竹下登の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(竹下登君) 最初のお尋ねでございます。
 昭和三十三年、ともに国会に議席を得ました塚本委員長が、熟慮の上みずからの身を処することにされた、これにつきましては深くこうべを下げたい、この気持ちでいっぱいでございます。
 そして今、リクルート問題についてみずからの見解を明らかにされました。私みずからのことも含め、この問題の帰趨については、政治不信につながる問題である、これが最も憂慮にたえないところであります。
 かねて、私は、この問題につきましては四つの問題点を明らかにしてまいりました。
 一つは証券取引上の問題であります。二つは課税上の問題であります。これらは、行政上の立場から日本の株式市場の健全な発展を図るためどうしたらいいか、この点については、証券取引審議会の中間報告を得てこれは今後実施を図る、こういう考え方です。
 第二の点は、さきの国会において未公開株に関する課税の強化を行ったという問題であります。
 第三番目の刑法上の問題は、きょうも御指摘がありましたように、昨日強制捜査が行われました。信頼する検察当局が今後とも厳正、適切に対応するものと確信をいたしております。
 さて、四番目の問題と私が申し上げておりました政治倫理の問題でございます。この点につきましては、国民がこぞって政治倫理の確立を求めております。政治家一人一人が倫理を守り得るような環境を整備する、このことは必要なことであります。したがって、私は行政府の責任者でもございます、まさに政治改革の実現に向かってその緒につけるということが私に課せられた責任であると承知いたしております。(拍手)
 塚本委員長は、御指摘のとおり、政治家にとり最も不名誉なことは金にまつわる非難だとおっしゃいました。それだけに、政治改革、なかんずく金にまつわるような問題が起こらないような環境整備というものをきちんとやらなきゃなりません。これはまさに塚本委員長が現状を危惧、憂慮されました、それに本当に党派を超えてこたえなければならない課題だ、このように考えております。
 さて、選挙制度にお触れになりました。大、中、小、いずれの選挙区制度にも確かに特色がございます。英国の選挙浄化法がある意味では小選挙区制のもたらした腐敗からくる果実であるという評価もございます。また、参議院の現行制度に批判のあることは、十分お互いが承知しておるところであります。選挙に際しての日常活動の重要性、さりとて御指摘のように特定支援団体の代弁者に堕することの弊害、これら種々の御指摘は、いずれも傾聴すべきものであると思います。それが同時に、しかし、いずれも直ちに結論に結びつかないというところに、私は問題の奥行きの深さというものをいつも感じております。
 これらも包含いたしまして、それこそ短期、中期、長期、これらの仕分けをして、各党各会派の御理解と協力を得ながら、改革を必ず緒につけなければならない、御鞭撻をお願いしたいと思います。その間、もとより政党法の問題等、議論の対象になることは当然のことと私も承知いたしております。
 さて、公務員の、なかんずく高級公務員の天下り立候補問題についてお触れになりました。
 これは、かねて御主張なすっておるところであります。地位利用にわたる行為があってはならない、これはそのとおりであります。そこで、いろいろ議論いたしますと、制度としてすべての高級公務員の立候補を一律に制限するということになると、これはいつも申しますことですが、憲法上の問題も出てまいります。したがって、この問題はやはり慎重な検討を要する課題である、このように考えておるところであります。
 さて次に、いわゆる消費税の見直し規定、修正問題等、また各党間の協議による不公平税制の問題、また政党間合意によります行財政改革の問題にお触れになりました。
 消費税は、申すまでもなく消費一般に広く薄く負担を求めるものであります。消費者がその最終的な負担者となりますことが予定されておる間接税でありますだけに、事業者に負担を求めるものではない、これが原則でありますから、円滑かつ適正な転嫁が行われるというのがまさに原則そのものであります。そこで、我が国にはなじみの浅いこの税制でありますが、政府としては、消費税の円滑、適正な転嫁が実現しますよういろいろな措置を講じますとともに、関係省庁とも密接な連絡をとって修正点等にこたえていきたいと思います。
 御指摘のございました税制改革法第十七条第三項に規定されます見直しの具体的あり方、これはまさにその見直しの時点までにいろいろな問題が出てくるでありましょう。その時点で、まさに具体的な問題を整理整とんしながら、各界の意見を十分伺いながら対応すべきものである、このように考えます。
 また、御指摘のありましたような具体的対応は、間接税というものの本質から、これは本質にかかわる問題でございますので、なかなか難しい問題であると考えております。
 不公平税制につきましては、これは従来から国会の御議論等を得てさまざまな努力を重ねてまいりました。昨年の十二月の改革におきましても、公平確保のためのさまざまな措置を講じてまいりました。
 そこで、与野党協議の場において、指摘された問題点、そして野党の方々の共同提案、これに対する与党の考え方が示されておると承知しております。まず、政府としては、今後ともより公平な税負担の実現を目指して努力を続けることはもとよりでありますが、公党間の協議の場において与党から回答されております事項については、もとよりその趣旨を踏まえて対応してまいります。
 なお、資産課税、なかんずく土地に対する御議論がございました。この問題は、今政府部内で進めております土地基本法制定に関する作業等をも踏まえまして、引き続き検討してまいる所存であります。
 与野党協議のあり方は、各党協議の上これが行われることは好ましいことであるとかねて思っておるところであります。
 さて、政党間合意に基づく行財政改革の推進と、国債残高の減少の具体案を示しながらのお尋ねがありました。
 政府は、行財政改革を国政上の最重要課題の一つとして今日までも位置づけてまいっております。逐次、具体的方策の実施、推進を図ってまいったところでありますが、その成果はいろいろな点において着実に出てきておると思います。今後とも、この改革の努力をいささかも怠ってはなりません。せっかく押し上げたこの荷車が一挙に坂道をおりてくるようなことになってはなりません。
 そこで、昨年十二月には、行革審の答申を受けまして、今の問題として規制緩和推進要綱が決定されました。規制緩和の問題は、この要綱に基づいて最大限の努力を傾注してまいります。
 また、元年度予算案決定とあわせまして、この年度に講ずべき措置を中心とした中期的な課題を極力盛り込んだ平成元年度行革大綱、これを決定をいたしました。この大綱の着実な具体化を推推してまいります。さらに、今後の行革審の審議動向も踏まえながら、行政改革につきましては全般的な推進を図ってまいる決意はいささかも失われておりません。
 そこで、財政改革、なかんずく国債残高の累増をとめるためのいろいろな御提案がございました。
 まず、新規の国債発行額を減少することが必要である、これはだれしも思うことでございます。したがって、今までいわば財政改革の第一歩でありますとして位置づけてまいりました平成二年度特例公債依存体質からの脱却、これをまず達成していかなければなりません。
 しかし、現実の問題といたしまして、厚生年金の繰り延べ措置でございますとか、あるいは国債整理基金へ入れることを中止しておりますとか、そのような問題が残っておることも事実であります。これらも適切な対応をいたしますと同時に、国債の償還財源につきまして、やはり基本的には財政改革を進めながら、今御指摘のありましたような政府保有の株式等の資産の適切な売却、これらには引き続き最大限の努力を行うべき課題だと思っております。
 そこで、平成元年度予算は、少なくとも当初予算の発行予定額の半分以下にとどめるということにしたわけでございますが、やはり今後の課題は、いろんな議論が行われると思います、それらを見定めながら、国債残高そのものを減らし、後世代の言ってみれば負担を減らしていく、こういう考え方で政党間合意の精神等を踏まえ対応してまいる所存であります。当然NTT株式等の売却についても、将来の問題としても新しい議論が出てくるであろうことは予測されます。
 さて、福祉ビジョンについてであります。
 今後の長寿社会対策を総合的かつ効果的に推進しますための指針としましては、六十一年六月に対策大綱を出しました。しかし、その後国会においてさらに具体策を示せ、こういう要請にこたえ、去年の十月、長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標、これをお示しをいたしました。可能な限りの具体的な点を明らかにしてまいりました。また、二十一世紀初頭におきます社会保障の給付と負担のおおよその姿については、これは去年の三月にお示ししました。
 さらに各施策を具体化していこう、こういうことになりますと、国民の皆さん方の選択によらなければならない面がたくさんあります。したがって、一つ一つを、ある種の仮定を置くなら別として、計画のような形でお示しすることは難しい問題でございます。各施策の総合的展開には十分意を用いながらこれを進めていかなければならないと思います。
 特に、御指摘のありました厚生年金の支給開始年齢の引き上げ、これは、あわせて高齢者の雇用の推進、これらを並行して進めていくべきものであると考えておるところであります。
 さて、真の豊かさ、そして食糧費の問題に触れ、農業の長期ビジョンについてのお尋ねがありました。
 農業をめぐる情勢が厳しさを増しております中で、農業者が将来を見通しながら営農を展開することができるように、新たな農産物の需要と生産の長期見通しを策定していこう、このような考え方に立っております。また、農業者が意欲的かつ主体的に経営改善に取り組めるよう、長期的な観点からコスト低減等の目標となります地域ごとの技術、経営の指標を作成しようと考えております。これからとも国際化への対応と農業、農山村の活性化を図るため、施策を総合して実行に移すべきものであると考えます。
 入試問題にお触れになりました。
 大学入試制度の改善につきましては、入学志願者の能力、適性等を多面的に判定するよう、着実に推進することが肝要であります。国公立大学においては、受験機会の複数化、これらに努力中であると承知しております。特に、学部の定員を分割しました入学者選抜の積極的な導入を促しておるところであります。来年度から、私立大学を含めて大学入試センター試験の実施を予定されております。この試験の適切な利用によって、入学者選抜の一層の改善が図れることを期待をいたしております。
 さて、日米首脳会談の内容についてお尋ねがありました。
 ブッシュ大統領との首脳会談におきましては、日米協力の基礎が強固かつ健全である旨を確認し合い、同時に、両国の協力関係が単なる二国間の問題だけでなく、世界全体に大きな影響を持つものであるという共通の認識に基づきまして、まさに二国間の問題は対話により解決をしよう、そして日米が協力することによって広く世界の平和と繁栄に貢献しよう、また、米国はグローバルパワーとしてのやはり責務を果たさなければならぬ、この決意の表明がありました。私からも、そのような大統領の努力を支援いたしますとともに、引き続き「世界に貢献する日本」の実現に努力を傾けなければならない、このような表明をいたしたわけであります。二十一世紀に向けて人類の平和と繁栄のため日米協力のそれこそ新たな門出ともなれば、このような考え方で対応したわけであります。
 北方領土返還への問題、御説のとおりであります。
 北方領土問題を解決して平和条約を締結することにより、ソ連との間に真の相互理解に基づく安定的な関係を確立する、これが不動の方針であります。昨年十二月の外相会談で合意されました最高首脳レベルを含む対話の拡大強化を通じて、北方四島一括返還、この実現に向けて、今、道は遠くともとおっしゃいましたが、粘り強く努力を重ねてまいる所存であります。(拍手)
 さて、政府開発援助についてお触れになりました。
 御指摘のありました国会に対する援助計画の提出、これは、国会により採択された予算の範囲内で、相手国のニーズに応じて相手国と具体的なプロジェクトごとの協議をしながら決定していくという現在仕組みになっておりますので、事前にいろいろ困難な問題があります。政府も、従来から国会に対して、相手国の立場を配慮しながらも、随時援助案件の説明とかあるいは資料の提出を行ってまいりました。これからも、そうした関係の措置につきましては誠実に実施してまいりたいと思います。政府として、援助の効果的、効率的実施を図るため、あらゆる観点からいろいろな手段を尽くして援助案件の評価を行うことに努めて、その評価の充実ということが皆さん方に理解いただけるような努力を重ねてまいります。
 自衛隊員の問題についてお触れいただきました。
 自衛隊員の給与等の処遇につきましては、従来、一般職国家公務員との均衡を図りながら適正な水準を維持するよう努めてきたところでございます。また、就職援護でございますとか、隊舎、宿舎の整備、今御指摘いただきました問題につきましては、計画的にこれを整備して改善を進めて今日に至っております。今後とも、御指摘の具体問題等、さらに御鞭撻をいただきながら、一層努力をいたすことをここに申し上げます。
 最後に、大喪の礼の挙行についてお触れになりました。
 大喪の礼は、日本国の象徴であり、かつ日本国民統合の象徴であられた昭和天皇を葬送申し上げる儀式であります。国の儀式として、憲法の趣旨に沿い、かつ皇室の伝統等を尊重して行う考え方であります。この機会に、今御指摘にもございましたように、外国から多数の元首、弔問使節の御参列が予想されております。大喪の礼の挙行に当たりましては、私を委員長とします大喪の礼委員会が設けられております。御説のとおり、これが厳粛裏に、しかも円滑に行われることを、心からそれがための御協力をお願いしたいと思います。
 以上でお答えを終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 111405254X00519890214_004

発言者: 竹下登

speaker_id: 22013

日付: 1989-02-14

院: 衆議院

会議名: 本会議