立木洋の発言 (本会議)

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○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、まず、今日の緊急問題であるイラク問題への対応について総理に質問をいたします。
 質問に先立ちまして、昨日の我が党の不破委員長の質問に対する総理の答弁は、まともに答えるものではなく、極めて遺憾であります。答弁は誠意を持って、質問に対し正確に答えるように最初に要求しておきます。
 では、まず第一に、政府がこのイラク問題を利用して、国の最高法規である日本国憲法の解釈を変え、自衛隊の海外派兵を図ろうとすることは絶対に許せないことです。
 総理は、国連の集団安全保障機能発動のための国連軍がつくられるとき、集団自衛権と集団安全保障は区別されるとして、現憲法下でのそれへの自衛隊派兵の検討を指示したと報道されています。これは重大な問題であります。今日の状況を真剣に考えるならば、たとえ国連を通したとしてでも、武力の行使、戦争の事態は決して望ましいものではありません。今、百万に上るイラク軍と大量の米軍などいわゆる多国籍軍が中東湾岸地域で対峙するという一触即発の事態にあり、もし軍事力を行使するならば、それは大戦争となり、世界経済が大打撃を受けることは必至となるからであります。
 米軍の中東派兵は、当初はサウジなどとの合意により防衛のためと称するものでしたが、今日はその規模においても、目的、ねらいについてもかつての言明の枠を大幅に超え、ブッシュ米大統領は米軍の中東軍事行動は必ずしも国連の枠内で行われるものではないと述べているのであります。こうして米軍は必要な限り中東への駐留を維持し、バグダッド攻撃をも射程に入れております。またイラク軍も、攻撃があれば化学兵器を含めあらゆる兵器を使用し、全油田を破壊すると公言いたしております。
 こうした大軍の衝突は、かつて長期にわたる悲惨なベトナム戦を想起するまでもなく人類にとっての重大事であり、絶対に避けなければなりません。そのため、今日、国連憲章第四十一条に基づく非軍事制裁による努力の強化にこそ全力を尽くすことが求められているのであります。ところが、国連自体が戦争の当事者になるという全く望ましくない軍事制裁の事態を想定して、国連軍ができたならばそれへの参加は集団安全保障として憲法上可能などと言うこと自体が大問題ではありませんか。
 昨日、海部総理は、これを研究していると答弁し、その内容を国民の前に明らかにすることを避けました。がしかし、このような将来の想定を総理や自民党首脳が今持ち出して研究するという本心とそのねらいは、集団安全保障の理念を持ち出すことで今の中東貢献策での自衛隊の派遣なんかは当然のことだと思わせる政治的な雰囲気をつくるためではないんでしょうか。明確に答弁をしていただきたいのであります。
 第二の問題は、アメリカの要請によって多国籍軍への自衛隊の参加、協力ができる道を開こうとしている点にあります。
 米軍への事実上の後方支援行為である自衛隊の派遣は何らの国連決議にも基づかないもので、経済制裁の徹底によって平和的に解決するということではなく、逆に危険な米軍の作戦行動に結びつくことになります。
 総理は、自衛隊の多国籍軍への参加は考えていないと述べていますが、しかし、いわゆる協力法の第一条目的では「国際の平和及び安全の維持のために国際連合が行う決議を受けて行われる国際連合平和維持活動その他の活動に対し適切かつ迅速な協力を行う」と規定しています。ここで言われている「その他の活動」とは、協力法第三条の定義では「国連決議の実効性を確保するため」ということで国連決議の枠外の活動や国連加盟国その他の国の活動まで含めているように、まさに現在の多国籍軍の活動そのものではありませんか。しかも、自衛隊員を協力隊員と併任として、部隊として派遣するとしています。このことは、自衛隊の装備の利用を可能とするものであることば明白であります。総理がいかに武力の行使に当たるものではないと述べても、この自衛隊の派遣は国際的にだれが見ても武力の威嚇を伴う軍隊の派遣であり、戦禍に巻き込まれることは不可避であります。
 先ほど、総理は答弁の中で国連多国籍軍ということを言われましたが、国連多国籍軍とは一体何ですか。多国籍軍が国連のどの決議でその制定が決められたのか、明確にしていただきたい。多国籍軍との関係について、これまでのあいまいな内容の繰り返しではなく、明確な答弁を求めるものであります。
 第三の問題は、対米追随についてであります。
 国連の決定したものでもない米軍中心の軍隊への支援に対して、いわゆるブッシュホンで直ちに十億ドルを決め、ブレイディ特使の来日でさらに倍増させましたが、これはツーリトル、ツーレートなどというものではなく、全くの誤りであります。イギリスを初め西欧諸国の報道でも、アメリカに追随する日本と報道されている状態であり、政府の言う世界の要請などというのは、結局はアメリカの言うことだけを重視するという自主性のない対米追随ではございませんか。
 人員の派遣についても、もとより国連から中東への自衛隊の派遣要請など一切ありません。去る九月二十九日、ブッシュ米大統領が自衛隊の海外出動を総理に要請し、それに同意したものと報道され、あなたは否定をいたしましたが、ブッシュ米大統領からは平和協力隊を含め人員派遣の要請が全くなかったのでしょうか、はっきりと答えていただきたい。
 言うまでもなく、日本国憲法は「国際紛争を解決する手段として」「武力による威嚇又は武力の行使」を永久に放棄し、一切の戦力の保持を禁じています。まさに、イラクのクウェートに対する侵略と併合が絶対に許されるべきでないことは明白でありますが、これは国際紛争そのものであります。これを、国際情勢の変化や、イラクの侵略という紛争の性格によって、国際紛争ではないとでも言うのでしょうか。このようなごまかしで憲法の解釈を変え得るとするならば、それはまさに日本のかえがたい歴史として世界大戦の真剣な反省の中から生まれた憲法の平和的条項の重みを忘却するものであります。また、日本の国連に対する協力は軍事的協力の義務は負わないことを明確にした歴史的事実をも無視するものではありませんか。
 さらに、一九五四年本院では、どのような名目、形態によるものであれ自衛隊の海外派遣を禁止した決議を採択いたしております。総理は、本会議の決議は尊重する必要がないとでも言うのでしょうか。
 我が党は、日本の進路にとって重大な危機をもたらす国連平和協力法案の撤回を強く求めるものであります。
 次に、消費税の問題であります。
 国民の猛反対を無視して消費税が実施されてから一年半が経過しました。この間、消費税は定着どころか、経済企画庁の外郭団体の委嘱調査でも、はっきりと廃止を求めているものが四七%で、見直しや存続を求めるものを六%も上回り、消費税の廃止を求める声は根強く存在しているのであります。
 我が党は、両院税制協議会において、再三にわたって、今般の税制改革が国民生活にどのような影響を及ぼしたかを検証するために、実施後一年半の実績に立った客観的資料の提出を求めていましたが、政府も自民党もまともにこれにこたえようとはしておりません。正確に公正にまじめに検討しようとするならば、当然資料は提出されるべきではありませんか。
 我が党の試算によれば、消費税の負担は一世帯平均で年十万円以上、しかも低所得者ほど負担が重い逆進税制であることは明白であります。消費税転嫁の名目などでこの一年間物価への影響も深刻で、三・五三%と政府見通しの一・二%を大幅に上回っております。大企業の法人税率は過去四年間に三段階に分け四三・三%が三七・五%に引き下げられただけでなく、年二回納付する消費税の納期までの自由な運用益はNTTで二十六億円にもなるという状態です。まさに政府自身が認めた消費税の九つの懸念のどの一つも解決されていません。この事態を総理はどう考えているのでしょうか。
 政府は導入に際し高齢化社会に備えるなどの理由を挙げましたが、それは全く口実にすぎず、根本は、今年度軍事費が前年比六・四%増、来年度の概算要求は五・八%増、さらに中東出兵の米軍などへの二十億ドルの支援、在日米軍駐留経費の負担増に応じる態度などに見られるように、米側の圧力による軍備増強にあることは明白ではないでしょうか。さらに、日米構造協議に基づく四百三十兆円に上る公共投資の公約など我が国財政を無視した歳出の先取りは、必ず我が国財政を破綻させ、消費税の税率の大幅引き上げとなって国民にしわ寄せされることは既に明らかであります。したがって、このような消費税はきっぱりと廃止するのが当然であります。
 次に、今日、ウルグアイ・ラウンドにおける農業交渉は十二月上旬の最終報告に向け重大な局面を迎えております。総理は、所信表明演説の中で、米の問題については「国会における決議などの趣旨を体し、国内産で自給する」と述べていますが、当然のことです。既に、全国で六割に上る市町村議会及び三十二の道府県議会では米の市場開放阻止の決議や陳情を採択しております。
 ところで、武藤通産大臣は、この間、たび重なる国会決議の見直しを求める発言を繰り返しているばかりか、さきにカナダで行われた四極通商会議の際、ベーカー米国務長官に日本は政治的に柔軟性を示す必要があるとの趣旨の発言をしたとして大きな問題になりました。政府は、十二月の最終報告に向け政治決着を図ろうとしているのではないですか。そうでないのなら、ウルグアイ・ラウンドにおいて政治決着をせず、改めて国会決議を守り米の輸入自由化阻止のために全力を尽くすと明言するよう求めるものであります。
 次に、緊急な解決が求められている土地問題について質問をいたします。
 九月十九日に国土庁が発表した都道府県基準地価格では、住宅地の地価上昇率は過去最高となり、固定資産税評価額は全国の平均で二八・五%の上昇、とりわけ三大都市圏、政令指定都市は五八・一%という異常なものであります。これによる来年以降の固定資産税は大増税となり、都市計画税の増税、国保料や保育料の値上げ、地代、家賃の引き上げにもはね返り、都市住民の生活と営業は大打撃を受けます。また、マイホームの夢は断たれ、住みなれた土地を追い出されることは明白であります。土地の買い占め、投機に狂奔し、その資金を提供してきたこの地価高騰の元凶をこそ厳重に規制すべきであります。
 このことに関連して、第一に、緊急措置として、固定資産税負担は既に耐えがたい水準となっており、来年の評価がえを全面中止すべきであります。
 第二に、緑と防災は都市住民のすべての願いであり、都市農地は長期営農継続農地制度を存続し、農地を都市計画に位置づけ、営農意思を無視した宅地並み課税強化はやめるよう要求します。
 第三に、政府が検討している新土地保有税は抜本的に再検討し、住宅はもとより、中小企業、商店、都市農地などを対象から明確に除外すべきであります。
 以上、明確な答弁を求めるものであります。
 公害の原点とも言われる水俣病が公式確認されてから三十四年がたちました。東京地裁や熊本地裁、さらに福岡高裁と相次いで被害者の早期救済のための和解を勧告いたしております。行政上の救済措置が機能せず、多数の水俣病患者が放置されているからこそ司法救済を求めたのですが、これを総理はどう考えるのですか。その裁判所が、判決では時間がかかり過ぎて救済にならないからと判断したからこそ、国の責任についても触れながら和解を勧告したのです。これを拒否することは、被害者は救済されずに死ねということと等しくなるではありませんか。熊本県、チッソも受け入れを表明しているのに、国だけが冷酷な態度をとり続けているのは絶対に許せないのであります。今すぐ和解勧告に応じることを強く要求いたします。
 最後に、政治改革と称する政治改悪の計画について質問をいたします。
 現在、政府・自民党が打ち出している政治改革なるものは、選挙制度審議会に自民党の政治改革大綱どおりの答申をさせ、公平な第三者機関の装いのもとで、実際は自民党の一党支配をねらう小選挙区制の導入、憲法違反の政党法制定などを強行しようとするものであります。参議院では推薦制を採用して、第三者機関なるものに議員の選定をゆだねることによって参議院を国権の最高機関の地位から引きずりおろし、自民党政府の意のままになる諮問機関に変えようとすることまでもくろんでおります。これはまさに主権在民、議会制民主主義の根本を形骸化させる暴挙と言わなければなりません。
 選挙制度の改革は、小選挙区制の導入を直ちにやめ、民意の公正な反映を実現し、選挙権の平等を保障することが最大の課題であります。総理の見解を伺いたい。
 リクルート疑惑関係政治家の真相究明と政治的責任の追及も依然として重要であります。
 とりわけ本院は、前国会で、郵政大臣の「態度はまことに遺憾」とし、「我々は、同君及び内閣に対し猛省を促し、引き続き全容解明と資料の提出等を求める」とする予算委員長見解が出されております。今日でも、国際航業事件に関連する政治家の問題や、NTTの真藤前会長に対する有罪判決などでのわいろ性が明確にされていることなどと関連して、政治家の政治的道義的責任の究明が改めて国政の重大な問題になっております。総理が本当に政治改革を行うというのであるならば、企業、団体献金を禁止することを初め、金権政治の根源をこそ正すべきではありませんか。
 総理は、リクルート疑獄に対する国民の厳しい批判に一体どうこたえようとしてきたのか、これからどうこたえるのか、明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
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発言情報

speech_id: 111915254X00319901018_011

発言者: 立木洋

speaker_id: 28264

日付: 1990-10-18

院: 参議院

会議名: 本会議