猪熊重二の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○猪熊重二君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりましたいわゆる社会資本整備特例二法案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
右質問に先立って、昨日、ソ連政府が在モスクワ日本大使館員及び商事会社員の二名に自主的国外退去を要求した問題につき伺います。
総理は、今回のソ連の右措置につきどのように考えておられますか。特に、国外退去要求の理由とされたことの事実関係はどうであったのか伺います。
今回の事件の背景には、ココム違反事件への我が国の対応、SDIへの正式参加決定など日本政府に対する不信があると思われますが、総理はこの点につきどのように判断されますか。
今回の事件に対し、日本政府も駐日ソ連通商代表代理の国外退去を求めており、日ソ関係の悪化、相互不信がますます増幅することが懸念されます。今後の日ソ関係への影響、特に国連での日ソ外相会談、ゴルバチョフ書記長の訪日問題なども含めて政府の見解を明らかにされたいと思います。
さて、公明党は、つとに大型減税の実施とともに公共事業の大幅増額を含む積極財政への転換を主張してまいりました。しかし、中曽根内閣は、行財政改革を旗印として縮小均衡策をとり続けてまいりました。その結果、長期にわたる景気の後退、経済の萎縮を招き、これが税収不足の要因となり、公債残高は、中曽根内閣成立前の昭和五十六年度八十二兆円から、本年度末には百五十三兆円へと約二倍に、また、公債の利払い費は一般会計の一二%から二〇%強くと増加し、このことが財政硬直化の最大の要因となっております。
かかる事態において、政府は、国際公約でもある内需拡大策の一環として、今般の補正予算で公共事業費につき当初予算の三割にも当たる追加を決めました。これは、実質的に当初予算を政府自身が否定し、行き詰まった緊縮財政を放棄して積極財政への転換を図ったものと解釈せざるを得ません。この点につき政府の見解を伺いたい。あわせて今後の財政運営に関し、政府の中長期的な基本方針についても見解を伺いたい。
ところで、今般、政府は、所得税減税と抱き合わせでマル優制度を廃止する法案を提出しました。現在、歳出の二割が国債の利払い費であり、この支払い利息のほとんどが国債を保有している銀行や優良企業、そして高資産階層の所得となっております。今回の利子所得課税の見直しは、一方において低所得者層を含む国民一般の預金利子に対するマル優制度を廃止し、他方において高所得者層に適用されている現行三五%の分離課税の税率を二〇%の一律分離課税とすることとされています。この改正案は、歳出の二割を占める莫大な利子を取得している高資産階層にさらに低率の一律分離課税を行うという優遇措置を付与するものであります。
本来、財政に課せられた最も重要な機能は所得の再分配にあります。所得税における総合課税主義は、その重要なあらわれの一つであります。このような財政の果たすべき機能から見るとき、マル優廃止、二〇%一律分離課税は、政府みずからが財政の本来的機能を放棄し、所得を逆再配分すする結果をもたらすこととなると言わなければなりません。総理、大蔵大臣の所見を伺います。
なお、政府は、マル優廃止による利子所府課税が、所得税減税の恒久的財源として適切であると説明しております。しかし、マル優廃止によって生ずる税の増収分が平年度一兆数千億円も期待できるのは、預貯金の満期経過後に利子所得が発生することとなるため、数年先になると考えられます。政府は、本年度以降各年度の増収金額をどう見込んでいるのか伺いたい。さらに、利子課税が何ゆえに恒久的、確定的減税財源であるかについても所見を伺いたい。
次に、本法案について質問します。
NTT株の売却収入の使途については、公社の民営化に当たり、これが国民共有の財産であるとの認識のもとに、衆参の逓信、大蔵両委員会において慎重に審議された結果、国民共有の負債である国債の償還財源に充てるべきことが国会の意思として決定され、国債整理基金特別会計法の改正がされたのであります。ところが、今回の政府提出法案は、NTT株の売却収入が当初予定していた額をはるかに上回ったことを奇貨として、国債の償還財源以外に振り向けようとする内容であります。今回の政府提案は、国会の意思と相反するものと言わざるを得ません。本法案と右国会の意思との関係について政府の所見を伺いたい。
さて、政府は、本法案による公共事業への貸し付けが内需拡大に資する旨説明しております。しかし、これを受け入れる地方自治体の財政は、一般財源に対する公債費負担比率が、昭和四十五年度には五・一%であったものが六十年度には一四・三%、現在ではさらに上昇しているものと考えられます。かかる状態において、今般の貸付金に見合う地方負担分としての地方債発行は、地方自治体の財政硬直化をますます進行させることが予想されます。この点について自治大臣の見解を伺いたい。
さらに、この貸し付けが内需拡大に役立つか否か甚だ疑問であります。真の内需拡大は、大多数の国民に対する全国的規模における資金の配分でなければなりません。仮に公共事業への資金貸し付けである場合でも、住宅、下水道等生活関連社会資本の充実を目指すべきであります。今般の公共事業への貸し付けが内需拡大に真に役立つか否か、経済企画庁長官の所見を伺いたい。
また、本法案は、公共事業に係る貸付金の償還資金について、国が償還時に償還金相当額の補助金を交付することとしております。政府は、この補助金の資金としてどのような財源を考えておられるのか。仮に、その時点において国債発行を予定しているのであれば、現在において建設国債を発行することに比較していかなる差異があるというのでしょうか。いずれにせよ、今回の措置は将来への負担の先送りであり、財政再建への足かせとなることは明らかであります。この点について大蔵大臣の明確な見解を伺いたい。
ところで、NTT株は、今後昭和六十二年度から六十四年度まで百九十五万株ずつ売却され、その後も売却可能株式は二百六十万株あります。その売却収入は、現在の株価から見て、かたく見積もっても毎年度四兆五千億円程度になることが予想され、したがって、少なくとも数年間は安定した収入源であると考えられます。政府の今後の株売却による収入見通し及びその使途についての見解を伺いたい。
以上指摘したように、マル優廃止を含む利子課税の見直しは不公正税制を是正するものではなく、かえって不公正を助長するものであり、他方、NTT株売却収入を本法案のごとく処分しても内需拡大効果が望み薄であることを考慮するならば、NTT株売却収入は大多数の国民に均てんする所得税減税の財源とすべきであり、特に中堅サラリーマン層への減税に充てるべきものと考えます。総理並びに大蔵大臣の所見を伺いたい。
ところで、内需を拡大するためには、現在の大都市圏における地価異常高騰問題の解決が不可欠と考えます。言うまでもなく、土地は工場において自由に生産し流通に置くことのできる商品ではありません。したがって、土地は本来的に人類共通の公共的資産であり、所有権の対象として見るよりも利用権の対象として見るべきものであります。
現在の大都市圏の地価の異常騰貴を是正するためには、土地所有権の内容の制限が重視されるべきであります。総理は土地所有権の内容制限を必要と考えられますか。もしそうであれば、その具体的方策について所見を伺いたい。
次いで、土地がこのように生産不可能の資産であることを考えるとき、土地は可能な限り国有、公有ないし公共的団体の保有にしておき、国民共通の利用に供することが肝要と考えられます。この際、改めて、政府として国有地、公有地の売却処分に対しいかなる見解を有しているか伺いたい。また、現在実行されつつある旧国鉄所有地の売却についても、その妥当性につき再考すべきものと考えますが、この点についても総理の率直な見解を伺いたい。
最後に、国土利用計画法に規定する土地売買規制地域の早期具体的指定について、国土庁長官の所見を伺って私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕