玉城栄一の発言 (本会議)

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○玉城栄一君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました在日米軍労務費特別協定の改正議定書の締結について承認を求める件について、竹下総理大臣並びに関係大臣に御質問を申し上げたいと存じます。
 在日米軍経費の日本側負担増の問題は、昨年十月七日以来、中曽根内閣のペルシャ湾の安全航行確保対策の一環として検討されてきたことは、客観的な状況から明白であります。にもかかわらず、政府はこれを否定し続け、単に円高・ドル安を最大の理由に挙げて、我が国の自主的な判断でこの特別協定改正議定書を締結したと述べておられるのであります。しかし、私は、この改正議定書は、あくまでも米国の世界戦略の流れの中で締結されてきたものだと思わざるを得ないのでありますが、総理の御見解を承りたいと思うのであります。
 地位協定二十四条に関する特別協定は、昨年の六月に発効いたしたばかりであります。しかも、これは五カ年間の効力を有するものでありますが、その後一年もたたずに改正というのでは、余りにも政府の見通しが悪過ぎると言わざるを得ないのであります。今年一月、竹下総理が訪米された際のお土産だったとしか考えられないし、まさに朝令暮改のそしりを免れないと思うのでありますが、総理はどうお考えでいらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。
 政府は、この特別協定改正議定書の国会承認を大変お急ぎのようでありますが、もしこの改正議定書が承認されますと、六十三年度の途中から在日米軍基地従業員の諸手当の全額を日本側が負担することが可能であるということになっておりますが、六十三年度政府予算案には諸手当の二分の一しか計上されておりませんので、当然補正予算を組むおつもりなのかどうか、お伺いをいたします。
 在日米軍労務費の諸手当全額を負担するということになりますと、必要な経費は約四百億円になります。さらに、米軍への施設関係予算は六十三年度予算案には約八百億円計上されております。政府は、この労務費と施設費を合わせたいわゆる米軍への思いやり予算については今後ともますます増額しようというふうにおっしゃっておられますので、これらの費用は当然のことながら政府が今進めている中期防衛力整備計画の総額である十八兆四千億円の枠内で処理されるものと思うのでありますが、確認の意味も含めてお伺いをしておきたいと思うのであります。カールッチ米国防長官は、日本の米軍支援総額は二十五億ドル以上となっている、人員一人当たりで四万五千ドルとなり、ホスト・ネーション・サポートとしては世界の中で最高であると述べており、またアーミテージ米国防次官補も米下院歳出委員会の軍事建設小委員会で同じ数字を挙げるとともに、日本は米軍が駐留している国の中でも最も気前のいい国だと述べているのであります。なぜ我が国だけがこのように、また、それ以上に負担していかなければならないのか、国民に納得のいく説明を当然政府はすべきであります。国民の理解と支持なしには我が国における米軍基地の存続はあり得ないと思うからであります。お伺いをいたします。
 さらに、この機会に竹下総理にぜひお伺いをしておきたいと思いますことは、沖縄米軍基地の実態について、総理はどのような御認識をお持ちでいらっしゃるのかということについてであります。
 昭和四十七年、沖縄の本土復帰に際して米軍基地の整理縮小の国会決議が行われ、政府はそれを誠実に遵守するとお約束をしたはずであります。しかるに、沖縄の本土復帰後十六年を経た今日、今もなお米軍基地は、在日米軍基地の四五%が沖縄に集中し、米軍の常時使用する専用施設においては何と七五%が沖縄に存在しているのであります。沖縄本島においてはその面積の二〇%が米軍基地であり、嘉手納空軍基地のある嘉手納町においてはその八三%が米軍に提供されているのであります。そのほか沖縄の美しい海と空も、米軍への提供海域、提供空域に占められ、まさに基地の中の沖縄という実態は本土復帰後十六年を経た今日も、今もなおそのままであり、むしろ逆に米軍の基地機能はますます強化拡大されているのであります。依然として沖縄県民は復帰前よりまさるとも劣らない苦悩を強いられておるのであります。このような実態について竹下総理はどのように受けとめておられるのかお伺いをいたしますとともに、政府は、沖縄の米軍基地の整理縮小について具体的にどういう計画をお持ちなのか、お伺いをいたしたいと思います。
 さらにまた、お伺いをいたしたいことは、この改正議定書は米軍基地従業員の安定的雇用の維持に役立つと先ほどもおっしゃっておられたのでありますが、果たしてそうでありましょうか。昨年六月、あの特別協定が成立した直後、米軍は基地関係従業員三百三名の大量解雇を通告してきた事実があるのであります。この問題はまだ懸案のままでありますが、今後は一体どうなるのか。果たしてこの改正議定書によって政府の言う米軍基地従業員の雇用の安定が図られるという保証が本当にあるのでしょうか。先ほどの三百三名の解雇問題も含めて竹下総理の明快な御答弁をお願いしたいと思います。
 さらにお伺いしておきたいことは、今沖縄で最も泣かされているのが、基地の外で米軍用貸し住宅を建設した方々であります。この人たちは、米軍の意向を受けた政府の要請に従って、米軍の住宅不足を補うために借金までして米軍用貸し住宅を建ててきた方々であります。ところが、その後、思いやり予算に基づいて我々日本人にはとても手の届かないような大変立派な高層マンションを政府が次々と米軍基地内に建設したために、約千数百戸の米軍用民間貸し住宅はすべて空き家となってしまったのであります。現在でも政府は大量に基地内で建設中でありますが、こういう政府の場当たり的政策によって犠牲を受けているこれらの方々を一体どのように政府は救済するおつもりなのか、お伺いをしておきたいと思います。
 次に、我が国の防衛問題についてお伺いをしてまいりますが、かねてより米国内からしばしば伝えられる日本の防衛支出が少な過ぎるという声は、私は異常だとしか思えないのであります。国民の目から見ると、政府に何か米国に対し負い目でもあるのかとさえ受け取れるほどであります。一体米国は我が国にどれだけの防衛負担を求めようとしているのか。防衛力増強の要求は、結局、米国のアジアでの肩がわりを我が国に求めているのではないでしょうか。さらに、三年続きの米国防予算削減は在韓米軍の撤退につながるものと受け取られておりますが、政府は、在韓米軍の撤退の可能性についてどのような御認識をお持ちなのか。また、在韓米軍の撤退が行われたとするならば、日本の防衛政策のスタンスは変わり得るのかどうか。さらに、在韓米軍の撤退に伴って沖縄の米軍基地並びに自衛隊基地はさらに強化されるのではないかと私は危惧いたしますが、政府はどのようにお考えになっておられるのか、お伺いをいたします。
 先ほどの防衛庁長官のお話もありましたけれども、この際、この前の訪米によりまして日米防衛首脳会談で合意された日本有事の際の米軍の来援の問題についての日米共同研究は、さまざまな問題を内包するものであります。日米安保条約が改定されて二十八年経過した現在、これまで検討されなかった日本有事における米軍の来援研究が今なぜ必要なのでしょうか。特に、一年前、日本側から申し入れる考えはないと言いながら、前言を翻して、先ほど長官もおっしゃった、日本側からなぜ申し入れを行ったのでしょうか。その背景と目的は少しも国民の前に示されていないのであります。政府の御答弁を求めるものであります。
 私が特に指摘しておきたいことは、昭和五十三年の「日米防衛協力のための指針」いわゆるガイドラインによって、日米の防衛協力が着々と進められているということであります。日本有事における日米共同作戦の研究、シーレーン防衛の共同研究、相互運用性の共同研究、さらには今回の有事来援研究と続いていることを見れば、ガイドライン路線によって安保条約が事実上拡大強化をされつつあると言わねばならないのであります。ガイドラインでは、この結論がそれぞれの政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではないとされているものの、実態的には、我が国の防衛政策、予算に直接反映されているのであります。結局、国民にその中身が公表されないまま、国民の権利義務や防衛政策の基本に関する研究が日米で続けられていることは、シビリアンコントロールの点から見ても大きな問題と言わざるを得ないのであります。竹下総理は、つかさ、つかさでと防衛庁に任せきりで、リーダーシップを何ら発揮しておられないではありませんか。軍人同士の極端な話し合いの中で、日本は一体どこへ行くのか、いつか来たあの危険な道へ再び行くのではないかという大きな不安が国民にはあるのであります。竹下総理の御見解を伺いたいのであります。
 日本有事の米軍来援の研究は、単なる研究にとどまらず、新たな協定、有事立法へとつながるものであることは、政府が何と抗弁しようと明らかであります。有事においては、鉄道、船、航空機、道路などの輸送、土地の収用、物資調達など広範な分野が入り、民間を巻き込むことは必至であります。さらに、この研究は、日本有事にだけ限るという保証はなく、極東有事、中東有事にも対処することになるのではないかといった疑問などなど、単なる研究というだけでは済まされない、さまざまな重大問題が出てくるのであります。政府は、これらの疑問に対し、単なる抽象的な答弁ではなく、客観的に、国民にわかりやすい御答弁を求めるものであります。
 さらに、有事来援の中核として、部隊装備の事前集積の問題があります。この事前集積には、五千億という膨大な経費がかかると言われておるのでありますが、一体この経費について日米どちらが負担するのか、もし日本側が負担するならば、思いやり予算の中で負担しようという考えなのか、明確にお答えをいただきたいのであります。
 この思いやり予算が創設された五十三年には六十億円だったのが、新年度予算案では実に千二百億円にも達しており、この十年間で二十倍にもなるという驚異的な伸び方であります。政府の言う思いやりは米国の顔色をうかがう思いやりであり、日本が米国の世界戦略に一層組み込まれ、軍事大国化への道を邁進する危険な選択ではないかと私は危惧するものであります。米国の国防費削減のツケを我が国が負担するいわれはないし、日本は米国の金づるでもなければ打ち出の小づちでもないはずであります。大事な国民の血税をこういう形でどんどん米軍へ提供することは国民の理解を得られないと私は思いますが、総理並びに関係大臣の良識ある御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕

発言情報

speech_id: 111205254X01219880331_014

発言者: 玉城栄一

speaker_id: 31895

日付: 1988-03-31

院: 衆議院

会議名: 本会議