宮地正介の発言 (本会議)

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○宮地正介君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました所得税法等の一部を改正する法律案など四法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 初めに、税制改革問題についてお伺いします。
 さきの通常国会におきまして、マル優廃止を含む売上税関連法案は、国民の強い反対によりついに廃案となりました。中曽根総理をして、国民世論の力を無視できない、これからは永田町の論理だけで政治を動かすことはできないと言わしめたほどであります。まさに名言であります。この総理の発言は、これからの政治は数の力だけの論理は通用しない、公約違反に対する国民の声は厳しいとの反省が込められているものと解したのは私一人ではないと思うのであります。国民に対する政治家の信義の大切さを物語っていると思います。
 さて、五月十二日の与野党国対委員長会談において、売上税関連六法案は臨時国会に再提出しない、続いて七月二日には、五月十二日の合意を尊重すると政府・自民党は重ねて国民に約束をしたのであります。さらに、五月二十一日の税制協議機関に関する与野党合意では、税制改革協議会は各党の合意を目指す協議の場であることを確認しております。我々は、都合十二回にも及んだ与野党の税制改革協議会において、現行税制に存在する不公平税制の事例十項目を挙げて、その是正を検討すべきであると強く主張してまいりました。
 こうした経緯を全く無視して、政府・自民党が七月三十一日、この臨時国会にマル優廃止のみを六十二年度の所得税減税の恒久的財源としてとらえ、減税とセットの形で法案を国会に提出したことは、与野党合意を踏みにじるものであり、断じて許せるものではありません。(拍手)新型マル優だとか手直しマル優だから前国会のマル優とは違うのだという論理であれば、まさに詭弁であり、さきの国会で売上税法案を大型間接税ではないと答弁していた総理の発言と同質の考えと言わざるを得ないのであります。政府は再び国民を欺こうとするのですか。五月十二日並びに七月二日の与野党国対委員長会談の合意を総理はどのように受けとめておられるのか、しかとお伺いしたいのであります。
 そもそも税制改革は、その全体像を明らかにした上でその改革を進めるべきであります。ところが、今回の政府案は、全体像を国民に示すどころか、マル優廃止だけをしゃにむに強行しようとしております。果たしてこれが税制改革の本来の姿と言えるのでありましょうか。まさに国民の政治に対する不信感を増幅させるばかりではございませんか。マル優廃止については、これを恒久的財源としながら、数年を経た後でなければ財源としての税収が上がらず、その間、財源に穴があくことになります。この部分をどう賄おうとしているのでありましょうか。その背景に再び大型間接税導入のもくろみがあるのではないかとの疑念を抱かざるを得ません。この点について総理並びに大蔵大臣から納得のいく答弁をいただきたいのであります。(拍手)
 ともかく、利子課税の見直しについては、まず非課税貯蓄の限度管理を徹底すべきが筋であります。政府は、マル優制度の廃止に固執する一方で、資産課税の適正化等不公平税制をなおざりにしているのであります。これでは安易な、取りやすいところから取るといった財源あさりであり、税の不公平をますます拡大することになるのであります。この際、庶民のささやかな預貯金に課税することをやめ、減税法案からマル優廃止部分を切り離し、これを撤回することを強く要求するものであります。(拍手)総理の所見をお伺いいたします。
 また、八月七日の与野党合意により、「利子課税制度のあり方については、総合課税への移行問題を含め、五年後に見直しを検討する。」となっておりますが、政府は具体的にどのように対処されるつもりなのか、総理並びに大蔵大臣の所見をあわせてお伺いいたします。
 さて、勤労者の生活基盤を確立し、安定した生活の実現を図ることを目的として財形制度が昭和四十七年に発足して、ことしでちょうど十六年目を迎えたのであります。しかし、今日においてもいまだ勤労者の悩みは、住宅取得と老後の保障の問題であります。今回の与野党合意により、年金、住宅についての財形貯蓄は非課税とされることになったものの、一般の財形貯蓄に二〇%の課税をすることは、財形制度そのものの大幅な後退であります。政府は、財形制度を今後どのように見直し、発展させようと考えているのか、総理並びに労働大臣の所見をお伺いいたします。
 次に、減税規模についてお伺いをいたします。
 今回の税制改革のねらいは、シャウプ税制以来今日まで長い間に蓄積された税のゆがみ、ひずみ、重圧感の除去であると同時に、税制改革が内需拡大に与える経済効果にも大きな期待が国民から寄せられております。しかしながら、今回の政府提案では、所得税減税は一兆三千億円にとどめられ、与野党幹事長・書記長会談により二千億円が上積みをされ、やっと一兆五千億円になったのであります。これでは国民の期待に十分にこたえ得る減税規模とは言えないのであります。
 八月七日の与野党幹事長・書記長会談におきまして、竹下幹事長は、一層の減税上積みのため真剣に努力しますと、減税上積みについて前向きの発言をしたと言われているのであります。ところが、昨十七日の竹下幹事長と藤波国対委員長の会談におきましては、追加上積みの拒否が確認されたとのことであります。また、けさほどの中曽根総理と竹下幹事長との会談におきまして、追加上積みはしないと意見が一致したとも言われているのであります。このような政府・自民党の減税規模に対する対応は、全く不可解と言わざるを得ないのであります。この減税規模の問題につきましては、生臭い次期政権争いが影を落としているとも巷間聞かれるのであります。もし政争の具に減税問題が利用されるということになりましたら、とんでもないことであります。政府・自民党は、国民に真摯にして誠意ある政治の姿勢を示すべきであります。
 我が党は、六十二年度減税二兆円規模を要求するものであります。なぜならば、六十一年度決算剰余金やNTT株売却収入などの財源を充てれば可能であるからであります。この点について、総理並びに大蔵大臣の決断を求め、あわせて所見をお伺いいたします。
 また、六十三年度以降の所得税減税につきましては、キャピタルゲイン課税や利子配当所得の総合課税化等、不公平税制の是正によって賄うべきであることを強く要請するものであります。
 さて、今日、国民の住民税に対する重税感は極めて強く、住民税減税への期待と要求が高まっております。しかるに、政府は、住民税が前年所得を課税標準にしており、六十二年度は既に住民税の課税事務が進行していることを理由に、本年度住民税減税を見送り、六十三、六十四年度の二カ年で減税を行うこととしております。これでは六十二年度からの減税に対する国民の期待を大きく裏切るものであります。そこで、少しでも国民の期待にこたえるためにも、せめて六十四年度分を繰り上げて、六十三年度一年で住民税減税を断行すべきであると思うのでありますが、総理並びに自治大臣の所見をお伺いいたします。(拍手)
 次に、六十二年度地方財政問題についてお伺いいたします。
 最近における地方財政の状況は、その公債費負担比率が警戒信号とされる一五%を超える地方団体は全体の六割に、危険信号とされる二〇%を超える団体が全体の三割にも達し、三〇%を超えて危機的財政状況にある団体が百十一に及ぶ等、極めて深刻になっております。その上、六十二年度当初の地方財政は、実に二兆三千七百億円余に上る財源不足が見込まれているのであります。これに対する政府の地方財政対策は、建設地方債の増発や地方たばこ消費税の継続といったいわゆる借金財政による安易な財源不足の補てん策であります。もはやこうした政府の小手先による財政運営では限界に達しており、一刻も早い思い切った地方財政の抜本改革が今や求められているのであります。総理並びに自治大臣の所見をお伺いいたします。
 さて、補助金削減の問題についてお伺いいたします。
 補助金の削減につきましては、六十年度において一年限りの単年度措置に引き続いて、六十一年度には三カ年の暫定措置として補助率の引き下げが行われたのであります。六十二年度以降は再び補助金のカットは行わないことが、大蔵、自治両大臣の覚書により約束されたにもかかわらず、本年度も補助率引き下げが行われたのであります。大蔵、自治両大臣の覚書による約束事が二度にわたって不履行にされたことは、まことに遺憾なことと言わざるを得ません。
 このような補助金削減による国の財政の地方転嫁は、地方財政を圧迫するばかりか、国と地方との財政秩序を乱すことになり、地方の自主性を損なうものであります。国にとっても単なる負担の先送りにすぎないのであります。ところが、六十三年度予算において三たび補助金削減が行われようとしておりますことは、余りにも地方財政軽視と言わざるを得ないのであります。この際、政府は、来年度は補助率の引き下げは行わないことを明確にすべきであります。総理並びに大蔵、自治両大臣の所見をお伺いいたします。
 最後に、土地税制についてお伺いいたします。
 地価は、東京を中心に大都市圏で高騰を続け、中でも都心商業地の暴騰にはすさまじいものがあります。実勢価格の二倍から三倍になったところはざらに見られ、この地価高騰の波は、東京都心から埼玉、千葉など周辺地域にも押し寄せているのであります。もはやサラリーマンが大都市周辺で住宅を持つことは大変に難しい事態になってきております。政府は、地価対策に力を入れると言っておりますが、一向に解決の兆しが見えません。
 今回の税制改革では、土地の譲渡所得課税について、長期譲渡所得の区分を十年から五年に短縮し、土地の供給を促進するとしておりますが、これだけでは土地供給の増加は余り見込めないばかりか、かえって五年間保有することになりはしないでしょうか。土地の供給は、固定資産税や宅地並み課税など土地税制とあわせて、規制緩和対策など幅広い角度から検討されなければ、実効ある成果は期待できないと思うのであります。
 ところが、最近、総理は、土地の私有権制限についても取り組むと公言しているのであります。政府は、一体、規制緩和と言ったり、土地の私有権制限に取り組むとしたり、その政策が一貫していないではありませんか。総理は、土地の私有権制限を初め、こうした地価対策について具体的にどのように対処されようと考えておられるのか、お伺い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕

発言情報

speech_id: 110905254X00919870818_024

発言者: 宮地正介

speaker_id: 23022

日付: 1987-08-18

院: 衆議院

会議名: 本会議