岡崎万寿秀の発言 (本会議)
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○岡崎万寿秀君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、米軍地位協定に関する特別協定を改正する議定書について質問します。
今日、世界はINF全廃協定の締結にあらわれた核軍縮の流れが大きく前進しようとしています。しかし、一方では、核兵器に固執し新たな軍拡を進める動きが強まっております。こうした中で、世界で唯一の被爆国であり、非核三原則を国是とした日本が進むべき道は、核兵器廃絶と軍縮への道でなければなりません。しかし、政府は、アメリカの核戦略への加担をますます強め、安保条約に基づく軍事分担を拡大する一方であります。今回の地位協定に関する特別協定の改正は、その重大なエスカレートであり、絶対に容認できません。以下、具体的に質問をいたします。
総理、この協定は、私たちの強い反対にもかかわらず、昨年五月に締結されたばかりであります。その際政府は、在日米軍経費の負担増について、昨年五月十八日の外務委員会における私の質問に対して、日本人基地従業員の労務費のうち、手当の「八項目についてその二分の一までを上限といたしまして、それを五年間ということで国会の御承認を得る条約として現在御審議いただいているわけでございます。そこに明確なる上限があるわけでございます。」と言明をいたしました。もともと基地従業員の諸手当は、地位協定第二十四条一項に基づいてすべて米軍が負担すべきものであります。したがって、地位協定の解釈ではどうにもならないので、五年間手当の二分の一負担という時限的、暫定的な特別協定の形をとり、それ以上拡大しない明確なる上限を国会で約束したのであります。ところが、それから一年もたたない今日、政府はその上限を超え、本改正で手当の全額負担を押しつけようとしています。昨年、政府は、今日にかけての円高・ドル安状況を理由にして米軍経費の一部を負担する五年間の特別協定を締結したのであります。日米経済状況の変化は今日の改正の理由にはなりません。そんなことでは国会の権威はどうなるのか、なぜ国会と国民への約束をほごにしたのか、その責任について明快な答弁を求めます。(拍手)
政府が国会の約束を破ってまで特別協定を改正し、米軍経費の日本負担増を図る背景には、昨年九月、当時の栗原防衛庁長官が訪米の際、ブッシュ米副大統領が在日米軍への思いやり予算の増額を要請したことにも見られるように、米国の強い要求があります。総理は本年一月の訪米に当たって、この在日米軍経費負担の日本側肩がわり強化のための日米特別協定改正の方針を手土産にしました。こうしてわずか一年で協定を改め、現行の基地従業員手当の二分の一負担を全額負担とするのは、国会を愚弄し、我が国の自主性を貫く態度ではないと考えますが、総理の所見を伺います。(拍手)
次に、手当の日本全額負担の理由として、日米両国を取り巻く最近の経済情勢の一層の変化を挙げています。しかし、レーガン軍拡がつくり出した双子の赤字対策としての今日の異常円高の進行に協力し容認してきたのは、中曽根、竹下内閣ではありませんか。円高・ドル安が進めばその分米軍経費を日本が負担するというやり方を認めるなら、我が国の負担増は今後も一層拡大する結果となります。こうした口実を繰り返すつもりか、外相にお尋ねします。
今回の改正の真の理由がペルシャ湾における米軍の軍事行動を支援するための措置だということは明白であります。昨年十月七日に政府が決めた「ペルシャ湾における自由安全航行確保のための我が国の貢献に関する方針」は、米軍のペルシャ湾軍事干渉への我が国の支援策をまとめたものでありますが、そこには「米国が、ペルシャ湾を含め国際的な平和と安全の維持のためにグローバルな役割を果たしている状況の下で、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制のより一層の効果的運用を確保する見地から、適切な対象について在日米軍経費の軽減の方途について米国と協議を行う。」と明記しています。特別協定の改正は、まさにこの方針の具体化ではありませんか。総理は、今回の在日米軍経費の負担増が、ペルシャ湾で行動する米軍への間接的な支援とお認めになりませんか。
これは、大変重大な問題であります。米軍はペルシャ湾で軍事干渉を繰り返しておりますが、日本はこれに軍事支援ができないからといって、在日米軍経費の日本負担をふやすことでアメリカの要求にこたえるというのでは、日本の軍事分担は、まさに歯どめなき状態に置かれるわけであります。米軍がその世界戦略に基づいてみずからの利益のために行動することに対して日本が在日米軍経費の負担をふやすことで報いるということは、国際紛争の関与を禁じた憲法上、断じて許されないことであります。あわせて総理の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
さて、今日、安保条約強化のもとで日本の軍事分担の行き着く先はどこかという問題があります。
一九八〇年三月、アメリカのピンクニー国防総省東アジア・太平洋局長が議会で、我々の目標は、日本が、日本で働く我が国の軍事要員の実際の給与以外、すべてのアメリカの経費を引き受けることだと述べました。日本政府は、この証言がアメリカ政府の見解ではないなどと言ってきましたが、事実はこの方向へ着実に進んでいるのであります。既に日本人基地従業員の労務費の日米分担は、昭和六十三年度は日本が四百十一億円、三四・四%となり、今回の改正で手当の全額日本負担が実施されると、六十三年度をベースにすると日本が労務費の実に五一%を超える計算になります。また軍事建設費は、六十三年度で日本の負担は九七%、七百九十二億円となっているのであります。今日の日本の軍事費分担は、アーミテージ米国防次官補が、米兵一人当たり四万五千ドルという世界最高の支援と称賛している水準であるにもかかわらず、自民党の安倍幹事長は昨年十一月、在日米軍経費のアメリカと日本の負担割合を五分五分にする意向であるとまで表明したのであります。これは政権党の幹事長の発言だけに、アメリカ政府にとって新たな軍事費増額要求のてことなるおそれがあるものであります。それはまた、米軍地位協定それ自体を改定しなければ不可能なことであります。総理は、米軍地位協定の改定についてどう考えているのか。基地従業員の本給負担やそれに伴う地位協定の改定は絶対にやらないとこの場で言明すべきではありませんか。
総理、国民にとって重大なことは、こうした膨大な在日米軍経費肩がわり負担、思いやり予算の拡大が、国民生活関連予算の削減、国民の暮らし破壊と表裏一体の関係で行われているという問題であります。
思いやり予算は、この制度が始まった昭和五十三年度以降の十年間で実に十九倍にも膨れ上がっています。本協定の改正で政府は、米国に対して二百億円以上の新規負担ができるようにする一方、六十三年度予算案では生活保護費を二百五十億円削減し、憲法で保障された生存権をも奪う生活保護打ち切りに一層拍車をかけようとしています。アメリカの対日圧力によってもたらされた異常円高は、日本経済を支えてきた中小零細企業に重大な影響を与え、昨年九月には、全国五十五の輸出型地場産地の休廃業件数は二千三百七十八件にも達しています。ところが、政府は、円高を推進したアメリカには本特別協定の改正によって在日米軍経費の日本負担を拡大しながら、中小企業のための円高被害救済策として進めてきた緊急経営安定対策は本日をもって打ち切り、廃止しようとしています。まさに国民の暮らしよりも日米安保を優先させるものではありませんか。在日米軍に対して大盤振る舞いを行う一方で、社会的弱者、中小企業のための施策を次々と切り捨てることが政府の言うバランスのとれた政治ということなのか、明確な答弁を求めます。(拍手)
さらに、こうした新たな対米軍事分担などの軍事費を賄うために公約違反の新大型間接税の導入をたくらむなど言語道断であり、その断念を厳しく要求するものであります。
最後に、こうした在日米軍経費の日本負担の大幅拡大はまさに日米軍事同盟に根差すものであり、今日急ピッチで進められている日米共同作戦態勢の一層の強化と一体をなすものであります。その一つ、いわゆる有事来援研究の中で米軍物資の事前集積、ポンカスを認めていくようになれば、そのために新たな費用負担を日本が担わされることになるし、また、新たな施設提供ということにもなっていくことは必至であります。これではアメリカの言いなりに軍拡と軍事費の分担が拡大する一方ではありませんか。総理の見解を求めます。
このように日本が世界の核軍縮の流れに逆行して軍事的にも財政的にも一段と米核戦略を補完するものとなっていることは、極めて重大であります。本件特別協定を改正する議定書もまさにそういう性格のものであり、私はその撤回を強く求めて、質問を終わるものであります。(拍手)
〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕