馬場昇の発言 (本会議)
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○馬場昇君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、宇野総理大臣の所信表明に対して、国民の声をもって質問をいたします。
質問に入る前に、お隣の中国において、武装軍隊によって虐殺された数百とも数千とも言われる学生、市民に対して、心から哀悼の意を表したいと思います。
さて、あなたの所信表明を聞いていますと、竹下前総理の退陣と、中曽根元総理の衆議院での証人喚問及び自民党離党で、リクルート疑獄のけじめは終わったというような認識をお持ちではないかと思われるところが見え隠れしておりますけれども、そのように思っていられるのでしょうか、まずお伺いをいたしたいと思います。
自民党の前総務会長伊東さんは、竹下後継の総裁就任の要請を受けられたとき、リクルート疑獄のけじめについて幾つかの具体的事項について提示されましたが、あなたは一体どのような条件をつけて総裁就任を引き受けられたのでありましょうか。例えば、リクルートの未公開株譲渡に関係した政府・自民党の幹部、すなわち、中曽根元総理、竹下前総理、安倍前幹事長、宮澤元副総理、渡辺前政調会長の五人の議員は辞職してけじめをつけよとなぜ主張されなかったのですか。その理由を明らかにしていただかなければなりません。無条件で引き受けられたとすれば、その理由もお聞かせ願いたいと思います。
あなたは、平成元年五月七日訪中されたとき、銭外相との会談で、次の総裁・総理は伊東さんしかない、伊東さんはその判断は極めて公正で清潔な人だと言われたと報道されていますが、伊東さんの主張が実現するように努力することが、あなたの対外発言を履行することになるのではありませんか。したがって、宇野総理、あなたは自民党総裁として、派閥解消を直ちに実行するとともに、兄貴分であり親分である中曽根氏そのほかに政界引退を促すべきではありませんか。
さらに、あなたが自民党総裁として設置しようと考えている自民党副総裁、政治改革推進本部長に伊東さんが固辞されたと言われていますが、その理由はどこにあると思われますか。あなたに政治改革をやる熱意も条件もないからではありませんか。
総理、リクルート疑獄のけじめは、自民党内のけじめではなく、国民に向けた、国民が納得するけじめでなければなりません。(拍手)
国民は、中曽根元総理の衆議院の証人喚問で、事実が明らかにならなかったのみか、責任を秘書と前官房長官などになすりつけて、疑惑はますます深くなったと思っております。四年前国会が全
会一致で決定した政治倫理綱領が、疑惑を持たれた議員はみずから真摯に解明しなければならないと誓約した理由は、もしけじめのないあいまいな態度をとり続けるならば、国民の政治不信が募り、結局は政治家の全員が信頼を失い、したがって、また国会の機能全体に影響が及ぶことになるからでございます。したがって、中曽根さん自身はまだ国会議員ですから、この国会決議に従って、疑いが晴れるまでいつでも、参議院はもちろんのこと、どこにでも、何時間かけてでも説明しましょう一こういう態度をとるべきではありませんか。そして、それを説得するのが、宇野総理、あなたの仕事ではございませんか。
また、ロッキード事件のときと同様に、リクルート事件の検察の捜査結果の全容といわゆる灰色高官の氏名を国会に報告させるようにすることもあなたの責任であります。
これらの課題について、総理・総裁としての責任を持って実行すべきでありますが、具体的な方針を明らかにしていただきたいと思います。
総理、あなたは、竹下前内閣の政治改革に関する有識者会議の提言や自民党の政治改革大綱をそのまま引き継ぎ、実施すると表明されましたが、竹下前内閣の政治改革は、そもそもリクルート疑獄の深まりの中で国民の政治不信を和らげ、竹下政権の生き残り策との批判がありました。実行せずとも、ポーズで国民の怒りをかわそうとしたものであり、真の政治改革にはほど遠く、しかも抜け道が多いのであります。宇野総理、あなた自身の政治改革の方針はないのですか、お伺いをいたします。
福田元総理は、宇野君が党改革、政治改革にどのような考えを持っているか聞いたことがないと言って、宇野起用に反対されたと言われています。あなたがリクルート事件の渦中でも政治改革を積極的に訴えられなかったのは紛れもない事実であるので、国民は、この際、総理のはっきりとした見解を聞きたいのであります。
あなたは、所信表明で、宇野内閣の最大の課題は失われた政治の信頼回復にある、不退転の決意で政治改革に取り組むと言われました。さらに、「まさに改革の時は今」、「裂吊の気合いを持って」と言っておられますが、政治不信は、戦後最大のリクルート疑獄、及びごまかしの選挙公約で勝った三百議席の暴政で起こったと思いますが、あなたはそれをどう思われますか。政府・自民党はまじめにどう反省しておるのですか。総理自身の認識をお尋ねいたします。
また、国民に対する真摯な謝罪の言葉すらないのであります。昨日の答弁を聞いておりますと、まさに「巧言令色鮮し仁」そのものであり、居直った感じさえ受けたのであります。
リクルート事件について、二度と起こさないよう根本にさかのぼって措置をとると言われましたが、根本にさかのぼるというのは、どういう抜本改革なのですか。国民にその中身を具体的に示していただきたいのであります。
宇野総理は自民党の政治改革大綱に触れられましたが、政治改革大綱の実施についてどのような優先順位をつけるのか、その具体的な手順ないしはスケジュールはどうするのか、具体的な実施方法を明らかにしていただきたいのであります。限られた今国会の会期、六月二十二日までにあなたが声高く繰り返している政治改革が本当にできるのですか。だれも信用していないのではないでしょうか。
基本的な抜本的な政治改革としては、わいろの札束の温床となっている企業献金は全廃し、小口の個人献金しか認めないようにすべきであると思います。総理はどのようにお考えですか。
秘書や家族の行為も議員の責任として、議員資格の失格を含めた強い罰則のある政治倫理確立のための法律を制定すべきであると思いますが、総理はどのように考えておられますか、お尋ねいたします。
宇野総理は、組閣に当たっては、リクルートとの関係の有無を一つの基準にされたと聞いています。そして、所信表明でも、清潔な政治、信頼される清新、清例な政治を裂吊の気合いを持って推進すると強調されました。組閣後、総理自身の後援会関係者とリクルート社の関係が、問題が報ぜられています。さらに、塩川官房長官を初め四閣僚のリクルート社との関係が明らかになっています。今日まで明らかにしなかったことを大臣や党役員になるときに初めて明らかにする、この事実を国民は何と思うでしょうか。総理、清新で清潔な信頼される行為と言えるでしょうか。
総理、全閣僚、党役員の資産公開に際しては、家族、秘書をも対象にし、加えて、資産ばかりではなく収入、支出も公開するという徹底を図るとともに、リクルート社とのすべての関係を明らかにさせ、それが虚偽だということが発覚したら責任をとる、こういう条件で国民の前にすべてを明らかにされるお考えはありませんか。これが国民の信頼を取り戻す具体的行為ではありませんか。いかがですか。
総理、ロッキード疑獄の後、先ほども述べましたように、衆参両院で議決した政治倫理綱領に、「政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」とあります。総理はこれを遵守して、総理・総裁として、閣僚、党役員はもちろんのこと、自民党全議員にこの倫理綱領を遵守させますか、その決意のほどを伺いたいと思います。(拍手)
次に、対外関係についてお尋ねをいたします。
リクルート事件に端を発した竹下首相の退陣、中曽根元首相を中心とする政界、官界、財界を初めとする各界の構造的腐敗や内政の混乱の露呈は、日本の国際信用を著しく失墜させました。リクルート事件については、諸外国から、フィリピンのマルコス前政権の腐敗体質とどこが違うのかと問われても説明できないほど体質が似ております。宇野総理、あなたが選任される経過を見て、外国から厳しい評価が伝わってきております。総理は国際信用を回復する努力を具体的にどのようにされるのか、国際的にどのようなイメージダウンがあるのか、その内容、それに対する信用回復の具体策をどうするのか、明らかにしていただきたいのであります。
次に、隣国中国においては、武力でもって丸腰の学生、市民を弾圧するという、あってはならない行為が行われています。日本は、日中貿易額約二百億ドル、対中国ODA約五・五億ドル、他のどの国よりも関係が深いのであります。今後の情勢いかんによっては、これらの見直し措置をもつ
て対応すべきであります。総理の所見を伺いたいと思います。
また、朝鮮民主主義共和国との関係改善も、自民党代表団の訪朝を控え、まさに大切な時期にあると言えますが、対朝鮮民主主義人民共和国との関係改善について、総理の取り組みの姿勢について所見を伺いたいと思います。
次に、国内の幾つかの諸問題についてお伺いいたします。
現在、物を買う人も、物を売る人も、国民のすべては、弱い者いじめの消費税、この悪税を廃止してくれと怒りを持って要求しております。商店の奥さんは、子供が百円持って買い物に来たとき、あと消費税分の三円を持ってきなさいとはどうしても言えないと言っています。お母さんたちは、子供が買い物に行って、消費税分の三円を持ってこいと言われて、泣きべそをかきながら帰ってきたと訴えています。また、便乗値上げは確実にあります。
総理、額に汗してまじめに働いている勤労国民の怒りの声が聞こえませんか。一家の台所を預かる女性の、朝起きてから寝るまで支払わされる消費税に対する気持ちがわかりませんか。寝たきりの人や子供からも、収入のない人、年金生活者からも税金を取り上げる、まさに悪魔でないと考えられないような弱い者いじめのこの消費税、まさに悪税であります。
総理は、消費税が国民の中に定着しつつあると言われるが、それは、国民を泣き寝入りさせることを前提にした言い方ではございませんか。(拍手)
さきの衆参同日選挙での、大型間接税は絶対導入しないという選挙公約違反の消費税であります。消費税は直ちに廃止して、不公平税制の是正など、国民とともに税制改革を話し合うべきであります。総理のお考えをお聞かせください。
また、もう一つの弱い者いじめとしては、年金給付開始年齢の六十五歳への引き上げは絶対に行うべきではないと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
次に、農畜産物の輸入自由化問題についてお尋ねいたします。
今日の政治不信の原因の一つは、農林水産問題であります。今日ほど農民が政府・自民党に怒っているときはありません。これは、長期にわたる減反の強制、農畜産物価格引き下げ、選挙違反の、公約違反の牛肉・オレンジの輸入自由化に対して、農民の怒りが爆発したものであります。
この上、米の輸入枠設定を含む市場開放に応ずるなどということは、絶対許されません。また、いわゆる新算定方式によることしの生産者米価の大幅引き下げを、一義的に権限のない大蔵大臣が米価引き下げを言明しているが、これは米価審議会を無視するものであり、農民に挑戦するものであります。農業団体の主張どおり、最低、据え置きで決定すべきであると考えます。そして、食管制度の根幹を堅持すべきです。これらの点について、総理の明快なる答弁を求めます。
次に、教育問題について所信をお聞きします。
リクルート疑獄が、聖域であるべき教育の場、臨時教育審議会を舞台に発生しました。起訴された政界の藤波元官房長官や官界の高石、加藤は、全部進学、就職問題にかかわっての起訴であります。
最近、子供の中に、リクルートごっこ、すなわち、秘書がやった、家内がやったという責任回避の遊びが流行しております。このリクルート疑獄に汚れた手で行われた臨時教育審議会の答申に基づく教育行政、すなわち、日の丸、君が代の国家主義、差別、選別の能力主義、教職員、児童生徒に対する管理主義、父母負担増の受益者負担主義の教育改革、それに基づく戦後最大、最悪の学習指導要領の改定は撤回し、見直すべきであります。絶対に政権政党による教育の不当な支配は行うべきではありません。
宇野総理、教育基本法にのっとった教育行政を、二十一世紀の日本と世界のために、国民とともに忠実に実行することを約束していただきたいと思います。
次に、環境問題についてお尋ねいたします。
環境問題は、フロンガスによるオゾン層の破壊、炭酸ガス濃度の上昇による地球温暖化現象、酸性雨や熱帯雨林の喪失など、今や地球規模、宇宙規模へと環境破壊が発展して人類の生存を脅かすまでになっています。七月のパリ・サミットでは環境問題が主要議題になることが決まっていますが、我が国外交の基調として、経済大国、技術大国として、日本の役割をどう提起しようとしているのですか、お伺いいたします。
熱帯雨林の保全、再生に対する環境技術の援助を具体的にどうするのか。また、我が国の木材消費の七割を輸入に頼っているあり方を反省して改め、木材は輸入しても森林は輸入できないという立場で、公共財としての我が国の森林の造成、育成に従来の政策を変更して、飛躍的な抜本的対策を講ずべきであります。総理の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
最後に、再び申し上げます。
現在の政治は、国民から信頼を失っております。総理の所信表明の言葉は宙に浮いて、国民は信じていません。一体それはなぜでしょうか。
それは、あなたは、中曽根元総理を尊敬し理想として、その指導を受け、直系として政治活動をしてこられました。そのため、国民は、宇野内閣を中曽根内閣の亜流、中曽根亜流内閣と言っています。
また、あなた自身、これまで政治不信の原因づくりに加担してきたからではないでしょうか。実質上、国民の不信任によって失脚した竹下前首相を中心とする密室の話し合いの中から指名されて誕生した宇野内閣は、竹下院政内閣と言われております。そして、竹下内閣の路線をそのまま引き継いでいるからではないでしょうか。
あなたは、リクルート関係議員の辞職や衆参両院での証人喚問に努力を尽くしたと言えますか。公約違反の消費税導入やその単独強行採決をストップさせるべく奔走しましたか。選挙の公約に違反して農業切り捨てを進めるのはやめよと主張されたことがありますか。雇用の確保に展望が持てないときに年金支給を六十五歳からに遅らせるべきではないという態度を表明されたことがありますか。リクルートに汚染された臨教審に端を発する教育行政は、一度全体的に見直しをすべきだということを訴えたことがありますか。
それにもかかわらず、これからの宇野は違うのだと胸を張ることがもしできるのであれば、国民にそれを訴え、その支持を取りつける努力をすべきではありませんか。
宇野総理、宇野内閣のすべき任務はただ一つ、衆議院を解散して、総選挙で国民に信を問うことであります。戦後最大の汚職事件に断固たる態度をとれなかった政府が、直接国民に信を問うこともしないというのであれば、金というヘドロ、拝金主義に身も心も汚染された政府・自民党のもとで、民主主義はなくなり、国民は窒息してしまうという感じのするのは、決して私一人ではないはずであります。
解散・総選挙を重ねて要求し、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣宇野宗佑君登壇〕