寺前巖の発言 (本会議)
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○寺前巖君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、財政演説に関して質問します。
まず、政府提出の六十一年度補正予算は、異常突出した軍事費の大幅削減要求を拒否し、内需拡大というかけ声にもかかわらず、所得税減税の見送りなど、円高不況に苦しむ国民の願いを真っ向から踏みにじるものであります。しかも、今日の財政破綻をつくり出した建設国債の増発という、前回円高時の誤りを繰り返すものであることをまず指摘せざるを得ません。(拍手)
日本共産党は、政府がこのような方向をやめ、軍縮への転換、円高危機の克服、国民生活防衛と真の内需拡大を目指す立場から、当面の補正予算編成を行うよう強く要求してきたところであります。
この点で、第一に政府の見解をただす必要があるのは、過日アイスランドのレイキャビクで行われた米ソ首脳会談についてであります。
この会談が物別れに終わった直接の原因は、レーガン大統領がSDIに固執したためであります。核兵器廃絶のためなどと称しているSDI開発は、相手側の核攻撃力を無力化し、核攻撃戦略でアメリカが絶対的優位に立とうとするものであります。これは、アメリカのワインバーガー国防長官がSDIの目的について、米国が唯一の核兵器保有国だった状況に戻ることにあると議会で証言していることからも明らかであります。
レーガン大統領がこのSDIを推進し、また、中曽根内閣がSDIへの日本参加を決定したことは重大なことであります。核兵器が廃絶されれば、核兵器を無力にするためというSDIの研究開発など必要ないことは自明ではありませんか。(拍手)数兆ドルもそれにかける必要は何らないはずであります。今や、核兵器の廃絶を真に願うならば、それを緊急最重要課題として、その実現のために奮闘することこそレイキャビク会談が残した教訓であります。
唯一の被爆国の総理大臣であるあなたは、平和、軍縮を口にし、みずからを核兵器廃絶論者だと公言してきましたが、それならば、まず日本のSDI参加決定をきっぱりと撤回すべきであります。また、今開かれている国連総会で核兵器全面禁止協定の締結を提案すべきであります。補正予算においても、F15、P3Cなどの新規発注を中止し、二兆円に近い本年度軍事予算の未執行額を大幅に削減してこそ、平和や軍縮を口にする資格があるのではありませんか。(拍手)
以上、答弁を求めます。
第二に、補正予算の重要な柱である内需拡大について聞きます。
内需拡大の決め手は、内需の六割を占める個人消費を盛り上げることにあります。ところが、政府がやろうとしているのは全く逆であります。所得税減税は見送る、お年寄りの医療費は大幅に値上げする、しかも、深刻な円高不況のもとで国鉄を解体し大量の労働者を解雇するという、政府みずからが失業を増大させる先頭を切っているのであります。これでは内需拡大には絶対つながりません。私は、改めて老人保健法の改悪、国鉄分割・民営化の中止を要求するものです。
ところで、やるべきことは明白です。我が党の補正予算に対する要求どおり、第一に、所得税、住民税合計で二兆五千億、つまり四人家族で年十万円の減税を年内に実施すること、同時に、住宅費・教育費減税、パート・内職・家族専従者減税などきめ細かな対策をとることです。第二に、電力、ガスなど五兆円を超える円高差益の完全還元です。少なく見ても、一般家庭で電気、ガス料金だけで月三千八百円も還元が可能であります。第三に、社会保障制度の改悪をやめ、住宅や福祉、教育施設など国民生活に密着した公共投資を拡大することです。財源は、軍事費の大幅削減や大手総合商社が法人税ゼロなどという不公平税制の是正、特に外国税額控除の抜本的見直しなどで十分可能であります。総理並びに関係大臣の答弁を求めます。(拍手)
次に、大型間接税導入とマル優廃止についてであります。
総理は、同時選挙のとき、国民や党員が反対するような大型間接税は導入しないと公約され、国会でも繰り返し公約は守ると明言しています。ところが総理、あなたの諮問機関である政府税制調査会は、A案、B案、C案というだれが見ても紛れもない大型間接税の案をつくり、しかも、C案、日本型付加価値税が望ましいとの答申をまとめました。総理に伺います。政府税調の答申の中に国民が反対しない大型間接税がありますか。あれば、具体的にどの案か示していただきたい。(拍手)
自民党の竹下幹事長は記者会見で、党が決定すれば公約違反にはならないとの趣旨の発言をしました。これが事実だとすれば、自民党が決定する新型間接税は何を導入しても公約違反にならないということになるではありませんか。こんなごまかしは許されないと思いますが、どうですか。総理、公約を守ることは政治家の最低限の責務です。うそやごまかしでなく、大型間接税の導入や国民の零細な貯蓄をねらい撃ちするマル優廃止の二つの大増税の作業はきっぱりと中止すべきです。(拍手)
以上、総理並びに関係大臣の明確な答弁を求めます。
次に、円高不況について伺います。
失業率は統計開始以来最悪の水準を続け、今や三%を超えようとしていますが、円高倒産や大企業の人減らし合理化は依然としてふえ続けております。中小企業庁の調査でも、一ドル百五十円、百六十円という異常円高が続けば、ほとんどの産地中小企業は壊滅的な打撃を受けることが明らかにされております。製造業に従事する労働者のうち四分の三が中小企業で働いていることから見ても、せめて一ドル二百円にという中小企業者の切実な願いにこたえ、円高是正の具体的措置をとることは緊急の課題であります。総理は、円ドル関係を合理的な水準に長期的に安定していくと言っておられますが、合理的水準とはどの程度を想定しておられるのか、少なくとも中小企業がやっていける水準を考えているのか、明確にお答えください。(拍手)
我が党議員団は八つの班の円高不況の調査団を編成し、各地の実態を調査してまいりました。私も、大量の安い絹織物輸入で次々に廃業に追い込まれている丹後地方や、円高がそのまま建て値に反映し、掘れば掘るほど赤字という閉山相次ぐ秋田県の銅、鉛などの非鉄鉱山の実情をつぶさに見てまいりました。そこには既に大量の失業者が出ており、政府は伝統産業である絹織物も、貴重な地下資源である鉱山もつぶすつもりかと、悲痛な声に満ち満ちておりました。総理、この国民の苦しみは、政府がつくり出した異常円高によるいわば政治災害であります。それだけに、中小企業者や労働者の営業と暮らしを守るため、手厚い救済対策をとることは当然ではありませんか。
そこで、まず中小企業の救済策について聞きます。
第一に、政府が今国会提出予定の特定中小企業地域対策臨時措置法の対象地域を円高不況で深刻なすべての産地、地域とすること、また、円高融資の金利を三%以下に引き下げること、赤字企業にも無担保・無保証人融資を適用することであります。第二に、休業補償制度の創設について、総理は、我が党の金子書記局長の質問に、小規模企業共済制度の充実に努力すると答えられました。いつまでに、いかなる内容で具体化されるのですか。また、掛金に対する国の援助の導入も検討すべきではないですか。第三に、大企業に対し、円高を口実とした下請への単価切り下げや発注削減をやめさせるよう実効ある措置をとること。
以上、総理並びに関係大臣の答弁を求めます。
次に、雇用問題について伺います。
今、自動車、電機などの大企業は、円高対策として部品輸入の拡大、生産拠点の海外移転を急いでおります。このため、国内における雇用は著しく減っており、ある民間の調査機関では、今後五年間に九十万人の職場が消えるとし、国滅んで企業が栄えると警鐘を鳴らしているほどであります。まさに我が国産業の空洞化が急速に進んでおります。総理、空洞化を防ぎ、雇用、国民生活を守るため、当面、円高を口実とした解雇、人減らしにつながる海外直接投資を規制する措置をとるべきであります。答弁を求めます。
最後に、総理みずからが本部長となって推進している前川リポートに基づく産業調整について伺います。
食糧やエネルギーは一国の経済の自立の基礎であります。ところが、我が国においては食糧も石炭も世界最大の輸入国で、穀物自給率三二%、エネルギー自給率八・三%と、他の先進国に例のない異常な低さになっております。それにもかかわらず前川リポートは、さらに輸入を拡大するため、我が国の農業、石炭を切り捨てる方向を打ち出しています。
そこで、具体的に、当面緊急の問題として米の問題について聞きます。
アメリカのヤイター通商部代表は、国民の主食であり、日本農業の大黒柱である米まで自由化を要求し、新ラウンドの議題とすると、不当な圧力を加えてきています。総理、国民の基本的な食糧の安定供給を図ることは国の責務です。そのために、貿易を含めて国が管理するのは当然であり、ガット上も認められた国際的な原則ではありませんか。とすれば、アメリカの要求は極めて不当であり、新ラウンドの議題とすることに毅然と反対すべきであります。総理並びに関係大臣の明快な答弁を求めます。(拍手)
さらに、三菱石炭鉱業を初め、前川リポートに基づく炭鉱つぶしについて伺います。
閉山強行は、労働者、家族、さらに地域経済に取り返しのつかない事態をもたらします。また、民族的に貴重なエネルギー資源をなくす重大な誤りであります。私は、国と石炭資本及び関係企業の責任で閉山を中止させるとともに、石炭割り当て制の拡充強化、さらに緊急助成などを講じて、国内炭の再生産が可能となる措置をとるよう強く求めるものです。総理並びに関係大臣の答弁を求めます。
総理、日本民族の将来に責任を負うなら、今こそ食糧、そしてエネルギー自給率向上の方向に政策を転換すべきであります。
以上、私は、国民の立場に立った政策の転換を求め、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕