海部俊樹の発言 (国際連合平和協力に関する特別委員会)
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○海部内閣総理大臣 戦争の体験、歴史の反省を風化させてはならないという委員の御指摘は、私もそのとおりだと思います。そうして、四十五年前の反省に立って、再三申し上げてきましたが、二度と再び国家の意思で侵略戦争をしてはいけない、軍事大国になってはいけないという誓いは、日本国民みんなの合意であったと思いますし、それがアジア・太平洋地域の平和と安定に役立ってきたことも、これは事実でございます。そういったものを風化させないのは当然のことでありますし、また、今回御議論願っておる平和協力法案にしても、国の意思で国が自由にどこかの国へ出ていこうとか、むしろ逆に、強い国が弱い国を力で侵略、併合することはこれからの国際社会では許してはならない規範なんだということを明確にはっきりしたいというのが私どもの政治的な立場でありまして、国連の決議によって平和の破壊者、社会正義に反する者と糾弾を受けた国に対して、まあ仕方がない、できたことはしょうがないんだ、それよりもまあまあでおさめていこうというような、見て見ぬふりをすることは断じて許してはならぬというのが私の強い気持ちでもございました。
ですから、戦争に参加するとかしないとか、戦争をやるのか平和なのかという角度の議論ではなくて、平和を守るために何をするかあるいは孤立するかという重大な選択の岐路に立ったときに、我々も国際社会の一員としてそれなりの責任と影響を持つ国になった以上は、許される範囲内で協力をしなければならないというのが発想の原点でありますから、どうか野中委員のその御指摘の点については十分配慮しておるということを改めてもう一回申し上げさせていただきますし、また、ちょうど今から六十年前、日本が国際連盟を脱退して、そして孤立への道を歩み始めた以後、世界から経済制裁を受けた、そして経済制裁の中で武力行使の道に走っていったという、そういう歴史の反省は私も同感でございます。孤立しないで協調の中で、平和と繁栄を求めながら相互依存関係の中でどのようにして担っていくか。戦後四十五年間、日米安保条約のもとで現実に平和を守り続けてきた日本が、世界の自由経済、自由貿易という恵まれた制度、環境の中で、世界との関係の中でこれだけの豊かさと質の高い国民生活を維持できるようになったということは、日本ひとりでできたものでは絶対にないわけであって、世界との相互依存関係を考えるならば、武力以外のお役に立てる点では積極的に国際社会の中で貢献をしていかなきゃならぬというのも、これからの日本の生きる大きな道しるべである、政府はこう考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。