宮澤喜一の発言 (本会議)

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○国務大臣(宮澤喜一君) 所得税減税の中心的なテーマは何かということでございましたが、ただいま総理もお話をなさいましたが、やはり働き盛りの中堅サラリーマンの重税感が非常に強い、それを何とかして緩和いたしたいというのが一番のねらいでございます。
 会社に入りまして、昇給いたしますとすぐ累進税率が高い方にいきます。殊に、御指摘のように、ある年齢になりまして子女教育であるとか住宅ローンの返済とかいうことになりましたときに、ちょっとの昇給がすぐ高い税率に結びつきますから、働けど働けど楽にならない、そういう重税感が強うございます。殊に事業所得との関連でそれが強いわけでございますから、このたびは最低税率の適用の所得の範囲をできるだけ広くして、行き着く先はなるべくライフステージで最低税率一つか二つで済ませるような、そういうことにいたしたいというのが根本的なねらいでございますし、また、配偶者特別控除を考えましたのもそういう配慮からでございます。
 そこで、財源のことでございますが、後に申し上げますような理由で、いわゆる少額利子課税というものを改組いたしたいと思っておるわけでございますが、これも先々は財源になってまいると存じます。ただ、当分大きな財源にはなってまいりません。本年度につきましては、六十一年度の剰余金がかなりございますので、国会のお許しも得まして、それを中心に財源にしてまいりたいと考えておりますが、六十三年度になりましてもなお利子課税の財源というものは大きくはなりませんので、財源にはいろいろ苦労が要るであろうと思っております。しかし、歳入歳出両面を通じまして、財政運営の中で何とかして六十三年度も財源を見つけてまいらなければならない、そのように決心をいたしております。
 それから、土地問題につきましては、総理がお答えになられましたが、税制について申しますならば、御指摘のように短期の、しかも非常に短い超短期の譲渡所得についての重課制度を創設いたしまして、これによりまして土地税制を改めてまいりたいと、今回御提案をいたしたところでございます。
 次に、利子課税制度でございますが、御指摘のように個人貯蓄の七割以上がこの適用を受けておりますから、利子所得にいたしますとほほ十六兆円の利子が課税ベースから外れておるということになります。それは、給与所得、事業所得等との対比において、いわば資産所得が課税を受けていないというような結果になっておるわけでございます。この制度からはもとよりあらゆる所得層が従来利益を受けておりますけれども、高額所得者でございますと、マル優等の枠を全部、限度いっぱい使うことができます。標準世帯で申せば、九百万円の四倍でございますから三千六百万円までこの制度を使うことができますが、平均的な所得者はもとよりその枠を使い切るわけにまいりませんから、結果的に高額所得者ほど受益が多いということは否定できないところでございます。
 もともとこの制度は、かつては富国強兵あるいは戦後の復興等々いろいろな目的に有効に奉仕してまいりましたけれども、今の我が国の状況になりまして、なぜこの資産所得だけが免税を受けておるのかということは、先入観なしに考えれば、殊に勤労所得との関連等について考えますと問題のあるところであろうと思います。したがいまして、このたびはこの制度を根本的に改めまして、社会的に特別な配慮を必要とする人々、老人であるとか母子家庭であるとか、そういう方々のためにこの制度を新しいものとして改組をいたしたいと考えております。
 それからもう一つ、このたびの改正によりまして、勤労世帯の場合に、所得税は減税になるけれども、利子課税で都合減税になるか増税になるかというお尋ねでございましたが、全体としてはもとより軽減になります。サンプルをとってみますと、勤労者世帯の場合、勤労者世帯の平均の年間収入は五百八十万円でございますけれども、貯蓄額が四百七十万円でございます。そこで標準世帯について計算をいたしてまいりますと、大体、所得税、住民税の減税分がほほ九万円でございますが、利子課税の見直しによる負担増が三万円程度と思われます。したがいまして、差し引き五万円を上回る負担軽減となろうと存じます。この点は、いわゆる五分位階層別に試算をいたしてみましても各階層で全体として負担減となります。もとより軽減の割合は下位の方の階層が大きくなっております。
 最後に、学校教育における税の教育について御指摘がございましたことは、まことに同感でございます。納税についての国民の理解が民主主義を支える基盤であることはもとよりでございまして、憲法三十条もそのことを言っておるものと存じます。
 従来、我が国の学校教育の中で租税に関する事項が取り上げられておりますのは、小学六年、中学三年、高校一年と二、三年の社会科でございます。そのような意味で学校教育が行われておりますが、なお、国税庁から文部大臣に対しまして、教育課程審議会に一層の推進充実についてお願いを申し上げておるところでございます。また、国税庁といたしましても、学習指導要領に準拠いたしまして、国税庁独自に小中高おのおの生徒学生用のパンフレットを作成いたしまして教育に使っていただいておりますが、今後ともこれらの努力を積極的に進めてまいりたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣平井卓志君登壇〕

発言情報

speech_id: 110905254X00919870818_011

発言者: 宮澤喜一

speaker_id: 13804

日付: 1987-08-18

院: 衆議院

会議名: 本会議