池田省三の発言 (内閣委員会)
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○参考人(池田省三君) お答えいたします。
自治体行政を通じてプライバシー保護の問題を考えるときに一番重要なことは、内部での個人情報の利用のあり方、もう少しはっきり申し上げますと、行政内部での目的外利用というものをどう規制していくかというそこが重要ではないかというふうに考えます。なぜならば、それは住民にとって一番見えにくい部分である、そういった意味で一番チェックされなければならない場所ではないかと思うんです。
具体的に一例だけ申し上げたいと思うんですが、例えば東京の葛飾区におきましては、自治体が保有しています個人情報について、それを利用することについて本人の同意を得る手続というものを行っております。
具体的に申し上げますと、老人福祉の一環としてシルバーパスであるとかあるいはマル福医療証というものが発行されておりますが、この発行に当たっては所得制限がございまして、一定以上の収入があれば発行されないということになっておるわけです。従来は老人福祉課が課税台帳を見て所得を確認し、対象者を把握して郵送する、こういう形をとっておりましたし、これはある意味でどこの自治体でも同様な形で進められていると思います。しかし、葛飾区の場合は、個人情報保護条例の制定以後、老人福祉課が課税台帳を閲覧するに当たって当該本人の同意を得ることを必須条件にしたというところに特徴がございます。つまり、課税台帳というものは地方税を課する目的で収集した個人情報でございまして、例え区民サービスのためとはいえ老人福祉課が勝手に閣覧するのは目的外利用に当たる、したがって利用に当たっては本人の同意が必要だという考え方です。このようにして六十歳以上のすべての老人に「福医療証・シルバーパス 交付に関するお願い」という往復はがき、実に四万二千通だったそうですが、これを発送して、同意するしないのいずれかに丸をつけさせて返送してもらうという手続をとったわけです。当然予想されることですけれども、老人にその趣旨が直ちに理解されるわけではございませんから、大混乱が生じました。つまり、区役所の方で勝手にやってくれとか老人をおどかすのかという電話も殺到したようでございます。しかし、私から見ればこの混乱はよい混乱です。つまり、市民のプライバシー意識と職員のプライバシー保護意識を高めていったという意味では非常によい混乱であった。
つまり、行政はそのように内部利用に当たって住民あるいは国民のプライバシー保護というものを常に念頭に置く、それが自治体だけではなくて国も含めてなんでしょうが、行政の中でのプライバシー保護のあり方として多分一番重要なものではないかというふうに考えております。