宮澤喜一の発言 (本会議)

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○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、国税に関する制度全般にわたる改革の必要性にかんがみ、その一環として、所得課税の負担軽減及び合理化とその財源措置の観点をも踏まえ、内外の社会経済情勢の変化等に即応して早急に実施すべき措置を講ずるため、所得税法、たばこ消費税法、取引所税法、有価証券取引税法、印紙税法、国税通則法、租税特別措置法等の一部を改正することといたしております。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、所得税につきましては、中堅所得者層を中心に、負担の軽減及び合理化を行うこととしております。
 すなわち、税率構造について、最低税率の適用対象所得の範囲の拡大及び累進緩和を行うほか、新たに十六万五千円の配偶者特別控除を設けることとしております。
 また、給与所得者につきまして、特定支出の額が給与所得控除額を超える場合には、申告により、その超える部分を控除することができることとして、申告納税の道を開くこととしております。
 さらに、老年者控除を現行の二倍の水準に引き上げるとともに、公的年金等に対する課税について、老年者年金特別控除及び給与所得控除の適用にかえ、新たに公的年金等控除を設けることとしております。
 第二に、利子課税等につきましては、実質的な負担の公平を確保する等の見地から、少額貯蓄非課税制度、郵便貯金非課税制度及び少額公債の利子非課税制度を、老人等に対する利子非課税制度に改組することとし、これら以外の利子所得に対しては源泉分離課税を行うこととする等の措置を講ずることとしております。
 また、勤労者財産形成貯蓄非課税制度を廃止するとともに、勤労者財産形成住宅貯蓄等に係る利子に対しては低率による課税を行うこととしております。
 第三に、資産性所得に対する課税を一層適正化する見地から、土地税制及び有価証券の譲渡益課税についてその見直しを行うこととし、土地税制につきまして、所有期間二年以下の土地等の譲渡をした場合の譲渡益に対する重課の特例等を時限的に設けるとともに、所有期間が五年を超える一定の土地等を譲渡した場合の譲渡所得を長期譲渡所得とする等の措置を講ずることとしております。
 また、有価証券の譲渡益課税につきましては、先物取引による所得をその課税対象に加えることとしております。
 第四に、間接税等につきましては、まず、たばこ消費税につきまして、現行の税負担水準を維持する等の見地から、税率等の特例措置の適用期限を昭和六十三年三月三十一日まで延長するとともに、日本たばこ産業株式会社の納期限の特例措置を廃止することとしております。
 次に、取引所税につきまして、各種有価証券の先物取引の間の課税の均衡を図る見地から、その税率について所要の見直しを行うこととし、また、有価証券取引税につきましては、各種有価証券間の課税の均衡を図る見地から、転換社債券等の税率を引き上げるとともに、金融の国際化等に配意して、一般の譲渡の場合の株券等の税率を引き下げる等の措置を講ずることとしております。
 その他、印紙税につきまして、円建て銀行引受手形に対する負担軽減措置を講ずるほか、登録免許税につきまして、土地に関する所有権の移転登記等に対する負担を一・五倍とすることとしております。
 第五に、申告水準の維持向上を図るため、各種加算税の割合を引き上げることとするほか、所要の措置を講ずることとしております。
 また、施行期日につきましては、原則として昭和六十二年十月一日から施行することとしておりますが、利子課税の改正、給与所得者の特定支出の控除の特例の創設、公的年金等の課税に関する改正等については昭和六十三年一月一日から施行する等、改正内容にあわせて施行期日を定めております。
 以上、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。
 なお、この法律案が国会に提出されました後、その修正について与野党間において御協議が行われました経緯は承知いたしております。御審議に当たりましては我が国の財政の現状や税制の将来等も十分御勘案賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
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発言情報

speech_id: 110905254X00919870818_003

発言者: 宮澤喜一

speaker_id: 13804

日付: 1987-08-18

院: 衆議院

会議名: 本会議