戸塚進也の発言 (内閣委員会在外公館に関する小委員会)
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○戸塚小委員長 これにて懇談を閉じます。
この際、小委員間の協議により一言申し上げます。
本小委員会は、昭和五十八年十月四日、第百回国会において新たに設置されて以来、数次にわたり設置され、外務省から在外公館の直面する主要な問題について説明を聴取し、必要に応じて小委員長所見を述べてきているところであります。また、内閣委員会におきましても、例年提出される在外公館の名称位置給与法改正の審査の際、外交実施体制の強化等について質疑が行われ、附帯決議が付されております。
本日もまた、最近における在外公館にかかわる主要な問題について外務省から説明を聴取した後、協議懇談を行ったのでありますが、その結果、本小委員会といたしましては、在外公館の整備等について小委員長の所見を述べるべきであるとの結論に達しましたので、この際、私から所見を申し上げます。
急速に拡大する対外関係を背景として、世界各地にわたって我が国の国益を確保するとともに、その国力にふさわしい責任を果たしつつ世界の平和と繁栄に貢献するためには、政治、経済、文化を合わせた幅の広い外交を展開する必要があります。我が外交に課された使命はいよいよ重大と言わざるを得ません。また、これらと関連して、近年急速に増加している在留邦人、海外進出企業が安んじて活躍し得るような環境を整備することは、政府の重要な使命の一つであると考えております。このような中にあって、大使館、総領事館等の在外公館は我が国の外交を実施する拠点であり、在外公館の機能を強化し、在外勤務環境等の外交実施体制を強化することは、我が国にとって死活的重要性を持っております。
かかる観点より、これまでの小委員長所見では、在外職員の定員の増員、在外公館施設の整備拡充、不健康地対策の強化、在外公館の警備対策の強化、在外公館の事務処理体制と通信体制の強化、緊急時の邦人保護対策の強化、海外子女教育問題につき言及してきましたが、さきに述べました附帯決議におきましても、これら諸点につき、政府は適切な措置を講ずべきであるとの指摘がなされており、内閣委員会としても、外交実施体制の強化について強い問題意識を有しております。
このような点につきましては、外務省からの説明によれば、関係方面の御理解を得て、それぞれの面で若干の改善を見たようであり、本小委員会の活動が我が外交の強化の一助となったものと評価しております。しかしながら、これらの問題は引き続き外交実施体制強化のため政府としても一層の努力を傾注すべきものであると考えますところ、次に各点について申し述べます。
第一は、在外職員の定員の増員であります。
近年の我が国の国際的な地位と責任の増大、我が国の国際化の進展に伴って、外交関係事務も政務、経済、経済協力、広報・領事を含めあらゆる分野において急激に増大しております。このような需要にこたえるとともに、各国の実情に通じた専門家を養成、配置して、一層きめ細かい外交を展開し、国益の確保に遺漏なきを期するためには、本省、在外ともに、外務省定員を従来以上に増強する必要があります。
第二は、在外公館施設の整備拡充であります。
在外公館施設は、我が国外交の第一線拠点として、十分に外交領事機能を果たすとともに我が国の威信にふさわしいものである必要があり、また十分に整備された状態にある必要があります。現在の在外公館施設の中には老朽化や狭隘化し、修繕が不十分なため、体面上問題があるのみならず、外交領事機能の観点からも劣っており、国際的にも立ちおくれているものもあります。関係方面の御理解によりかかる状況は近年改善する方向にありますが、今後とも中長期の観点から計画的に、国有化を初めとした在外施設の整備拡充を可能な限り図っていく必要があります。
第三は、在外職員の不健康地対策の強化であります。
我が国の百七十一に及ぶ在外公館のうちほぼ三分の二がいわゆる不健康地にあり、そこに在勤する在外職員は全在外職員約二千五百名のうち約半数に上ります。
このような不健康地に在勤する在外職員はいわば生命をすり減らして職務に励んでいるものと言えましょう。厳しい生活環境と劣悪な医療事情の
もとにあって在外職員が安んじて外交活動に専念できるためには、特に健康管理対策の充実を図ることが不可欠であり、不断の健康の維持、また仮に健康を害したような場合には直ちに措置が講ぜられるよう、医務官の増員、質の高い医師の採用及び医務官制度を補完するための施策、休暇制度の充実、緊急医療のための施策の充実が極めて重要であると考えます。
また、世界各地で戦争、内乱、治安の悪化が見られるところ、この面での環境の整備が必要であると考えられます。
第四は、在外公館の警備対策の強化であります。
近年の国際的な政治経済情勢の悪化により、世界の各地でハイジャック、爆破、誘拐等のテロ事件が頻発しており、邦人が巻き込まれる可能性が高まっている中、我が国在外公館に対する殺害、爆破、脅迫や公館への侵入などの事件も頻繁に発生し、本年においては九月末までで既に百三十余件に及んでいる等、憂慮すべき状態になっております。ソウル・オリンピックに際し、各方面で万全な体制を組んだため大きな事件が発生しなかったことでも明らかなように、警備対策に万全を期せばテロ等の試みを未然に防止することができると考えます。このような観点より、我が国の在外公館員が国益のため安んじて外交活動に専念し得るよう、警備対策を今後とも強力に推し進めていく必要があると考えます。
第五は、在外公館の事務処理体制と通信体制の強化であります。
在外公館は、情報を収集、分析、報告し、訓令を執行する上で、最大限の能率・迅速性を備えているべきであります。
本省と在外公館とを結ぶ通信網は外交活動を支える中枢神経であり、高度データ通信システム等一連の通信体制の近代化をさらに推進することが必要と考えます。
また、秘密保全は情報収集機能の維持強化及び外交活動の安全、円滑なる実施にとり不可欠の柱でありますので、最近の技術進歩に対応した秘密保全対策強化のための諸設備の配備等を強力に実施していくことが重要であると考えます。
第六は、緊急時の邦人保護であります。
緊急時の邦人保護対策の強化につきましては、先般のイラン、イラク両国の首都相互ミサイル攻撃やビルマの政変の例にも見られましたように、外国における緊急事態の発生に際しては、在外公館の邦人保護に対する国民の期待には極めて大きなものがあります。このような国民の期待にこたえるためにも、引き続き、緊急時の邦人保護対策に遺漏なきを期す必要があると考えます。
第七は、海外子女教育問題であります。
在外邦人子女数が激増する中で、その子女が次代を担う日本国民として健全に育成されることを確保するとともに、在留邦人が海外において安んじて活動できるよう、日本人学校の増設、教員の確保、校舎等の施設設備の改善等、海外子女教育の拡充を引き続き強力に進める心要があると思います。また、帰国子女につきましても、今後ともその受け入れ体制の整備を推進していく必要があります。
以上のほか、最後に旅券制度の改善、合理化の必要性につき申し上げます。
海外渡航の大衆化時代を迎え、近年旅券発給件数が急増していることから、都道府県における窓口の混雑等が生じており、旅券制度をより合理的なものにし、行政サービスの向上を図ることが急務となっていますが、在外公館においても旅行者数の著増に伴い旅券事務の合理化が必要となっており、この観点からも旅券制度の改正が強く望まれます。
政府は厳しい財政状況のもとにおいて、ただいま申し上げた諸点についてはできる限りの配慮をされてはおりますが、まだ問題が多く残されております。もちろん、外務省においても限られた予算の中で経費の効率的な使用に最大限の努力を払うべきであることは、申し上げるまでもありません。
しかし、我が国の国際社会における地位の重大性にかんがみ、昭和六十四年度外務省予算においても、以上に述べました外交実施体制の強化に係る諸問題については、特段の配慮が払われてしかるべきものと考えております。
以上であります。
この際、柴田睦夫君から発言の申し出がありますので、これを許します。柴田君。