海部俊樹の発言 (本会議)
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○国務大臣(海部俊樹君) 広中議員にお答えをいたします。
イラクのクウェート侵攻及びその併合は、国連憲章、日本国憲法の理念を否定する明白な平和破壊行為でありますから、国際社会の平和と秩序を守る能力が今試されていると言っても過言ではありません。私は、真に平和で豊かな国際社会をつくり出していくために、我が国は積極的に貢献する必要がある。そもそも平和というものは、国際社会を構成している各国が互いに力を合わせて協力しながら獲得し、守り抜いていくものであると考えております。
そういう見地に立って、国連を中心として各国がイラクによる軍事行動の拡大の抑止及びイラク経済制裁措置の実効性確保のために兵員、艦船等を湾岸地域に展開したものがいわゆる多国籍軍であると位置づけており、どのように認識しておるかというお尋ねに対しては、これはこれ以上の平和の破壊を防ぐために湾岸の平和と安定の回復を目的とするものであると、こう認識をいたしており、これはあくまで国連の安全保障理事会の決議に基づいておるものでありますから、その考え方に立っての多国籍軍の行為というものに私は協力をしていこうと考えております。
集団的自衛権を含めて、およそ自衛権というものは国家による実力の行使に係る概念であると考えております。我が国がこのような目的で展開をしておる多国籍軍の支援のために、これは世界の平和回復への努力の支援でありますから、資金を支出することは、実力の行使に当たらず、我が国憲法九条の解釈上認められない集団的自衛権の行使には当たらないと考えます。
国際社会の重要な担い手となった我が国は、みずからの役割と責任を自覚し、新しい国際秩序づくりのため世界に積極的に貢献していくことが重要でありまして、従来より国際協力構想を強力に推進してきたところでありますが、平和を守る責任を果たしていくとの決意のあらわれであって、私は、平和国家というものは、平和の破壊や武力による侵略に対しては皆が志を合わせてこれを排除するような努力をしなければならないと考えるのであります。
そういった意味で、国際の平和と安全の秩序を主な目的とする国連が、経済制裁を実効あらしめるためにいろいろな決議を行い、それに従う国連多国籍軍の行動は、平和のための抑止力であると私は考えておるものであります。我が国は、これまでも、御指摘になった平和維持活動に対し、資金面で重要な協力を行うとともに、軍事監視団への政務官の派遣とか選挙監視要員の派遣など要員派遣面でも着実に協力を推進してまいりましたが、停戦監視、輸送、通信、医療など協力の幅を広げ、一層積極的に国連の平和維持活動に貢献してまいりたいと考えております。
今回提案をしておる国連平和協力法に基づく国連平和協力隊の海外派遣等の協力は、武力による威嚇または武力の行使に当たる行為は行わないという憲法の基本原則の枠内で行うのが前提でありまして、原則非武装、自衛隊の戦闘部隊を出すのではありません。したがって、海外派兵への道を開くとの御指摘は当たらず、国連決議の趣旨を踏まえて、そのための各国の出す維持隊に対して、平和協力隊がその文民統制の枠内において行われているということについて、どうぞ御理解を賜りたいと思うのであります。
重大な突発的な案件に対しては、政府が一体となってこれに対処をしていく方針でございます。安全保障会議にももちろん討議に付しましたが、しかし、事は政府を挙げて受けとめ対処しなければならぬ問題であると考えており、今回のイラクの事案に対しても政府が一体となって今日まで対処をしてまいりました。
今次イラクのクウェート侵攻に当たって、邦人の安全確保に関しましても、政府が一体となり、外務省に対策本部を置き、内閣総理大臣のもとで政府がこれに対処をしてまいりました。今後の事態の進展については、分析を行い、その際の邦人保護策について万全を期していく考えであります。
超党派女性特使の問題についてもお触れをいただきました。
国際社会が引き続き一致団結した努力を続けていくことによって問題を根本的に解決し、日本人を含めすべての外国人の拘束状態や人質状態が一刻も早く解決されるということが最も重要な問題でありますが、先般の中東五カ国訪問の途次、私はイラクのラマダン第一副首相とも会談をし、我が国の基本的立場を明確に伝えると同時に、問題を基本的に片づけることが大切であって、クウェートからの撤兵、クウェートの政府の復帰同時に、すべての人質状態に置かれた外国人の釈放について決断をできるのはイラクであり、クウェート侵攻を行ったのもイラクであり、イラクが今この世界じゅうの懸念をどう片づけるのか。危機が安定化したとも言われる、危機が不安定の中で長期化したとも言われる、いろいろ言われますけれども、いずれにしろ、解決されない限り深い懸念があり、この解決は粘り強い話し合いによって平和的に解決されなければならぬということを私はラマダン副首相に強く主張いたしました。今この局面の打開を行うことのできる、第一のきっかけができるのはイラクそのものでありますから、イラクの副首相に強く申し上げました。
広中議員御自身、私の訪問と前後してイラクへ赴かれ、いろいろお立場に立ってのお話し合いをされ、その成果等についてもお手紙を私はいただきました。率直に御苦労さまでございましたと敬意を表します。しかし、その他の方々もいろいろおいでをいただいておりますが、お話しをいただいておりますが、イラクの態度は依然として変わっておりません。私は、イラクに対して、さらに政治的な対話の道を続け、あらゆる努力をこの中に傾注して、今後のイラクと我が国との問題についても政治的対話の道は閉ざすものではなく、粘り強く話し合いを続けていこうということをイラク側にも申し上げましたし、イラクもそのことについては賛成を表明いたしました。
御指摘の中にあったミッテラン大統領の提案にしろ、あるいはブッシュの国連におけるアメリカ大統領としての演説にしろ、ともにイラクの無条件撤退がこの問題解決の第一歩だということを明確に表明いたしております。そうして、その第一歩が行われた後においては、イラク・クウェート紛争やアラブ・イスラエル紛争の解決などさまざまな機会をもたらすことができる、中東問題解決へのそれが第一歩だということば両方の提案の中にもそれぞれ入っておるわけであり、私もその立場には立つところから、日本としてはかねてから中東の問題解決のためには国連決議二百四十二号に従っての解決を主張しておるものであり、現在のこの極めて危機的な全く異質な状態を一日も早く局面を転回して粘り強くこのような根本和平に関する話し合いができるように申し上げると同時に、そういった決断があるなれば、局面打開ができるなれば、国連決議に従った行動をイラクが決断されるなれば、その後におけるイラクと日本との関係の再構築についても私どもはお話し合いを続けていく用意があるということも私の立場として申し上げてきたのであります。
いずれにしても、イラクの決断を強く求めながら粘り強く交渉を続けていきたいと考えております。
湾岸危機の平和解決についてアメリカと話し合ったかというお尋ねでありますが、私は、国際社会が今回の事態の公正かつ平和的解決を粘り強く追求することが重要である、こう考えております。短気を起こしてはいけません。米国とは、本問題についていろいろなしベルで常に連絡をとり、話し合いはいたしております。ニューヨークにおける日米首脳会談でも、経済制裁を続け、イラクに国際ルールを守らせるべきこと、それが平和的解決につながる、そのための努力が大切だということをブッシュ大統領とも話し合って、共通の認識を得ておるものであります。
日朝間の問題にもお触れになりましたが、我が国はこれまで北朝鮮に対して前提条件なしの政府間対話を呼びかけてまいりました。国交正常化に向けた交渉にできるだけ応じることといたします。その時期、具体的なプロセスについては現在検討中であります。いずれにしましても、このような交渉は、朝鮮半島情勢全体を視野に入れて、同半島の緊張緩和、平和及び安定に資する形で、韓国、米国など関係諸国とも緊密に連絡をしながら進めてまいる所存であります。
ソ連との平和条約締結について、戦後最大の懸案であるという認識は一致しております。私は、この問題を解決することこそ日ソ関係全体を均衡のとれた形で拡大させることになると考え、その抜本的な改善、正常化を図るというのが我が国の基本的な考えであります。明年四月のゴルバチョフ大統領訪日を日ソ関係抜本的改善の重要な契機として、質的に新しい段階に入ることを強く期待し、今後日ソ交渉で北方四島一括返還の実現に向けてこれまで以上に強力に交渉していく所存であり、そのためにも来日されるゴルバチョフ大統領に対しては高い次元に立っての決断を強く求めたいと考えております。
今後、政府として東京一極集中を是正するためどうするか。やはり首都機能の移転問題も重要でありますし、御指摘のような政治行政機能、経済機能の相互関係の中で国会の移転という御議論もただいま超党派の議員の懇談会で御議論されておることに私は非常に注目をさせていただいております。あらゆる施策をこれに充て、前向きの対応を行っていきたいと考えております。
残余の御質問につきましては関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕