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○草野威君 私は、公明党・国民会議を代表して、昭和六十一年度補正予算案を中心に、政府の経済、財政運営について、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 我が国経済は、今、国内的にも対外的にも内需の拡大が至上課題となっております。すなわち、対外経済摩擦の拡大が懸念され、また、国内的には著しい円高の影響が産業全般へ広がり、円高不況の様相が強くなっております。中小企業の円高倒産は増加の一途をたどり、失業率も次第に上昇しつつあるのが実情であります。
 我々は、本年の通常国会以来、再三にわたって景気の後退を指摘し、円高不況を防ぎ、経済摩擦の緩和を図るために、内需拡大を柱とした景気対策を政府に迫ってまいりました。しかし総理は、景気後退の実態を認めず、円高メリットを強調するのみで、事態をますます悪化させてしまったのであります。今回の補正予算によって法人税収を中心に一兆七千億円もの税収の減額修正を余儀なくされたのも、政府が実効ある内需拡大策を怠った結果にほかならないのであります。
 まず私は、総理に、円高の影響を軽視し、景気対策をここまでおくらせ、円高不況を深刻化させた責任をどのように認識されているのか、お伺いをするものであります。(拍手)我が国が国の内外から強く要請されている内需の拡大に取り組むためには、言うまでもなく、今回の補正予算がかつてないほど重い役割を担っております。ところが、その内容については多くの問題点を指摘せざるを得ないのであります。
 最初に、共産党を除く与野党間で合意されている所得税減税及び政策減税が今回の補正予算案に盛り込まれていないことについて、政府・自民党に強く抗議をするものであります。議会政治のもとにあっては、公党間の約束は極めて重く、これを踏みにじることは絶対に許されるものではないのであります。現在、なお与野党間で年内実施に向けて努力が行われておりますが、所得税減税及び政策減税の実施は、国民生活を守り、さらには内需拡大を図る上からも必要不可欠であると言わなければなりません。自民党総裁でもある総理は、所得税及び政策減税の年内実施に関する与野党合意の重みをどのように受けとめておられるのか、さらに、自民党総裁として、この与野党合意を守るためどのような努力をなされようとしているのか、しかとお答えをいただきたいのであります。
 さて、今回の補正予算は、去る九月十九日に発表された総合経済対策の具体化であります。私は、今回の補正予算の中身を見て、改めて今回の景気対策の効果に疑問を持つものであります。
 景気浮揚を図る上で重要な一般公共事業関係費の追加は、本補正予算案ではわずかに一千三百三十億円にとどめられ、一般公共事業の大半は六十二年度予算の先食いである国庫債務負担行為とされているのであります。財政投融資や地方単独事業の追加を織り込んではいるものの、この程度の一般公共事業の追加では景気浮揚効果はほとんどないと言わざるを得ないのであります。民間金融機関等では、今回の補正予算による実質GNPの押し上げ効果はわずかに〇・四%にすぎないと試算し、本年度の実質経済成長率は二%台と予測しているほどであります。総理に対し、今回の補正予算案による経済効果は、本年度中に実質GNPにどの程度なのか、さらに、本年度の実質成長率の当初見通し四%が達成できるのかどうか、明確な答弁を求めるものであります。
 現在、我が国は、欧米先進国から見て著しく社会資本整備がおくれていることは御存じのとおりであります。私は、長期的展望に立って、特に住宅、住環境の整備に積極的に取り組むべきであり、この方向に沿って、本補正予算案においても、建設国債を財源として大幅に社会資本整備のための一般公共事業費を追加すべきであると思うのであります。高齢化社会への移行を間近に控えて、現在の高い貯蓄率を活用して将来に備えることは、整備がおくれればおくれるほど財政負担がかさむことを考えると、決して財政再建に逆行するものではないはずであります。こうした考え方について総理の見解をお尋ねするものであります。
 さらに、今回の補正予算における一般公共事業費の追加は、景気浮揚のための臨時異例の措置であるという政府の姿勢は納得できないのであります。政府の消極的な経済、財政運営が著しい円高不況を招き、対外経済摩擦の引き金となったことは明らかであり、この反省の上に立って、この際、思い切った積極財政に転換すべきであります。この意味で、少なくとも補正予算で六十一年度予算規模を減額するようなことは避け、建設国債を財源に一般公共事業費をさらに上積みし、政策の転換を明確にする必要があるのであります。そして、六十二年度予算へと連動させていくことが内需拡大のためのあるべき政策運営の姿勢であります。総理に対し、積極財政への転換の姿勢を明確にするよう要求するものであります。あわせて、六十二年度の予算編成方針において思い切った景気対策をとる用意があるかどうか、お尋ねをするものであります。
 関連して、現在大きな問題になっている地価の高騰は、公共事業を遂行する上で障害となっているのであります。総理は、この問題にどのような具体策を持って対処されようとしているのか、お伺いをするものであります。
 私は、特に、国土利用計画法を改正し、市街化区域における土地取引の届け出面積の引き下げや、国公有地についても国土利用計画法の適用とすべきであると考えるものであります。その用意があるかどうか、答弁をいただきたいのであります。
 次に、私は、積極的な内需拡大策の実施とあわせ、円高不況によって苦境に立たされている中小企業や、雇用不安に対する強力な対策を求めるものであります。(拍手)
 今回の補正予算では、不況地域の中小企業対策や信用補完制度の充実が図られておりますが、中小企業の多くがこれから年末にかけてさらに厳しい状況に追い込まれることは必至であり、まだまだ十分な内容と言えるものではありません。中小企業を円高不況から守るためには、既往債務の一層の金利の引き下げ、下請代金支払遅延等防止法の運用強化、中小企業向け官公需の拡大等を図るべきであります。総理の見解を伺うものであります。(拍手)
 また、失業雇用対策では、特に中高年齢者に対するきめ細かな配慮が必要であります。総理は、失業雇用対策にどのように取り組まれようとされているのか、具体策をお示しいただきたいのであります。
 この際、今回の補正予算によって十二月一日に施行を予定している老人保健法改正案についてお伺いをいたします。
 老人保健法制定以来、三年が経過しようとしておりますが、健康の増進、疾病の予防という同法の目的は十分に成果を上げているとはいえない実情であります。この段階で、老人医療費の一部負担を大幅に引き上げ、また、国保財政の赤字を他の保険者にしわ寄せしようとすることは、到底納得できるものではありません。(拍手)まず、健診事業、健康相談事業等の充実を図るべきであり、私は、老人保健法改正案は撤回するよう要求するものでありますが、総理のお考えをお尋ねするものであります。(拍手)
 さて、さきに発表された税制の抜本改革についての政府税調の最終答申は、国民のための税制改革というにはほど遠く、さまざまな問題を含んでおります。具体的な議論はこれからの予算委員会等で行うとして、まず、総理に基本的な問題について、幾つか御所見を伺うものであります。
 総理は、まず減税から出発し、それに見合う財源は何かという段取りで進めてほしいと自民党税調に要請し、減税先行の税制改革を意図されておられますが、本来的な税制改革は、まず財源を明らかにし、その規模に見合った減税を行うのが筋ではないでしょうか。減税を先行させて、後から財源を探す方法は、国民に選択の幅を与えず、マル優廃止や大型間接税導入しか財源は考えられないとして、増税を国民に押しつけるものにほかなりません。減税先行論に対する総理の基本的な考え方を伺うものであります。
 次に、問題なのは、政府税調が日本型付加価値税など新型間接税の導入を提起している点であります。総理は、さきの同日選挙の際、国民や自民党員が反対する大型間接税と称するものは導入しない、仮にそういう答申が出たとしても採用はしないと公約として確認をされました。新型間接税は、いずれも課税ベースが広く、最終的に消費者に転嫁されるものであり、大型間接税と言わざるを得ません。特に、日本型付加価値税は一般消費税と同じものであり、国会決議にも反するものであります。政府税調が答申した新型間接税について、採用はしないと公約どおり明言されるのか否か、総理にしかと伺いたいのであります。(拍手)
 さらに、答申では老人、母子家庭を除いて非課税貯蓄制度の全面見直しを提言しています。しかし、非課税貯蓄制度は、老後、病気の備えや住宅費、教育費に充てるために、国民の生活防衛の手段として既に定着している制度であります。不正利用者をなくすために同制度を廃止するやり方は短絡的であり、断じて容認できません。限度額管理の徹底によって現行の非課税貯蓄制度は存続すべきであると考えますが、総理の見解を伺うものであります。
 また、これから高齢化社会を迎えるに当たり、ますます重要となる年金に対して課税を強化するという考え方は、時代の流れに逆行するものと言わざるを得ません。総理の御見解を伺いたいのであります。
 以上、重点項目に絞って質問をいたしましたが、総理並びに関係大臣の明確なる答弁を要求し、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕

発言情報

speech_id: 110705254X01119861031_015

発言者: 草野威

speaker_id: 22473

日付: 1986-10-31

院: 衆議院

会議名: 本会議