近藤忠孝の発言 (本会議)

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○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、所得税法一部改正案に対し質問いたします。
 総理、あなたの税制改革のやり方は、民主主義と国民主権、議会制民主主義の原理に全く反するものであることを最初に強調しておきます。
 「大型間接税とかマル優廃止とか、そういうようなことを私がやるもんですか」、これが昨年同時選挙における総理の公約です。この公約をかなぐり捨てた二つの大増税法案は、当然のことながら列島騒然となる国民の怒りと猛反対により、さきの国会で廃案となりました。これが国民の審判であります。しかるに、総理、あなたはこれに耳を傾けず、我が党を排除した税制協議会の議を経たと称して、わずか二カ月後にこのマル優廃止法案を提出いたしました。これが国民に対する重大な背信行為でなくて一体何でありますか。
 総理は、マル優廃止を突破口に、再び税制協議会を足がかりにして、直間比率見直しの名による大型間接税導入の作業を進める態度をあからさまにしております。公約違反の大増税は二つ一緒では困難だが、分離して一つ一つ提案すれば国民をだませるとの魂胆がありありであります。国民主権と議会制民主主義に対する重大な挑戦と言わなければなりません。本法案の撤回と新たな大型間接税導入計画の断念を強く求めるものであります。
 総理、最近の財テク、マネーゲームや狂乱地価のもとで、国民の間に所得格差に加え深刻な資産格差が広がっているのであります。このような中で、今回のマル優廃止は、大資産家の貯蓄については、最大の不公平税制是正に必要な高額利子所得総合課税化への道を完全に放棄し、選択分離課税の税率三五%も二〇%に減らす一方、従来非課税であった庶民の貯蓄に対しては、どんな低所得者のものでも一律二〇%の税率を課そうとするものであります。これは、税は能力に応じて負担するという近代税法の基本である応能負担の原則に反しませんか。また、大資産家優遇の結果、国民の間の資産格差拡大に一層油を注ぐことになりませんか。
 さらに、マル優廃止に伴って、金融機関の総合課税利子分についての支払い調書提出義務がなくなります。二〇%の税金さえ払えばどんな性格の金でも全く野放しで、銀行預金は脱税資金の温床になり、架空名義や名義分散などによる相続税逃れ勝手ということになりませんか。不公平是正と言いながら、結局は新たな不公平への踏み込みだという批判にどうこたえますか。
 マル優の不正利用は現行制度で十分チェックできます。国税庁は六十五歳以上の限度枠管理のためにコンピューターを使って名寄せをすることにしていますが、これは全体についてもできるはずであります。昨年、国税庁が本人確認強化のために準備完了した限度管理の電算機システムで実現可能ではありませんか。答弁を求めます。
 マル優廃止は、マル優が貿易摩擦の原因だというアメリカの圧力に屈したものであり、国民への公約よりもアメリカへの約束を優先させたものでありますが、果たしてマル優廃止によって国民の消費拡大、内需振興が図られるものでありましょうか。個人の貯蓄率の高さは、我が国社会保障の不備の反映であり、住宅、教育、その他将来の必要に備えてやむを得ず蓄えているのであります。賃上げ抑制、長時間労働、社会保障の抑制、地価高騰などを放置していては真の内需拡大は実現いたしません。
 むしろ問題なのは、大企業の貯蓄とも言うべき内部留保の高さであります。近年、我が国の大企業は、膨らんだ内部留保を、本来の事業ではなく、財テク、マネーゲームに投じ、投機利潤を追い求めております。この巨額の資金の流れを大きく変え、国民本位の内需拡大の方向に向けることが必要であります。そのためには、大企業の財テク活動による利益への追加的課税や、外国為替投機に対する適切な規制が必要ではありませんか。
 次に、減税の問題についてただします。
 政府は、減税の上乗せを強調しておりますが、衆議院審議段階の修正額はわずか二千四百億円にすぎません。このうち、審議再開の条件として自民党が示し、社公民各党がのんだ再上積み額の四百億円は計数整理によるものであり、何ら実質的減税の上積みではありません。悪法を通すためのこそくな手段と言われても仕方がないではありませんか。
 所得減税の方法も問題であります。人的控除は一人三十三万円に据え置かれたままであるのに、最高税率七〇%は一〇%も引き下げられます。減税の効果が高額所得者の方に多く及ぶ金持ち優遇ではありませんか。特別配偶者控除についても、給与世帯三七%の片働き世帯にしか減税の効果が及びません。すべての世帯に減税の効果が及ぶ基礎的な人的控除の引き上げによる課税最低限の引き上げの方がより公平ではありませんか。共働き世帯の場合は、大半の世帯が増減税差し引き増税になることを政府は認めながら、どの階層にも減税の効果が及ぶかのごとき宣伝をするとは一体何事でありますか。また、所得税非課税の低所得世帯にとっては、減税なしの増税だけではありませんか。これでどうして公正な税制改革と言えますか。
 以上、答弁を求めます。
 我が党は、このような増税つきのわずかな減税ではなく、増税なしの三兆円減税を求めるものであります。財源はあります。株式や公社債の売買額は急増し、ことしは二県円に近づくと言われていますが、ここに有価証券取引税を〇・一%上乗せするだけで数兆円の増収になります。ところが、政府は逆に引き下げようというのであります。
 また、現在の株式譲渡益のうち、課税対象は年間わずか五億円にすぎません。キャピタルゲイン原則課税にすれば、さらに多額の税収が得られます。コンピューター時代の今日、納税者総背番号制をとらなくても、これに対する課税は可能であります。なせ実施しないのでありますか。
 現在、大企業の海外進出は、産業の空洞化など国内経済に梁刻な影響を与えていますが、このような大企業は、外国税額控除制度によりまして、資本金三百億円以上の巨大企業だけで年間五千三百億円も税免除がなされております。この際、抜本的に縮小することを求めます。
 増資でほろもうけをしても課税対象とならない株式時価発行差益非課税制度、大企業の株式投機に拍車をかけている受取配当益金不算入制度なども当然に見直されるべきであります。答弁を求めます。
 本法案は、このような当然の措置に手をつけておりませんが、法人税は税率上乗せ廃止によって四千億円の減税を先行させております。これに対する法人の増税はないばかりか、新たに投資減税も行っていますが、これらは大企業に対する一層の優遇措置ではありませんか。
 以上、私は、マル優廃止反対、大幅減税と税制の民主的改革、そして地方自治の確立を強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 110915254X01019870904_024

発言者: 近藤忠孝

speaker_id: 31842

日付: 1987-09-04

院: 参議院

会議名: 本会議