塚田延充の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○塚田延充君 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となっております昭和六十二年度補正予算三案に反対の討論を行うものであります。
反対する第一の理由は、今日の緊急課題である円高不況の克服、内需拡大の推進、対外経済摩擦の解消などを実現するには甚だ不十分な内容であり、国民の期待を裏切り、国際公約にも背くものになっている点であります。我が党は、これまでの政府の縮小均衡型路線を改め、積極型財政運営への大転換を進めるよう強く主張してまいりました。本来なら六十二年度当初予算そのものを積極型に編成し、早急に経済立て直しに着手すべきでありました。しかるに、政府はこれを無視し、昭和三十一年度以来の超緊縮予算を編成したのであります。その後、中曽根総理は、訪米した際に、国会に一言も相談することなく総合経済対策の実施を約束してきたのであります。国会を軽視して事を運ぶやり方は、民主主義に挑戦し、また責任をあいまいにするものと言わざるを得ません。この補正予算案では、政府公約の実質三・五%の経済成長は不可能であります。昭和六十一年度の実質経済成長率は二・六%と極めて低い数字にとどまっています。実質経済成長率が三%を下回ったのは石油危機の昭和四十九年以来十二年ぶりのことであり、景気の落ち込みは深刻であります。政府は、景気も底がたく、この補正予算の編成により実質三・五%の成長が可能だとうそぶいていますが、空手形になることは明白であります。我々の試算によれば、当初予算のままでは一・五%の成長に終わるため、少なくとも二%の実質成長を上乗せするためには、八兆円の経済対策を実施すべきとの結論を出しています。政府の緊急経済対策は六兆円にとどまっており、これではせいぜい三%の成長が限度であります。
経済企画庁がまとめた六月の月例経済報告では、景気は底がたいと分析されていますが、これは急激な円高という悪条件の中で企業が血のにじむような合理化を行った結果であり、このために多くの勤労者が失業しているのであります。五月の失業率は三・二%と、現在の調査方式が採用された昭和二十八年以来の最悪の数字となっています。とりわけ失業者は、我が国の高度成長期には主役となって今日の経済繁栄の礎を築いた中高年労働者に集中しています。しかし、中曽根内閣は、このような人たちに報いる十分な政策を打ち出そうとはしていません。国のために尽くした人たちを、もう必要はないからと切り捨てる中曽根政治には怒りを表明せずにはいられないのであります。
また、急激な円高にもかかわらず、貿易摩擦の解消は一向に進んでいません。昭和六十一年度の我が国の経常収支、貿易収支は、それぞれ九百三十七億六千二百万ドル、千十四億三千四百万ドルの黒字を記録し、いずれも史上最高となっています。この補正予算では、対外摩擦の解消も困難であります。反対する第二の理由は、経済危機に対処する的確な認識を欠き、しかもその内容が従来の延長線上にとどまっているため、その効果に疑問があることであります。特に公共事業において、昨年度補正後予算と比較してみて事業別シェアはほとんど変わっておらず、経済の実態とかけ離れた硬直的なものとなっています。これでは国民の生活向上に直接つながらないのも至極当然と言えます。公共事業の実施においては、用地費率が低い事業や住宅、下水道など国民生活に資する事業を優先させるとともに、不況地域などの活性化を図るため、重点的、効率的配分を行うべきだと考えます。また、公共事業拡大は緊急の課題であるとはいえ、地方債の発行によって地方へのツケ回しを拡大することは極力避けねばなりません。地方債の発行は限度に達しており、事業の円滑なる執行に支障を来すおそれがあり、政府においては、このことに十分配慮して公共事業を進めるべきであることを強調しておきたいのであります。
反対する第三の理由は、行財政改革に満足すべきものが見られず、このままでは財政再建も行政改革も実効が上がらないままに終始するおそれが強いことであります。
経費の節減も不徹底なものとなっており、行政府みずからが骨を祈らず、そのツケを国民に回す従来の体質が是正されていないことは問題であります。政府の行政改革に対する姿勢は依然として言行不一致の消極的なものにとどまっており、官僚機構に大なたを振るう抜本的改革を怠った中曽根内閣の政治責任は極めて重大であります。また、後世代への負担を極力抑えるために、行財政改革の旗は決しておろしてはなりません。さきに中曽根総理に提出された新行革審の緊急答申においては、これまで主張されてきた「増税なき財政再建」への取り組みがあいまいとなっており、極めて遺憾であります。積極財政への転換と財政再建はともに両立し得るものであり、また、何としても両立させねばなりません。財政運営を転換するからといってなし崩し的に行政改革を後退させることは、絶対に許されないのであります。
我が党は、二兆円程度の減税、事業費ベース六兆円の公共事業などから成る総額八兆円、国家による財政出動は五兆円程度の内需拡大策を提唱しております。現在、与野党間で税制改革協議会が行われており、今後の税制改革の動きは協議会でのあり方にかかっていますが、大幅減税の先行はぜひ実現させねばなりません。減税の先行は国際公約でもあり、消費拡大のため早急に実現させる必要があります。しかるに、政府・自民党は、減税を一兆円程度にとどめると主張しているのみならず、廃案となったマル優法案を再提出しようとしております。昭和六十一年度の決算剰余金は補正予算に回す分を除いても一兆三千億円、今年度のNTT株売却収入は当初予定をおよそ三兆円上回る見通しであり、減税の財源は十分であり、二兆円規模の減税に反対する政府・自民党の姿勢は非現実的であると言わざるを得ません。
今回の補正予算は、中曽根政治の最後を締めくくる上で注目すべきものと言えますが、国民の期待に反する不十分なものとなったことは極めて残念であることを強調いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)