海部俊樹の発言 (本会議)

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○国務大臣(海部俊樹君) お答えをいたします。
 今回の訪問は、中東湾岸地域の五カ国の首脳及びイラクのラマダン副首相と会談をいたしましたが、私はそれぞれの首脳が今の湾岸の危機に対して深刻な憂慮の念を持っておること、同時に、今の事態がこのまま長期化すること、それを何とか防がなければならないという重大な関心を持っておること、同時に、何が原因でこの湾岸危機ができたかというと、これは明らかにイラクのクウェートという国家を侵略し併合するという平和の破壊行為でありますから、これに対して国連が決議をもって支持をした、それを平和的に解決するために経済制裁の措置を決めて、この経済制裁の措置を実効あらしめていくことが平和的解決のまず第一歩である局面打開につながるものであると、こういう考え方を私も申し述べましたし、これについては各国首脳の間において大きな立場の変化はありません。そのために大事なことは国際社会が、みんなが力を合わせてくれることだ、イラクのことはアラブだけで片づけよと言われても、アラブの内部も今意見が分かれて、そしてアラブの中では解決できないから、それは世界の国際世論で解決をしようという点について各国首脳と合意をしたというお話をしておるわけでございます。
 私は、この平和的解決の間で全外国人の自由を直ちに確保するように、公正な平和が生まれるように我が国の立場を明確にし、人質問題解決への努力を話し合ってきたところであります。特にラマダン副首相との会談においては、当面の転回はございませんでしたけれども、我が国の立場を直接伝えるとともに、今後の政治的対話の道は継続しておこう、これは両方で合意もしてまいりました。そして、日本とイラクの関係の再構築も、あるいはミッテラン大統領やブッシュ大統領が述べた和平提案のことも、あるいは日本が考えておる国連決議二四二に伴うパレスチナ問題の解決の問題についても、局面を打開して、まずそういった根本的な問題が話し合いのできる状況をつくることのできるかぎは今イラクが持っておるんですから、イラクがこの問題解決のための第一歩を踏み出すという、それがいろいろな機会を国際社会に提供するんですから、そのことを十分に考えて決断をされたいということを求めてきたわけであります。
 中東地域には、中東和平問題など未解決な重要問題が存在していることは御指摘のとおりでございますから、今回の事件、湾岸危機、これと切り離した形で根本的な公正な解決が図られなければならぬという考えを私も持っております。
 また、日本の大使館はいろいろと努力はしておりますけれども、イラクがほとんど大使館員の行動に対して邦人との面会を許しておりません。全員の状況を把握するのはその意味で極めて困難でありますけれども、それでも、手紙を届けるとか日本食を差し入れるとか薬を取り次ぐとか衣類等の差し入れ等を行うとか、いろいろ接触をして、できるだけ正確に全体の状況を把握し、同時に少しでも、一日でも早い邦人の解放、すべての外国人の人質問題の解決に向けて大使館は引き続き努力を続けていくわけであります。
 また、いわゆる多国籍軍は、武力によりクウェートに侵攻したイラクの行為に対して、国際平和及び安全の維持のため累次の安保理決議を受けてその実効性を確保するために展開しておるものでありますから、日本はこの平和回復活動に対する協力を取りまとめてまいりましたし、また、ともに武力行動に出る、実力行使をするという考え方ではありませんから、憲法九条の解釈上許されるものと考えております。
 また、国連を通じての協力に形を変えたらどうかというお話でありますが、これは国連安保理の諸決議を受けて活動しておる、そして国連決議の実効性確保のための協力であり、また国連の決議にはこれら加盟国に対して必要な協力をしてほしいということになるわけでありますから、私は国連を通しての国連決議の精神を受けての協力だと思いますし、また資金提供に当たっても、国連に平和基金の設置を働きかけたこともありますけれども、それが国連に今ないわけでありますから、湾岸平和基金に提出をするという形をとっておるところであります。
 在日米軍経費問題にもお触れになりましたが、その件は、それ自体の問題と考え、次期防策定の作業の中で引き続き検討を続けてまいりたいと思っております。
 また、アジアの一員として国連の中で果たすべき政治的役割とのことでございますが、やはり国際の平和及び安全の維持のためにはアジアの平和、アジアの安全もともに一体をなすものでありまして、私はアジアの一員として日本が国際社会に果たすべき役割の一つとしてアジアの中においても大きな役割を果たさなければならぬと考えております。
 また、この問題については、周辺諸国に対して、歴史の反省に立った日本の立場、二度と軍事大国にはならないという誓いはかたく持って変えておりませんし、また、この国連の平和維持活動その他に対して国連で決議をする場合にはこれはアジアの代表も入って決議をされておることであり、国際社会の平和、公正な平和が守られていくということはアジアの安定と平和のためにもこれは共通の利益に立つ考えでありますから、平和と安定のために今後とも我々は理解を深める努力を続けながら、日本の今決めておる基本的な考え方について十分な説明をし、理解をいただきたいと考えております。
 また、平和協力隊は自衛隊とは別のもう一つの軍事組織ということになるとおっしゃいますが、自衛隊を自衛隊として動かす、自衛隊をそのまま使うというのではなくて、目的、使命が違うわけでありますから、ですから平和協力隊として、その平和協力隊へまず入ってもらうことによって平和協力隊の指揮下に入ってもらうわけであります。そうして、軍事組織ではないということは、原則非武装で来るわけでありまして、同時にまた、派遣先や任務について特に必要とするときに小型武器を貸与することができるということを例外措置としてきちっと条文に書いておるわけでありますから、これが新たな軍事組織ということには私は当たらないと思いますし、軍事組織にしないために原則非武装で武力の行使を目的としないというところに重点を置いたものであるということをもう少し御理解いただきたい、このように思うわけであります。
 また、我が国が国連加盟に当たって何らかの留保条件を特に付したとは考えられていないわけでありまして、平和主義、国際協調主義の理念を掲げる我が国としては、国連による国際の平和と安全の維持のための活動に対しできる限りの協力を行っていくということでございます。
 そうして、御指摘の自衛隊の海外出動に関する昭和二十九年の参議院本会議の決議につきましては、その有権的解釈は参議院によりて行われるものであると思いますが、自衛隊が、今日のように、平和協力隊の行う平和協力業務に参加をして、国際の平和及び安全の維持のための平和維持活動などに協力するため海外に派遣されることがあろうということまでは想定されたものではなかったのではないかと私は考えておるのであります。
 我が国の行うにふさわしい平和的な貢献は国連の平和維持活動に限定せよとのことでございます。
 私は、国連平和維持活動その他に対して、単に資金面のみならず、要員派遣面でも協力をしていくことが重要と考えておりまして、政府としては一般のいろいろな公務員、民間の皆さんとともに自衛隊が平和協力隊として参加する道を確保することによって、平和協力法業務がさらに的確に行うことができるように、この問題をこの法案の中で任務として書いたわけであります。あくまで武力による威嚇または武力行使に当たるものではないということは、これは言うまでもありません。
 法律改正についてお触れになりましたが、この平和協力隊に自衛隊が参加するということについては、私は国連平和協力法の制定に伴いこれと一体不可分をなすものとして今この法案を提出して議論をお願いしておるわけでありますから、その附則で改正を行うということもこれは法律の改正でございますから、十分に御議論をいただきたいと考えております。(拍手)
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発言情報

speech_id: 111915254X00319901018_017

発言者: 海部俊樹

speaker_id: 5376

日付: 1990-10-18

院: 参議院

会議名: 本会議