中路雅弘の発言 (本会議)
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○中路雅弘君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、政府提出の昭和六十二年度補正予算三案に対する反対討論を行います。(拍手)
今回の補正予算に何よりも求められたものは、一方における世界一の巨額の対外黒字と、とめどもなく膨れ上がった大企業の投機利益、他方における統計史上最悪の失業率、異常円高のもとでの輸出産地、下請中小企業の経営難、産炭地や農村の疲弊のかつてない広がり、すなわち、富める日本の貧しき民、大企業栄えて民滅ぶというゆがんだ経済の仕組みにメスを入れ、軍縮と平和、国民の暮らしと営業を守り、真の内需拡大の方向に転換することでありました。
ところが、政府が提出した本補正予算案は、このような国民の期待に何一つこたえようとはしなかったのであります。それどころか、レーガン政権の圧力のもとで、当初予算の審議中に大型補正の早期提出をアメリカに誓約し、国民の要求ではなく外国の要求、対外公約の実行として編成されるという異常な経過をたどったのであります。ここに中曽根自民党内閣の国民無視、対米最優先の政治姿勢が浮き彫りにされていると言わなければなりません。(拍手)
以下、具体的に反対の理由を述べます。
第一の理由は、売上税、マル優廃止による増税を補正予算でただの一円も削除せず、増税強行の執念をあらわにしていることであります。
国民の審判は既に明白ではありませんか。増税法案が廃案になった大きな理由に国民世論の力があったことは、我が党の追及に対して総理みずから認めざるを得なかったところであります。マル優廃止が、不公正の是正どころか、庶民への大増税、大金持ちへの大減税で、不公平、不公正をますます拡大するものであることも明白となりました。にもかかわらず、あくまでも民意に挑戦しようとする政府の態度は、主権在民、議会制民主主義の原則に照らして絶対に許されるものではありません。
総理並びに宮澤大蔵大臣が税制改革協議会なるものを衆議院の正規の機関であるごとく強弁したことは重大であります。衆議院のどの機関でも設置を決めたことがなく、六百万有権者の声を代表する日本共産党を排除した一部党派間の密室協議は、私的協議以外の何物でもないことを重ねて指摘をしておきます。
第二の理由は、国民生活を守る対策を何一つとらない一方、日本とアメリカの巨大企業に対して徹頭徹尾奉仕するものになっていることであります。
国民の切実な願いである大幅所得減税はあいまいなまま先送りされ、失業防止、雇用確保は全く無策、円高緊急融資の利子の引き下げや返済期限の延長など、円高危機に苦しむ中小企業の血の叫びはことごとく無視されました。ところが、大企業に対しては、民活事業への五百八十億円に上る無利子融資や補助金など、優遇の上優遇を重ねているのであります。公共投資の大幅拡大も、財政危機に苦しむ地方自治体にさらに巨額の負担を負わせ、肝心の不況地域には仕事がいかず、一部大企業だけを潤わせる結果になることは明らかであります。
スーパーコンピューターや政府専用機など、千四百五十億円に上る巨費を投じた緊急輸入に見られるアメリカ大企業への奉仕とむだ遣いも目に余るものがあります。従来の政府調達の諸原則からも大きく逸脱した緊急輸入は、内需拡大どころか、まさにレーガン政権のための外需拡大ではありませんか。
第三の理由は、今まさに世界に広がる核兵器廃絶、平和軍縮の世論に敵対し、レーガン核戦略に加担、協力するための巨額の軍事費を温存していることであります。
我が党が、核兵器廃絶を公然と敵視した自民党パンフレットや総理のアラスカへのINF配備発言、倉成外相のアジア非核地帯敵視発言を追及したのに対し、総理は、均衡に基づく抑止などと言って、核兵器に固執する立場を引き続きあらわにしたのであります。このような態度が唯一の被爆国の総理として許されないものであることは言うまでもありません。我が党が一貫して主張してきた軍事費一兆八千億円の削減は、平和への転換はもとより、増税を食いとめ、国民生活を守る財源を生み出す上でも不可欠の課題であります。大幅削減を拒否したばかりか、売上税廃案と異常円高の進行によって不要となった金額さえも削らず、あくまでGNP一%突破の既成事実を貫こうとする政府の態度は、言語道断と言わなければなりません。
こうした態度の根源には、我が党が繰り返し指摘しているように、日本の運命をアメリカに縛りつけている日米軍事同盟があります。レーガン政権が根拠さえ明らかにできなかった東芝機械問題を悪用して、日本の貿易、経済交渉の自由を抑えつけようとしている不当なココム規制も、その大もとは日米軍事同盟にあります。我が党は、NATO加盟国以外にただ一国日本が参加させられているココムからの脱退を要求するものであります。(拍手)
最後に。中曽根内閣が初めて編成した予算は一九八二年度補正予算でありました。財政非常事態と称して、国債の定率繰り入れ停止、公務員賃金の凍結、老人医療有料化の強行などなどがその内容でありました。それから五年、軍事費は実に三六%もの異常突出であります。一方、社会保障費はその三分の一以下の一一%に抑え込まれ、教育費、中小企業・農業対策費に至っては大幅なマイナスを強要されてきたのであります。そして、この中曽根内閣としての最後の予算で「増税なき財政再建」なる看板までついに投げ捨て、「財政再建なき大増税」の方向を公然と打ち出したことは、あなたの内閣のよって立つところを何よりも鮮明にしたものというべきであります。
日本共産党は、対米追随、軍拡最優先、財界奉仕の政治を根本的に改め、核兵器の廃絶、軍事費の大幅削減、三兆円の所得減税、国民生活防衛のために全力を挙げて奮闘する決意を表明し、反対討論を終わります。(拍手)