海部俊樹の発言 (安全保障特別委員会)
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○海部内閣総理大臣 一言ごあいさつ申し上げます。
世界は東西冷戦構造を乗り越え、新しい時代に着実に歩みを進めつつあり、昨年のサミットでも、今世紀最後の十年は民主主義の十年とうたわれたように、自由と民主主義という価値観がより普遍的な原理となってきております。世界は、このように真に地球は一つという時代に向かって、新しい国際秩序、枠組みの形成を模索していますが、一方で、東西対立の陰で表面化しなかった対立や紛争が顕在化しつつあり、危険な状況も生まれています。このようなときにこそ我が国は、責任ある自由民主主義国家として、冷戦構造克服後の新たな国際秩序の樹立に向けての努力を重ね、平和の枠組みづくりを通じ、二十一世紀の世界の運命に責任を負っていかなければなりません。
このような中にあって、我が国は、みずからの平和と安定を確保するため、日米関係の基礎をなす強固なきずなである日米安保体制を堅持し、その信頼性の向上を図るとともに、平和憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならず、文民統制を確保し、非核三原則を守るとの基本方針のもとに、節度ある防衛力の整備に努めてきたところであります。
防衛力整備の具体的な指針として、我が国は、昭和五十一年に防衛計画の大綱を策定し、これに従って防衛力の整備を進めてきましたが、この大綱は、安定化のための努力が続けられている国際情勢や国内諸情勢などに着目して、防衛上必要な各種の機能を備え、後方支援体制を含めてその組織及び配備において均衡のとれた態勢を保有することを主眼とし、これをもって平時において十分な警戒態勢をとり得るとともに、限定的かつ小規模な侵略までの事態に有効に対処し得るものを目標とするものであります。
平成三年度以降の防衛力整備については、国際情勢が変化する中で、これをどのように進めていくかという観点から、安全保障会議及び閣議において、「平成三年度以降の防衛計画の基本的考え方について」を決定し、国際情勢の変化に関する認識を明確にするとともに、国際情勢の変化と大綱の基本的考え方との関係を明らかにしたところです。
政府は、この決定において、最近の国際情勢の動向について、今後とも注目する必要があるが、総じて、大綱策定の際に前提とした国際関係安定化の流れがより進んだ形であらわれつつあると見ることができるとの認識のもとに、日米安保体制の信頼性の向上を図りつつ、引き続き、大綱の基本的考え方に従って効率的で節度ある防衛力の整備に努めていくことが適切であるとの判断を示しております。
この基本的考え方に基づき策定された新しい中期防衛力整備計画においては、現行中期防の実施により、大綱に定める水準がおおむね達成される状況等を踏まえ、主要装備については更新・近代化を基本とし、隊員の生活環境や情報、通信などの各種支援機能を初めとする後方分野の一層の充実に努めることなどを基本としています。さらに、在日米軍経費負担問題については、日米安保体制の効果的運用を図るという観点から、本計画の中で、在日米軍の駐留支援のための新たな措置を講ずることとしています。
また、この計画の実施に際し、憲法及び専守防衛等の基本的防衛政策に従うとともに、昭和六十二年一月の閣議決定に示された節度ある防衛力の整備を行うという精神を引き続き尊重することは言うまでもありません。
以下、防衛庁長官から新中期防衛力整備計画について報告させます。
委員各位におかれましては、今後の我が国の防衛力整備について、当委員会で速やかに御論議され、御理解、御協力くださるようお願い申し上げますとともに、国民の皆様におかれましても、一層の御理解を切に希望する次第であります。