吹田愰の発言 (地方行政委員会)
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○吹田国務大臣 委員各位には平素から地方行政及び警察行政の推進に格段の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。
この機会に所管行政の当面する諸問題につきまして所信の一端を申し上げ、各位の深い御理解と御協力を賜りたいと存じます。
ところで、去る一月十七日、湾岸地域において国連安全保障理事会決議に基づく関係諸国の武力行使が実施され、現在なお予断を許さない状況が続いていることは御承知のとおりであります。
内閣においては、直ちに湾岸危機対策本部を設置し、各般にわたる対策を決定、実施しているところでありますが、自治省及び警察庁においてもそれぞれの省庁内に対策本部を設置し、内閣の対策本部においてとられる措置等を直ちに地方公共団体及び都道府県警察に伝達し、所要の指導を行う等、必要に応じ適宜適切な対応をとっているところであることをまず初めに御報告申し上げます。
さて、今日我が国社会は、高齢化、国際化、情報化が急速に進みつつあります。今日の地方行政は、このようにさまざまな面で大きな変貌を遂げつつある社会情勢に的確に対処しつつ、個性豊かな活力ある地域社会の実現を図ることが期待されており、地方公共団体の果たす役割は、一層増大するものと考えられます。
一方、地方自治を取り巻く行財政環境には依然として厳しいものがありますが、国・地方を通ずる行政改革と地方財政の健全化を一層進めていくとともに、今後とも地方税財源の確保を図り、各地域において住民が誇りと愛着を持てるふるさとづくりを推進するための施策を積極的に展開していかなければなりません。
私は、二十一世紀に向け時代にふさわしい地方自治の確立のため、最大限の努力を払ってまいる所存であります。
東京への一極集中傾向を是正し、多極分散型国土の形成を実現していくため、全国各地がそれぞれの特色を生かした地域づくりを進めていく「ふるさと創生」の推進が、国・地方を通ずる内政の重要な課題となっております。
みずから考えみずから行う地域づくり事業、いわゆる一億円事業を契機として、現在、全国各地において自主的、主体的な地域づくりが熱心に取り組まれておりますが、こうした地域づくりをさらに発展させていくため、来年度においては、地域づくり推進事業など既存の施策を拡充するなど、「ふるさと創生」の一層の推進を図ってまいります。
あわせて、国における高齢者保健福祉推進十か年戦略、いわゆるゴールドプランに呼応して、地方においても高齢者保健福祉推進特別事業を創設し、地方公共団体が実施する高齢化対策を積極的に支援してまいります。
また、外務省及び文部省と共同して実施している語学指導等を行う外国青年招致事業の招致人数の拡充等、地域の国際化を一層推進してまいる所存であります。
さらに、情報の地域間格差を是正し、住民福祉の向上と地域の活性化を図るため、全国の地方公共団体間に構築される衛星通信ネットワークや地域CATV事業の促進など、地方公共団体が実施する高度情報化推進事業を積極的に支援してまいりたいと存じます。
次に、地方行政の充実について申し上げます。
地方公共団体が、その機能を十分発揮し、住民福祉の向上、多極分散型国土の形成などを進めてまいるためには、国・地方を通ずる行財政の簡素効率化を図るとともに、地方公共団体の自主性、自律性の強化を図っていく必要があります。
国から地方への権限移譲等の推進につきましては、さきの臨時行政改革推進審議会の国と地方の関係等に関する答申を踏まえ、その具体化を図ることを初め、引き続き地方分権が一層推進されるよう努力してまいります。また、機関委任事務に係る制度の改善、議会・監査委員制度の整備など、所要の地方自治制度の改革を進め、地方行政を充実させるために努力いたしたいと考えております。
地方公共団体における行政改革につきましては、地方行革大綱に沿って、自主的、総合的な取り組みがなされてきているところでありますが、今後さらに事務事業の見直し、組織機構の簡素合理化、給与定員管理の適正化などが積極的、計画的に推進されるよう、強力に指導してまいりたいと考えております。
次に、地方財政に係る施策について申し上げます。
公共事業等に係る国庫補助負担率の取り扱いにつきましては、昭和六十一年度の水準にまで復元した上、今後三年間の暫定措置とすることとされました。その影響額につきましては地方債などにより所要の補てん措置を講じ、地方団体の財政運営に支障が生じないよう措置することとしたところであります。なお、その後の取り扱いについては、暫定期間内に各省庁間で、体系化、簡素化などの観点から総合的に検討を進め、可能なものから逐次実施に移すことといたしております。
地方財政は、近年地方財政対策を通じて中期的な財政の健全化のための措置が講ぜられてきたものの、なお多額の借入金残高を抱えており、一方では、多極分散型国土の形成の推進、生活関連社会資本の整備、高齢化社会の進展への対応等の重要問題について、今後、地方団体がますます大きな役割を担うことが求められております。
こうしたことを踏まえ、明年度の地方財政計画は、次のような方針に基づき策定することとしております。歳出面におきましては、経費支出の効率化に徹する一方、自主的、主体的な地域づくりの積極的な推進など地方単独事業費の拡充を図るとともに、地域福祉基金の創設、土地開発基金の積み増し、財源対策債等償還基金の積み立てを行う等、限られた財源の重点的配分に配意しております。歳入面におきましては、地方債の抑制に努めるとともに、地方税負担の公平適正化の推進と地方交付税の所要額を確保することとしております。
この結果、平成三年度の地方財政計画の規模は、歳入歳出とも七十兆八千八百四十八億円となり、前年度に比べて、五・六%の増となっております。
なお、地方交付税の総額については、交付税特別会計借入金の返済措置のほか、五千億円を減額する特例措置等を講ずることとしておりますが、前年度と比べて七・九%増の十四兆八千四百四億円余りを確保しているところであります。
また、地方公営企業につきましては、下水道、駐車場等の生活関連社会資本整備の促進を図るとともに、社会経済情勢の変化、住民ニーズの多様化等に的確に対応できるよう、経営の健全化と活性化を一層推進してまいる所存であります。
さらに、新産業都市の建設、首都圏の近郊整備地帯等の整備及び公害防止対策事業の促進を図るため、国の財政上の特別措置を引き続き講ずることとしております。
次に、地方税制について申し上げます。
平成三年度の地方税制改正につきましては、個人住民税について、税率の適用区分の見直し及び基礎控除等の額の引き上げにより住民負担の軽減を図るほか、固定資産税に係る土地の評価がえに伴う適切な負担調整措置を講ずるとともに、土地税制について、土地基本法の理念に従い、土地に関する諸施策を踏まえ、市街化区域農地に対する課税の適正化、特別土地保有税の全般的見直し及び遊休地に対する課税の強化並びに土地譲渡益に対する負担の適正化など、総合的な見直しを行い、あわせて、特別地方消費税の免税点の引き上げ、非課税等特別措置の整理合理化等、所要の措置を講ずることとしております。
また、基地交付金及び調整交付金につきましては、基地所在市町村の実情にかんがみ、所要の額を確保することといたしております。
次に、公務員行政について申し上げます。
従前に引き続き、公務能率の向上、厳正な服務規律の確保、正常な労使関係の樹立等に努めてまいりたいと考えております。また、地方公務員の週休二日制につきましては、月二回の土曜閉庁方式の導入が円滑に進められるよう努めるとともに、交代制等職員の週四十時間勤務制の試行を推進してまいりたいと考えております。
次に、消防行政について申し上げます。
我が国の消防は、自治体消防として発足して以来四十年余りの間に、制度、施策、施設等の各般にわたり、着実な発展を遂げてまいりました。しかしながら、地震、台風や集中豪雨を初め、長崎屋尼崎店火災や東京都板橋区における化学工場爆発火災など、依然として災害は後を絶たず、また、災害の態様もますます複雑多様化、大規模化してきております。
私は、このような状況にかんがみ、何よりもまず人命の尊重を基本として、安全な地域社会づくりを進めるため、消防力の充実強化はもとより、住民、事業所及び消防機関が一体となった地域ぐるみの消防防災体制を確立することが重要であると考えております。
このため、消防防災施設の整備や装備の高度化等による消防力の充実強化、防災町づくり事業の推進、広域応援体制の整備、消防防災通信ネットワークの強化、危険物の保安の確保、消防団の活性化と自主防災体制の整備などを図るとともに、特に緊要な課題となっている救急業務の高度化を図るため、適切な教育訓練体制を確立し、救急隊員に高度な教育訓練を実施してまいりたいと考えております。また、物品販売店舗等における防火安全対策の充実強化、住宅防火対策の推進、国際消防救助体制の整備など、消防を取り巻く環境の変化に対応した積極的な消防行政の推進に努めてまいる所存であります。
次に、警察行政について申し上げます。
申すまでもなく、法秩序を維持するということは、法治国家の根幹をなすものであり、国民の安全で豊かな生活の基盤となるものであります。我が国の治安は、国際的にも高い評価を受けてきておるところでありますが、内外の諸情勢がまことに厳しい折から、現在の治安水準を維持していくためには今後一層の努力が必要であります。
私は、このような情勢を十分認識し、国民の皆様の御理解と御協力をいただきつつ、治安の確保に最善の努力をしてまいりたいと考えております。
初めに、犯罪情勢についてであります。
昨年の刑法犯の認知件数は、約百六十四万件であり、戦後最高を記録した前年に比べますと、約三万七千件減少しております。しかしながら、その内容を見ると、暴力団犯罪の悪質多様化、来日外国人犯罪の多発、金融機関を対象とする強盗事件の増加など、厳しい情勢となっております。また、近年の科学技術の進歩、国際化、都市化の進展、国民意識の変化などに伴い、捜査活動はますます難しくなってきております。このような状況に対処するため、犯罪の広域化、国際化などに対応できる捜査体制の整備充実を図るほか、捜査に対する国民の御理解と御協力を得るための諸施策を推進してまいりたいと考えております。
また、最近、暴力団は、けん銃を使用する対立抗争事件を続発させ、国民を巻き添えにするとともに、国民生活や経済活動への介入を一段と強めており、我が国の治安上の重要な課題になっております。
警察としては、従来から、暴力団による銃器を使った事案については徹底した防圧、検挙に努めておりますが、最近の厳しい情勢を踏まえて、今後、銃砲刀剣類所持等取締法の一部改正を含め、さらに強力な銃器対策の推進に鋭意努力いたしたいと考えております。
また、暴力団に対する徹底した取り締まりを行うとともに、暴力団対策のための新たな法制度の検討等、暴力団を根絶するための総合的な施策を強力に推進することとしております。
覚せい剤・麻薬等の薬物問題については、その根絶対策が国際社会共通の重要な課題となっております。我が国でも、覚せい剤事犯に加え、最近ではコカイン事犯の激増や暴力団の大麻事犯への介入など、薬物乱用の拡大多様化が顕著となっております。また、暴力団や国際的な麻薬犯罪組織の介入等により、犯罪がますます広域化、国際化しております。
このような状況に対処するため、広域捜査力、科学捜査力等の充実強化、国際協力の積極的な推進、広報啓発活動等の諸対策に努めていくほか、麻薬新条約の批准に向け、関係省庁とともに、国内法整備のための必要な検討を進めてまいることといたしております。
次に、警備情勢についてであります。
極左暴力集団は、昨年、即位の礼、大嘗祭、成田闘争等をめぐる百四十三件のテロ・ゲリラ事件を引き起こしておりますが、本年もこうした事件の多発が心配され、厳重な警戒を要するところであります。
また、現在の湾岸情勢からしますと、日本赤軍など国際テロ組織がテロを企てているおそれもあることから、十分な警戒が必要であります。
一方、右翼は、けん銃を使用した事件を多発させるなどしており、今後の動向には、厳重な警戒が必要であります。
このような状況に対しまして、テロ・ゲリラ事件を根絶することを当面の重要課題として、全国警察の総力を挙げて対処してまいることとしております。
次に、交通問題についてであります。
交通事故の現状を見ますと、昨年は、三年連続して死者が一万人を突破するなど、まことに残念な状況にあります。また、都市部を中心に交通渋滞や違法駐車の問題が深刻化するなど、道路交通をめぐる情勢はますます厳しさを増してきております。このため、交通安全施設の整備、交通安全教育の推進、違法駐車対策を中心とする交通の円滑化対策などの諸対策を総合的に推進し、安全かつ円滑な道路交通の確保に努めてまいりたいと考えております。
特に駐車問題につきましては、昨年六月、道路交通法及び自動車の保管場所の確保等に関する法律の改正を行ったところであります。本年は、改正法により誕生した地域交通安全活動推進委員ともども、地域にお住まいの方々の御理解と御協力をいただきつつ、この二つの改正法に盛り込まれた新しい制度の円滑な実施に重点を置いて対処してまいることとしております。
次に、少年非行問題についてであります。
我が国の将来を担う少年の非行を防止し、その健全な育成を図ることは、国民すべての願いであります。しかしながら、全刑法犯の半数を少年が占めるなど、少年非行は、依然として高い水準で推移しており、凶悪粗暴な事件も後を絶たない状況にあります。また、少年を取り巻く環境を見ますると、少年に悪い影響を与えるのではないかと思われる漫画やビデオソフトが市中で簡単に手に入るなど、まことに憂慮すべき状況にあります。
このため、少年の適切な補導を初め、少年の福祉を害する犯罪の取り締まり、少年相談活動、非行を誘発させない環境づくりなどの各種非行防止対策を総合的に推進してまいることとしております。
以上、警察行政の当面する諸問題について申し上げたのでありますが、流動する社会経済情勢に迅速かつ的確に対処し、治安の万全を期すためには、警察体制の整備充実を図ることが肝要であります。
このため、平成三年度におきまして、関西圏の三府県での地方警察官の増員を初めとして、捜査力の充実強化対策、重大テロ事件対策、麻薬・覚せい剤事犯対策、交通安全対策を最重点として、人的物的基盤の整備を図ってまいりたいと考えております。さらに、職員一人一人が誇りと使命感を持って後顧の憂いなく職務に精励できるよう、職員の処遇の改善を含む環境の整備を進めるとともに、国民の立場に立った警察活動の推進、職員の実務能力の向上、規律の保持などに努め、国民の期待と信頼にこたえる警察活動の推進に心がけてまいります。
以上、所管行政の当面する諸問題につきまして、所信の一端を申し述べましたが、委員各位の格別な御協力によりまして、その実を上げることができますよう、一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。(拍手)