海部俊樹の発言 (本会議)

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○国務大臣(海部俊樹君) 立木議員にお答えをいたします。
 集団安全保障に関する国連憲章第七章の規定に基づく国連軍ができた場合の国連軍への協力のあり方につきましては、これは将来の問題として研究を行っておりますが、内容は具体的に特定しておらず、いずれにせよ集団的自衛権に関する憲法解釈の変更は考えてはおりません。
 多国籍軍などへの支援は、世界の要請というのは結局はアメリカの言うことだけを重視するとこう言われますが、そうではなくて、根本になっておるこのたびのイラクのクウェート侵攻というその事実が、平和の破壊として国際社会の大義に反するとして国連の決議においても真っ向から否定されたものであります。私は、この国連が行う決議に基づきまたは国連決議の実効性を確保するために各国がイラクの軍事侵略拡大の抑止のためにまたは国連の決めた経済制裁の決議の実効性を確保するために出しておるのが多国籍軍であると考えております。
 先ほど私が国連多国籍軍と言ったとすれば、その間に今申し上げた決議に基づき以下の文字を正確に入れておく必要があったと思いますので、改めて言い直しますが、国連が行う決議に基づきまたは国連決議の実効性を確保するために各国が経済制裁の実効性を高めるための行動ですから、それは勝手ではなくて、国際社会がやろうとしたことを黙って見ておって、あのイラクの軍事侵略、併合という暴挙を仕方がないといって見逃していいとおっしゃるのでしょうか。できるだけのことを、経済制裁でイラクにその過ちを認めさせようというのが今の国際社会の願いなんではないでしょうか。許されることと許されないことをきちっと決めたならば、いけないいけないと言っておるだけでは私は逆にいけないんであって、その意味で多国籍軍に対する協力もできるように、今回、武力行使を伴わない、武力による威嚇はしないという大きな憲法の枠組みのもとで何ができるかを我々は考えておるわけであります。
 また、平和協力隊の行う海外派遣を含む平和協力業務の実施に当たりましては、その時点での国際情勢、それを十分勘案し、派遣先あるいは基本方針等について関係閣僚で構成します国連平和協力会議の諮問を経て具体的な実施計画を閣議で決定するなど、慎重な対応をその都度行うものであります。
 また、ブッシュ大統領が自衛隊の海外派遣を要請したのではないかと言われますが、全然違います。ブッシュ会談の前にこの平和協力隊法の基本骨格は既に決めておりましたし、また、日本にこのような憲法の制約がある事情は大統領はよく承知をしておりますし、その上でさらに国際的な平和維持活動に参加できるよう検討することは世界じゅうに歓迎されると思うよという一般論はありましたが、自衛隊の派遣をどうのこうのということの事実はございません。
 また、イラクのクウェート侵攻にかかわること、これは憲法に反しないかということでありますけれども、イラクのクウェート侵攻は明白な侵略行為であって、一連の国連決議がイラクによって今全く受け入れられない状態にあります。この緊張状態をつくったイラクが、国連決議の趣旨に従って、国際社会の総意に目覚めてこの状況の局面転回をすれば、いわゆる多国籍軍の活動というものもなくなるわけでありますから、私は、やっぱり問題の根本解決をするためには、平和的解決のために経済制裁の実効性を確保していくことが大切であり、その経済制裁の実効確保のためには私は平和協力隊法をお願いしておるところでございます。
 また、我が国が国連加盟に当たって、平和主義、国際協調主義、その理念を掲げる国として国連の国際の平和と安全の維持のための活動に対してできる限りの協力を行っていくということを申し出ておることばこれは当然であろうと思いますが、私は何らかの留保条件が付されておったとは考えておりません。
 また、自衛隊の海外派遣を禁止した決議、これは確かにございますが、その決議は、参議院においてその実効性というものはもちろん有権的解釈はなされるべきものと思いますが、昭和二十九年に、「自衛隊の海外出動」に関するとなっております。当時、自衛隊の戦闘部隊がそのまま海外に出ていくというようなことを想定すれば、この「出動」という言葉は十分その想定だと思うんですけれども、自衛隊が平和協力隊の行う平和協力事業に参加し、国連決議に伴い国際の平和及び安全の維持のための平和維持活動に武力行使を目的とせず武力による威嚇を考えず戦闘部隊を出さないという、こういうのは海外派兵と海外派遣という議論にその後いろいろされてきておるのではないかと私は考えております。
 また、消費税の問題についてお話しになりましたけれども、共通の土台となる客観的資料を出すべきだとのことですが、消費税の実施状況については、物価や消費の動向、転嫁の状況、あるいは本年五月に一巡した消費税の申告納付の状況など、政府としてできる限り資料を収集し、税制調査会に対し御報告するとともに、両院合同協議会、広く国民の皆さんの御議論の参考に供するなど、今日までできるだけ御報告をしてきたところであります。
 また、消費税に関する九つの懸念のどれ一つも解消されていないではないかとおっしゃいますが、導入当時から、消費税のみならず他の税制やあるいは歳出面において幅広い施策を講じ、その解消に努めてきたところでありまして、実施後の経済動向や実体取引の現状を見てみましても、物価、あるいは転嫁、あるいは事務負担等の面で懸念されていたような事態は生じていないものと認識をいたしております。私は、当初指摘された懸念は大幅な減税であるとか税制の改正その他の問題等を通じて解消されてきているものと考えております。
 きっぱりと消費税をやめろとおっしゃいますが、この税制改革は、来るべき高齢化社会を目指し、国民の重税感、不公平感をなくすること、そしてこれによってもたらされる安定的な税体系を構築したいということ、福祉社会をつくる基礎となるものと確信してお出ししたものでありますから、消費税については正しい選択であったと今も考えておりますが、消費税を含む税制問題につきましては、現在、各党間で税制問題等に関する両院合同協議会で審議が重ねられておると承っております。政府としては、この消費税の存続を前提にし、国民の全体的、長期的な利益といった高い次元から協議が行われ、一日も早く適切な合意が得られますことを心から期待いたしております。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、これは政府としては成功裏に終結するよう全力を挙げてまいります。
 農業交渉に関連して、米の問題については、所信表明演説で申し述べましたとおり、米及び稲作の重要性にかんがみ、国会における決議などの趣旨を体して、国内産で自給するとの基本的方針で対処してまいる考えであります。
 固定資産税についてお触れになりましたが、基準年度である平成三年度において評価の見直しを行わないとかえって不均衡と不公平を生ずることになり適当でないと考えますが、従来から税負担の増加についてはなだらかなものとなるよう所要の調整措置を講じてきており、平成三年度の評価がえにつきましても、評価がえの状況を見きわめた上で適切な対応を図ってまいる考えであります。
 また、都市農地の長期営農継続農地制度についてお触れになりましたが、これは都市計画において市街化区域農地が保全すべき農地と宅地化すべき農地とに明確に区分されることを踏まえて、土地税制の総合的な見直しの中であり方を検討すべきものと考えております。
 また、政府が検討しておる土地保有税は抜本的に再検討し、住宅、中小企業・商店、都市農地などを対象から外すべきではないか、こういうお考えでありましたが、御指摘の保有課税の問題は、公共的性格を有する資産に対する負担の適正公平の確保を図り、その総合的な見直しを今行っておるところでありまして、税制調査会の答申をいただき、政府としては土地税制改革のための所要の法案を次期通常国会に提出することにしたいと考えております。
 水俣病訴訟の和解勧告に応ずるべきではないかと御指摘もございましたが、水俣病については、公害健康被害の補償等に関する法律によりこれまでに二千九百名の患者の方々を認定し、医学を基礎として公正な救済を推進しているところであります。
 選挙制度の改正では、政府・与党は衆議院では一票制を導入し、参議院では推薦制、まさに憲法原則の主権在民、議会制民主主義の根本を形骸化させるとおっしゃいますが、選挙制度審議会からいただいた答申の趣旨を尊重し、その成案化に向けて鋭意取り組んでおるところであり、当然のことながら現行憲法を前提として改革のための具体的方策についていろいろな角度から検討を行っていると承知いたしますが、政党並びに議員の身分に関する大切な問題でありますから、各党各会派においても御議論を賜り、御理解と御協力を得ながら改革を進めてまいりますので、よろしく御協力をお願いいたします。
 衆議院選挙の選挙制度の改革については、これは選挙区制度の中で衆議院議員の一票の格差を一対二未満とすることを基本原則とすることにしておりますから、投票価値の格差是正の要請にもこたえ得ることになるわけであると考えております。
 なお、リクルート疑惑関係についてお触れになりましたが、この際、企業もそして政治家も政治資金の問題については政治倫理確立を前提に考え、政治資金の調達が節度を持って行われるようにしていくことは当然であると心得ておりますし、また改革につきましては、制度審議会の答申の趣旨も、金のかからない、政策本位、政党本位の選挙や政治活動を目指し、選挙制度及び政治資金制度の改革を一体のものとして実現できるよう、その成案化に向けて鋭意取り組んでおるところであります。
 なお、リクルート事件に関する厳しい御批判に対応するためには、今後その反省の上に立って、今申し上げましたような実のある政治改革を全力を挙げて進めていくことが大切であると考えております。(拍手)

発言情報

speech_id: 111915254X00319901018_013

発言者: 海部俊樹

speaker_id: 5376

日付: 1990-10-18

院: 参議院

会議名: 本会議