宇野宗佑の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○内閣総理大臣(宇野宗佑君) 金子書記局長にお答えいたします。
所信表明で中国問題に言及しなかった理由やいかんということでございますが、これは昨日お答えいたしましたとおり、まず私は、中国全土で八千名以上の邦人が在留しているという現状、また、ああした混乱が拡大すればその邦人の安否はどうなるであろうかという現状等々幾つもございましたから、未確認情報のもとに我々の政治的な話をするということはいかにもこれは尚早に過ぎる、かように思いましたので、あの時点では所信表明におきましても触れなかった次第でございます。
しかし、おいおい事態を確認いたしましたので、私といたしましては、中国政府の軍隊が国民に鉄砲を向けたということは甚だ遺憾なことであり、これは人道上許容される問題ではない、しかし隣国でございますから速やかに平静にあの混乱がおさまることを祈る、それが今日の私の見解でございます。
したがいまして、中国に抗議するかというお話でございますが、私たちは一日も早く事態が正常に復することを期待いたしておりますから、抗議はいたしません。
また、企業献金の禁止に関しましてでございますが、企業も一つの社会的な存在でございます。当然企業が行う政治活動に関する寄附がよくないと決めてかかるのは適当でないと私は思います。
また、亜流内閣ではないか、院政をしかれているのではないかという話もございましたが、私は亜流内閣ではありません。また、院政を受ける内閣でもありません。
株取引の禁止という問題に関しましては、既に政治資金の運用方法の制限規定を設けまして、売却益を得る目的での株式取得を禁止することといたしております。そのための政治資金規正法の改正案も出しておりますので、速やかなる御審議のほどをお願いします。
そして、一連の政治改革は、我々内閣がやるものと法律に従うものとがございます。その法律に従うものの中には、選挙法の改正と政治資金の改正がある。そこに、ただいまから申し上げますパーティーの禁止、禁止はできませんけれども、政治資金パーティーについての批判の中心は、行き過ぎである、かように思いますので、パーティー収支の明確化をしましょう‘また大口購入の禁止をいたしましょう、そういう内容に関しましても、既に自由民主党は国会に提出をしておる次第でございます。これもまたどうぞひとつ与野党が致せられまして御審議を賜りまして、いろいろ議論を整えられまして、せめて今国会中にはこれが成立することが国民の方々に対する議会としての一つの答えである、私はかように考えておりますので、ぜひとも御協力のほどをお願いを申し上げます。
大臣、国会議員の資産公開、これに関しましても、閣僚及び政務次官は既にそのことを申し合わせております。また、全国会議員に対しましての法律案は、国会に提出すべくただいま取りまとめを行っておるところでございますから、これも提出次第皆様方の御審議のほどをお願い申し上げたいと思います。
寄附禁止の強化、これも選挙法改正の中に含まれております。冠婚葬祭に関する寄附を規制することは重要な課題である、かように考えておりまして、自民党では、選挙区内での候補者等の寄附禁止につきましては、罰則の対象範囲の拡大や後援団体による冠婚葬祭等に対する寄附禁止などを内容といたしております。そういう改正法案を出しておりますので、ひとつ速やかな審議を私は期待いたすものであります。
なお、未公開株についてもお話がございました。我々政治家というものは一般よりも情報を得やすい立場にいることを考えるのならば、未公開株の受け渡しはこれは自粛すべきである、かように考えております。
議院証言法の改悪をもとに戻して証人喚問のテレビ放映を復活すべしというお話でございますが、これは、先般、自社公民の賛成によりまして、主要改正点の中の一つとして取り入れられたことでございます。これはひとつ与野党で十分御審議されてはいかがかと存じますので、政府といたしましては、直ちに私がこれに介入するわけにはまいりますまい。
衆議院の定数是正に関しましてでございますが、事柄の性格上、衆議院本会議の決議を踏まえまして、各党間で十分御論議をしていただきたく存じます。政府といたしましても、国会の各方面の論議を踏まえながら対処いたしたいと存ずる次第でございます。
消費税の廃止に関しましても、これが豊かな長寿・福祉社会をつくるために必要な財源であるということは繰り返し申し上げております。そして、我々、経済社会に活力を与えるために設けるものであるということでございますから、廃止は考えておりません。しかしながら、やはりこれは初めてのなじみの薄い税制でございますから、国民の方々にいろいろと御異論があることは十分承知しております。それに対しましても、やはり親切にお答えしなければならないでございましょう。だから、ひとつ我々も国民の方々のいろいろな意見に耳を傾けなければならないと考えております。だから、税制調査会においては、その実情を十分勉強していただいた上で適切に対処してほしい、これがいわゆる見直し等々に関する私たちの見解でございます。
〔副議長退席、議長着席〕
なお、外国税額控除制度については、従来の制度には国際的な二重課税の排除という制度本来の趣旨を超えた控除が行われておった問題があったことから、さきの抜本改革の一環といたしまして、国外所得の圧縮等所要の是正策を講じたところでございます。
税負担の公平確保は、税制に対する納税者の信頼を得るためにも最も重要な理念の一つでございますから、従来から努力を重ねてまいりましたが、今後とも公平な税負担の実現を目指して努力を続ける所存でございます。
さらに、平成元年度予算におきましては、経費の節減合理化に努めますとともに、国民生活等に配慮し、限られた財源の重点的、効率的配分に努め、財政改革も同時にこれを強力に進めてまいります。防衛費を半減すれば出てくるじゃないかとおっしゃいますが、私たちの見解とは全くそれは大きな差があることを申し上げておきます。
厚生年金支給開始の年齢に関しましても、人口の高齢化の急速な進展の中で、給付水準を維持しながら後代の負担を適正なものとしていくためには、支給開始年齢の引き上げは避けて通れない課題でございます。男子につきましては、平成十年度から六十一歳、その後三年ごとに一歳ずつ引き上げて、二十二年に六十五歳とする、このことは御承知でございましょうから、来年からそうなんだというようなことはひとつお間違いであるということをこの際申し上げておきます。
引き上げに当たりましては、できるだけ早目にスケジュールを国民の前に明らかにいたしまして、十分な準備期間を設けて、段階的にその実施を図ってまいりたいと存じます。
農業問題に関しましても、ウルグアイ・ラウンドでいろいろと制度やそして農業問題が議論をされております。既にこれに関しましても日本の主張は十二分にこの中に文言として入れておりまするから、このことを大切にして今後対処したいと思います。
米問題に関しましては、私は、国会における決議がございます。この決議の趣旨は、自由化反対でございます。したがいまして、その決議の趣旨を体しまして、今後とも国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいる所存でございます。
さらに、我が国の農産物自給率につきましては、食用農産物総合自給率、主食用穀物自給率では七割程度を維持いたしておりますが、穀物の自給率は三割程度となっております。これは、国土資源に制約のある我が国では、畜産に必要となる飼料穀物の大部分を輸入に依存せざるを得ないこと等によるものであろうと思います。しかしながら、食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資でございますから、安定供給の確保は国政の重要な課題である。そのためには全力を傾注する所存でございます。
最後に、タイコンデロガの問題に絡みまして事前協議のお話もございました。
タイコンデロガのときには私は外務大臣でございましたが、重大な関心を有するということを表明をいたしまして、いろいろな資料の提出をアメリカに今依頼中でございます。
また、核の持ち込みに関しまして、秘密協約があるのではないかという御指摘でございますが、御承知のとおり、核の持ち込みの問題につきましては、いわゆる六条協議、事前協議が発せられて初めてそこでいろいろと協議がなされまするけれども、その実施に関する交換公文及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解がすべてでございまして、秘密であると否とを問わず、このほかに何らかの取り決めがあるという事実はございません。
また、航海日誌に関しましては、ただいま米国に照会中でございます。
最後に、金子さんからは、衆議院を解散すべしという御指摘がございましたが、やはり我々といたしましては、大変な政治不信、政府の最高責任として何よりもなすべきことは、厳しい反省の上に立ちまして、国民の要望にこたえるべき政治大改革の推進並びに実施でございます。それは、内容は先ほど申し上げたとおりでございます。それをまず我々といたしましてはやっていかなければならない。したがいまして、解散に関しましては、ただいま全く考えておりません。
以上でございます。(拍手)