藤井宏昭の発言 (内閣委員会在外公館に関する小委員会)
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○藤井(宏)政府委員 本年五月二十三日の小委員会の会合に引き続きまして、戸塚小委員長のもと、本日の会合を開催していただきましたことに深く感謝申し上げます。
初めに、最近新聞等で話題になりました当省職員の関与したいわゆる財テク問題につきまして、簡単に御説明いたしたいと思います。
和田元理事官のいわゆる私的ファンドに関与した外務省員は、外務省員百名以上につきまして当方による調査をしました結果、現地職員二名を含めまして計十三名であることが判明いたしました。
和田元理事官の行為それ自体は、他人から資金の預託を受けましてこれを運営していたということで、国家公務員法あるいはウィーン条約に照らしまして問題のあるところであるというふうに思います。しかしながら、関係した職員の行為、すなわち利殖のために資金の運営を和田元理事官に預託いたしました行為それ自体は、法的な問題はもちろん、外交特権の乱用という問題でもないという点はまず御理解賜りたいと思います。
しかしながら、伊達及び太田両大使の行為につきましては、大使のように指導的な立場にある者が再三にわたって和田元理事官に資金を預託いたしまして、結果として和田元理事官の行動を助長するということになったわけでございますので、省員なかんずく大使としては慎重さを欠くものであり、職員としての信用を損なうものと判断いたしまして、十月十二日付で内規に基づく譴責処分となったわけでございます。また、本件ファンドに関与しました事務官一名につきましてもやはり軽率であったという点は否定できませんので、同事務官についても同日付で譴責処分としたわけでございます。さらに、館長としての監督責任という見地から、和田元理事官の在ジュネーブ代表部在勤当時の館長でございました千葉現駐英大使につきましても、十一月十日付で譴責処分となったわけでございます。
外務省としては、今回の事件は遺憾なことと考えております。特に、在外公館におきまして精励している当省職員のイメージが今回の事件で損なわれたことを非常に残念に思っております。このようなことが再び起こらないよう、外務大臣の全在外公館長に対する訓令などによりまして、今回の出来事を契機として外務省員としてさらに一層襟を正すべく、職員としての信用を害したりその品位を失うことがないよう改めて全省員に対し指導の徹底を図った次第でございます。また、在外公館を対象に定期的に行っております査察制度の強化拡充の具体案につきまして現在検討中でござ
います。
当省に対し常日ごろから深い御理解、御支援をいただいております本小委員会の委員各位に対しまして、今回の事件でお騒がせしたことを大変申しわけなく思っております。この場をおかりしておわび申し上げ、また、今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げます。
さて、前回の会合におきまして、昭和六十一年十二月、北口小委員長から賜りました小委員長所見に基づきまして、我が国の外交実施体制強化の観点から、一つは在外公館施設の整備拡充、さらに不健康地対策の強化、また在外職員の定員の増員、さらに海外子女教育問題、また在外公館の警備対策、さらに緊急時の邦人保護、さらに在外公館の事務処理体制と通信体制の強化、こういう点につきまして、小委員会各委員より貴重な御意見を賜りました。
そこで、本日はまず、このような諸点に即しまして、その後の実施状況、昭和六十四年度予算要求の状況、いまだ懸案として残されている点などにつきまして、取りまとめ御報告させていただきたいと存じます。なお、海外子女教育問題及び緊急時の邦人保護、旅券の問題につきましては、別途、領事移住部長より御報告いたしたいと存じます。
まず、外務省の定員についてでございます。
国家公務員総数が純減となる厳しい状況のもとにおきまして、先生方の御理解と御支援もあり徐々に拡充され、六十三年度には、お手元にお配りいたしました資料1の表に示されるように、定員は四千百四十八人、本省千六百九十三人、在外二千四百五十五人となっております。
しかしながら、我が国の国際的地位の高まりと国際的責務の増大及び国際化の進展に応じまして、我が国と諸外国との関係はあらゆる分野で急速に緊密化しております。特にここ二、三年の円高とそれを背景とする我が国の急激な変化、例えば昭和六十年から六十二年の二年間に、海外直接投資額は二・七倍に伸びましたし、海外渡航者数は一・四倍に増大しておりますが、そのような急激な変化に伴いまして、外務省の事務負担もあらゆる分野において急増しております。かかる変化は、事情変更と言い得るほど急激かつ著しいものでございます。
この関連で特に指摘すべきことは、これまで縁の薄かった諸国も含めまして、世界の個々の国々に対しまして我が国が及ぼす影響力が決定的に増大いたしまして、我が国の政策、行動が個々の国々にとって死活的な重要性を有するに至ったことでございます。この結果として、外務省に対する行政需要があらゆる分野で急増しているのみならず、個々の国に対して従来以上に積極的かつきめの細かい外交を展開していくことが緊要となっております。このためには、各国の実情に通じた要員の存在が不可欠でございます。
外務省の定員は徐々に拡充されてはいるものの、なお十分な体制とは言いがたく、特にただいま述べましたような事情変更のもとでは、定員拡充は従来にも増して喫緊の課題となっております。外務省は従来から五千人体制の実現を各方面に訴えてきましたが、五千人ならばそれで足りるのかという感を深めているのが実情でございます。とりあえずは、できるだけ速やかに定員五千人を達成することが焦眉の急であると考えております。
第二は、在外公館施設の整備拡充でございます。
我が国の外交実施体制を強化するためには、外交の第一線の拠点である大使館事務所、大使公邸、館員宿舎等、在外公館の施設を整備拡充することが急務でございます。
これまでも、お手元の資料3にございますように、毎年事務所、公邸の新営工事、購入等を着実に進めておるところであり、六十三年度末の国有化率は、事務所で二八・五%、公邸で六一・〇%となっております。特に今年度については、在外公館施設の整備には優先的配慮を行い、非常に厳しい財政状況のもとではありますが、諸先生方の御支援を得、在外公館施設費として、対前年度比実質二七・六%増の三十五億一千万円が認められたところでございます。
六十四年度予算では、新首工事の新規あるいは継続分予算として、在西独大使館、ジュネーブ代表部事務所及び在シンガポール大使公邸の建設費用、在ノルウェー、ザンビア、中国大使公邸設計費用などを要求しております。しかしながら、先生方御承知のとおり、我が国の在外公館施設の中にはいまだ整備を要するものが多いことも事実でございまして、引き続き努力を重ね、中長期の観点から、できる限り計画的に在外公館の国有化に意を用いてまいりたいと考えております。
また、施設修繕及びインフラストラクチャーの整備に関しましても、六十三年度予算においては、アフリカを初めとする不健康地公館の整備経費の増額を見るなど改善を見てはおりますが、在外公館の果たすべき役割から見れば、施設の整備はいまだ不十分でございます。今後とも既存施設の修繕と維持管理のためのインフラストラクチャーの整備を行っていく所存でございます。
第三は、不健康地対策の強化でございます。
我が国の百七十一に及ぶ在外公館のうち、ほぼ三分の二がいわゆる不健康地にございます。そこに在勤する在外職員は、全在外職員二千五百人のうち約半数に当たります。不健康地対策関係予算の推移は資料4のとおりでございます。六十二年度及び六十三年度予算は前年度比減となっていますが、これは円高に伴う減でございまして、実質的にはかなりの伸びとなっております。また、不健康地対策の内容は資料5のとおりでございます。健康管理対策、宿舎対策、物資対策などから成っております。
不健康地に在勤する在外職員にとって、何よりもまず健康管理は非常に大きな問題となっておりますが、こうした意味において、医務官制度は不健康地対策の柱でございます。アフリカなどにおいては医務官は神様だと言われているほどでございます。医務官の定員は、昭和三十八年の制度発足以来漸次ふえておりまして、本年度までに三十三名となっておりますけれども、いまだ十分ではございませんで、特勤度の高い公館すべてに医務官を置くことを目標といたしまして、今後とも増員に努力をしていきたいと考えております。なお、医務官の配置については資料6をごらんいただきたいと存じます。
また、不健康地のうち、特に勤務環境の厳しい地にありまして医務官の置かれていない公館につきましては、医務官の配置されるまでのつなぎとして、現地の医師を館の顧問医として特別委嘱することを六十四年度予算において要求しております。このほか、六十四年度にはさらに、医務官用の医薬品の購送や急病人発生の場合の緊急移送のための経費についても予算要求をしております。
また、最近のイラン・イラク紛争、アフガニスタンでの戦闘、ビルマ政変に見られるように、世界各地では戦争等さまざまな異常事態が発生しておりまして、当省職員の在外勤務、海外出張時の危険はますます増大しておりますけれども、この面においても在外職員の勤務環境の整備を図る必要があると考えております。
このような勤務環境の非常に厳しい地にある在外職員が少しでも安んじて外交活動に専念できるよう、各種対策を一層充実させることが必要でございまして、本小委員会の力強い御支援によりまして不健康地対策も少しずつ前進させてまいりましたが、今後とも引き続き御支援方、切にお願い申し上げます。
第四は、在外公館の警備対策でございます。
本年四月に発生しましたナポリでの米軍クラブ爆弾テロ事件に重信房子などの日本赤軍が関与したと見られるのを初め、日本赤軍メンバーと見られる菊村憂が爆弾を所持して米国で逮捕されるなど、最近日本赤軍の活動が活発化しており、また、日本赤軍は、丸岡修の逮捕に対する報復を示唆した声明を出しており、今後の在外公館などに対するテロ活動が懸念されるところでございます。他方、近年における世界的な治安の悪化及び我が国の世界的プレゼンスの増大とともに、お手元の資
料7にありますように、我が国在外公館を目標としたロケット弾攻撃、爆弾設置、潜入占拠及び脅迫などの行為は年々増加しておりまして、昨年は百六十一件、本年は九月末現在で既に百三十八件の事件が発生しております。
ソウル・オリンピックでは、各方面で万全な体制を組んだため大きな事件が発生しなかったことからも明らかなとおり、警備対策に万全を期せばテロなどの試みを未然に防止することは可能と考えられることから、今後とも我が国在外公館の警備を強化していく所存でございます。
昭和六十四年度予算では、このような我が国の在外公館を取り巻く治安情勢を念頭に置きつつ、引き続き、各公館の警備施設の一層のレベルアップを図ると同時に、近年多発傾向にある各種爆弾テロ、誘拐、襲撃など、主として公館外で発生するテロに備えるための対策などを主体に、警備強化策を講じていく所存でございます。
いずれにしましても、在外公館の安全は我が国の外交を推進していく上での大前提となるべきものでございますが、我が国公館の警備施設などの整備は、欧米先進国に比べましても大幅におくれているのが現状でございまして、今後とも警備強化対策を引き続き強力に推進していくことが急務であると考えております。
最後に、在外公館の事務処理体制と通信体制の強化でございます。
本省と在外公館を結ぶ通信網の強化、近代化につきましては、資料8にあるとおり、高度データ通信システムの導入を順次図っております。現在は十四公館において運用を行っておりますが、六十三年度末までにはさらに十公館に導入すべく準備を進めております。今後とも、通信量の多い公館を中心に拡充を図り、将来は五十公館程度までに拡大することを目標としております。また、このほか、電信機器の近代化、電信専用回線の設置等に努めておりますが、これと並行して、将来の通信体制のあり得べき姿として、本省と在外公館間の直接衛星通信システム構築のための調査を行っております。
在外公館事務処理体制の強化につきましては、資料9にあるとおり、在外公館において、ワープロ、パソコン、商用ファックスなどのいわゆるOA機器を導入し、事務の効率化に努めております。現在、在米大など六公館にコンピューター端末を設置する作業を鋭意進めておりまして、これによりまして本省の各種データベースの利用あるいは事務処理のコンピューター化が可能になるなど、在外公館事務処理体制が強化されます。引き続き六十四年度には、北米地域など三十公館にコンピューター端末を設置すべく、予算要求中でございます。
今後は、このコンピューターネットワークの拡大を図り、あわせて、設置されたコンピューター端末の活用によりまして、経理事務、領事事務等の一層の効率化に努力していく所存でございます。
在外公館における秘密保全強化策につきましては、文書の安全確保、通信の安全確保、OA機器の安全確保、現地職員の行動規制等につきまして必要な対策を実施しております。
具体的には、資料10にありますとおり、文書管理機器の配備、電話の安全対策、潜入防止装置の設置、特殊錠の設置、現地職員立ち入り規制区域の設置、さらには、最近の諜報技術の著しい進歩に備えまして、有効と考えられる防諜機器、設備などを逐次導入してきておりまして、今後とも秘密保全の強化に努力していく所存でございます。
以上、外務省といたしましては、これら諸施策の実現に最大限の努力をしてまいる所存でございますが、本小委員会並びに諸先生方には、今後とも引き続き絶大なる御支援を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。