笹川堯の発言 (本会議)
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○笹川堯君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案及び勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案について質問を行うものであります。
我が国の税制は、最近における産業、就業構造の変化、所得水準の上昇と均等化、消費の多様化、サービス化、人口構成の高齢化、経済取引の国際化等の社会経済情勢の著しい変化に対応できないために、所得税を初め、直接税、間接税の全般にわたり、さまざまのひずみ、ゆがみが発生し、国民の税に対する不平不満の声が一段と高まっております。最近の社会経済情勢の著しい変化と将来の我が国の経済財政を考えるときに、現行税制について抜本的見直しを行い、国民の税に対する不平不満を解消することが急務であります。そして、国民の理解と信頼をいただき、安定した歳入構造を確立することが肝要であります。
税の抜本的見直しを進めるに当たっては、公平、公正、簡素はもちろんのこと、中立性の原則、国際性、国際化についても十分配慮する必要があります。また、税制全体としましても、課税ベースを広げ、幅広く薄く求めていくことが肝要であります。特に税制が特定の税目に依存し過ぎる場合は、税負担の公平な配分を妨げ、経済に悪影響を及ぼすおそれがあります。そこで、所得、消費、資産といった課税ベースを組み合わせ、バランスのとれた税体系を組み立てる必要があります。特に税制全般にわたり国民の信頼と理解をいただくためには、制度面はもちろん、執行に際し十分心を砕き、課税の公平を期すること、いやしくもクロヨン、トーゴーサンピンといった批判を受けることのないよう全力を傾注すべきであります。
今回提案されました税制改正について、基本的考え方を中曽根総理にお伺いいたします。
現在の税制において、働き盛りの中堅サラリーマンを中心として、所得税の負担感、不平不満が高まっております。この中堅サラリーマンは、現在、住宅、教育費などの支出が増大し、同時に、所得税が強い累進構造を持ち、所得が増加するのに伴い税負担が大きく増大することで強い不満を持っております。もしこの状態を放置すれば、勤労意欲に悪影響を与え、我が国経済の活力を阻害することになりかねません。
さきの緊急経済対策において、六十二年度における所得税等の減税先行がうたわれたところであります。今回の改正において、特に中堅所得者層を中心に所得税の負担の軽減が図られることは、まことに状況に即した措置であると言えます。その反面、現在の厳しい財政事情、健全な財政運営といった見地から、所得税等の減税は、恒久財源を確保しつつこれを行うことが絶対必要であります。(拍手)今回の所得税等の減税及びその財源措置についての宮澤大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
財形制度は、働く勤労者の資産形成を促進することを目的として昭和四十六年に発足し、以来一貫して勤労者対策の柱として積極的に推進してきているところであります。本制度は広く勤労者の生活に定着しております。中小企業にあっては、企業内の福利厚生の面では大企業との間に大きな格差が見られます。そして約六割の中小企業においてしか採用されておりません。
今回提案されている改正法案は、転職等の際の財形貯蓄の継続措置を拡充しました。同時に、取扱金融機関の範囲を拡大するなど、転職率の高い中小企業に働く勤労者にも本制度が利用しやすいように配慮がなされております。しかしながら、中小企業を取り巻く経済状況はまことに厳しく、本制度の普及促進を図るためには、制度の改善はもちろんのこと、種々の対策を講じていく必要がありますが、その対策について、平井労働大臣に御所見をお伺いいたします。
次に、財形制度は、勤労者の持ち家保有が立ちおくれていることにかんがみ、資産、とりわけ住宅の取得を促進することを主目的としており、今般、財移住宅貯蓄を創設して、財形年金貯蓄とあわせ、税法上の優遇措置を講ずることとしております。これはまさしく財形制度の趣旨に沿ったものであり、勤労者の持ち家取得の一層の促進が図られるものと言えます。
しかしながら、持ち家取得が実現するためには、自己資金の積み立てを図るとともに、住宅融資が利用されやすいものとなることが必要であります。このような趣旨から、さきの国会で財形法の一部改正を行い、財形持ち家融資の大幅改善が行われました。したがって、この制度の活用を図ることが肝要であります。そのために、雇用促進事業団を初め、融資実務を行う金融機関を含め、すべての段階で真剣な取り組みが必要であります。
財形貯蓄は残高十二兆円に達せんとしておりますが、その三分の一を原資として行うこととされている財形持ち家融資については、現在利用が十分なされておりません。今後は、勤労者の立場に立ってきめの細かい制度の見直しをして、真に財形持ち家融資が活用されるよう、すべての関係者の努力が必要であります。同時に、現在急激な土地値上がりが都会を中心として続いておりますが、土地税制、土地問題を除外しては持ち家制度の解決はできないと考えますが、宮澤大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
次に、利子課税制度の問題であります。
この制度は戦前より存在いたしておりますが、特に戦後の経済復興期においては、貯蓄奨励は政策として高い意義を有しておりました。しかしながら、日本が世界第一の資本輸出国となりました現在、貯蓄奨励といった目的で一律的に政策的配慮を行う必要性が薄れてきているとともに、これを続けることは諸外国からも厳しい批判を受けます。同時に、巨額の利子が課税ベースから外れ、高額所得者により多くの恩恵を与えている結果となっております。このことは公平を欠く制度になっていると言えます。
そこで、利子非課税制度を老人、母子家庭等に対する非課税制度に改組する等の見直しを図った今回の改正は、実質的公平にかなったものであると言えます。今回の利子課税制度の改革について、宮澤大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
次に、土地税制についてであります。
昨今の地価の値上がりは天井を知らず、四十年代後半の狂乱地価のときをしのぐものとなっております。都会に住む若い人たちからマイホームの夢を奪うものであります。また、近代的都市計画推進の阻害要因ともなっております。今や、都市における個人の土地に対する権利についてどう考えるべきか、検討が進められておりますが、その一環として、今回土地税制の見直しが法案に盛り込まれていることは高く評価できます。法案の早期成立が必要であると考えますが、中曽根総理の御所見をお伺いいたします。
今回の所得税等の減税、利子課税制度の見直しが家計に対してどのような影響を与えるか、宮澤大蔵大臣にお伺いいたします。
我が国が採用している申告納税制度は、採用以来約四十年を経過し、納税者の方々に深く理解されてきておりますが、より本制度を定着させるためにも、制度、執行両面において課税の公平確保に努め、申告水準の向上を図ることが肝要であります。この制度においては、納税者の自覚と協力が不可欠であります。したがって、次代を担う学生諸君に学校教育を通じて税に関する教育、普及啓蒙をして、国及び地方団体の財政を支えている税の重要性の認識を深めることが大切であると考えます。宮澤大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
最後に、中曽根総理にお伺いいいたします。
総理は、税制の抜本的改正を目指しておられましたが、残念ながら、さきの国会で売上税の創設ができませんでした。その原因として、拙速過ぎたこと、非常にわかりにくいこと、非課税品目が多過ぎたこと等々の理由により、国民より御支持がいただけませんでした。しかしながら、急速に国民の税に対する認識が高まり、間接税へのアレルギーもなくなってきました。さきの衆議院議長のあっせんでも触れられました直間比率の見直しを含む事柄は、今後の課題であると思います。税制改革の今後の取り組みについて中曽根総理の御所見をお伺いいたし、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕