青木幹雄の発言 (災害対策特別委員会)

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○青木幹雄君 去る一月十七日、十八日の両日、佐藤委員長、山口理事、守住委員、野別委員、林委員、秋山委員と私、青木は、阿蘇中岳噴火被害状況等の実情を調査するため、熊本、大分、宮崎の三県に行ってまいりましたので、以下御報告申し上げます。
 なお、熊本県下の調査について、紀平議員、沢田議員が現地参加されました。
 阿蘇山は、東西十七キロ、南北二十五キロの大カルデラ内に十数の火山を有する複式火山でありまして、これまでにも大規模な爆発を繰り返してきましたが、昨年七月、四年半ぶりに中岳が噴火し、十、十一月の下旬には多量の火山灰や噴石を放出して農作物を初め、道路、施設等に大きな被害をもたらしました。阿蘇測候所の発表では、昨年五月から十二月までに噴出した火山灰の量は約五百七十万トンで、ドラム缶二千三百七十五万本に相当する量だということであります。特に、熊本県の高森町では五十四年の大爆発のときでも平方メートル当たり二千五百グラムであったものが今回は五千五百グラム、同町色見地区では実に七千グラムという大量の降灰量を記録いたしております。
 幸い、本年一月に入って火山活動はやや小康状態となり、降灰量も少なくなっているということでありますが、阿蘇測候所の観測では、地下活動はむしろ活動化の兆しを見せているということで、同測候所長は、噴火活動は今後半年から一年程度は続くと予測をいたしておりました。
 次に、降灰被害状況について申し上げます。
 中岳の噴火活動に伴う降灰被害は、熊本県のみならず、大分、宮崎両県にも及び、農作物、特用林産物を中心に大きな被害が出ております。昨年十二月時点での被害額は、熊本県が高森町、阿蘇町、一の宮町、波野村、白水村等において露地野菜類約八億九千万円を中心に農作物十億三千四百万円、シイタケ等の特用林産物が五千二百万円の総額約十一億円、大分県では竹田市で露地野菜約一億二千万円を主体に総額一億三千五百万円、宮崎県でも農作物約四千七百万円を中心に総額約六千三百万円と報告がなされております。
 各県農政担当者の説明では、生育期や収穫期を
迎えていたレタス、キャベツ、白菜等の葉菜類に酸性度の強い火山灰が付着したため、外葉が変色する葉焼けや品質低下などの被害が発生し、市場卸売価格が暴落し、十一月にはついに出荷を停止せざるを得ない事態となり、すき込み等の廃棄処分が行われたということであります。また、ハウス物のトマトやイチゴも火山灰がハウスの上に積もったため、日照不足から生育がおくれるなどの被害も出ているということであります。
 それでも今回の被害は、十月以降の降灰によるものであったため、比較的軽く済んだということでありますが、今後噴火活動が長引けば、ハウス栽培のイチゴやビニールハウス等の施設にも被害が拡大するのではないかと関係者は一様に心配をいたしておりました。
 これらの被害に対し各自治体では、当面の緊急対策として、貸付利率三%の低利資金の融資、利子補給による貸付利率の引き下げを実施するとともに、農業共済金の早期支払い、既往資金の償還条件の緩和を関係機関及び融資機関にそれぞれ依頼する等の救済措置を講じたということであります。その結果、共済金は昨年のうちに支払われ、融資資金についても十分な資金枠が確保されたとのことでありました。また、降灰により汚れたビニールハウスを洗浄するための洗浄機の貸し出しや降灰の成分分析等にも努めているということであります。
 なお国に対して、活動火山対策特別措置法に基づく防災営農施設等の整備、火山砂防対策事業の推進、住民の健康対策の実施、降灰被害に係る特別交付税の増額配分、火山活動に係る情報の提供等を強く要望しておりました。
 しかし、長期化、断続化が予測される火山活動を考えますと、今後は降灰に強い農業へ積極的に転換していくことが特に重要であります。各県農政担当者も一致して、夏季冷涼な気象条件を生かした夏秋野菜の産地としての評価をさらに拡大して農家経営の安定を図っていくために、露地野菜中心の農業から根菜類、施設野菜の比率を高めるなど作付体系の見直しを行うとともに、ビニールハウスの導入についても積極的に推進していく方向で地域の農業振興を図っていきたいと強調いたしておりました。国としても、地元関係市町村の意見を十分に聞きながら、積極的な支援、助成措置等を講じていく必要がございますが、特に、次の諸点について早急に検討するよう関係省庁に要請いたします。
 第一は、防災営農施設の整備についてであります。火山の噴火降灰等による農林漁業の被害を除去するための事業を行う場合、都道府県知事は防災営農施設整備計画等を作成し、農林水産大臣の承認を受けることになっております。しかし、整備計画を作成できる地域は、当該地域内の農作物総収入の一割以上の被害があった場合となっているため、なかなかこの基準に達しません。被害の実態を踏まえた承認基準の運用が望まれます。
 第二は、土壌改良の推進についてであります。火山灰によって酸性化した農地については、石灰質資材等の土壌改良剤を施用して土壌の矯正を行う必要がありますが、酸性の矯正のみで農作物の生育阻害を防止できるのかどうか、土壌成分の分析調査を十分に実施して、適切に対応することが望まれます。
 第三は、農業共済制度についてであります。共済制度は被災農家の救済を合理的に行うために設けられている制度でありますが、露地野菜については、現行制度では共済の対象作物となっておりませんし、園芸施設共済においても、雨よけ施設は対象外となっております。今後これらの作物や施設については、保険需要等を十分に調査し、共済対象に加えていくことが望まれます。
 以上が調査の概要でありますが、最後に被災農家の方々が一日も早く立ち直りますことを心からお祈りし、また、調査に御協力をいただいた関係者の皆様方にお礼を申し上げまして、簡単ではありますが、報告を終わります。

発言情報

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発言者: 青木幹雄

speaker_id: 4308

日付: 1990-03-30

院: 参議院

会議名: 災害対策特別委員会