海部俊樹の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(海部俊樹君) 森井議員にお答えを申し上げる前に、昨日の土井委員長に対する答弁の部分を二点補足をさせていただきます。
 第一点、今般の追加支援の財源措置につきましては、後世代にツケを回すことになるいわゆる赤字公債によるのではなく、今日、平和を享受してきた我々の世代で、国民の皆さんの理解と協力を得て、新たに臨時的な税制上の措置を講ずることなどを基本として考えていきたいと思っております。ただ、税収が入るまでの間は、つなぎのための臨時的な国債を発行せざるを得ないと考えております。
 具体的にどのような税制上の措置を講ずるか、また、どのふうな形の国債を発行するかなどの具体策については、ただいま早急に検討をしているところでございます。決定次第お示しをいたします。
 第二点は、同和問題についてのお尋ねでございましたが、憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であるという認識のもとに、政府は、昭和四十四年以来二十年余りにわたって、三たびにわたる特別措置法に基づき今日まで関係諸施策の推進に努めて、相当の成果を上げてきたところでございます。現行の特別措置法が失効する平成四年四月以降は、特別措置の一般対策への円滑な移行を図った上で、引き続き本問題の重要性にかんがみ、地方公共団体と一体となって一日も早い解決のために全力を挙げたいと考えております。
 続いて、森井議員にお答えを申し上げます。
 国連平和協力法案が成立するに至らなかったことは、私は厳しく受けとめており、大変残念なことでございました。
 ただ、この法案の審議や各界各層における御議論を通じて、我が国が平和のために国際協力をしなければならない、それは資金、物質面のみならず、人的側面においても貢献すべきであるという点については、各界で共通の理解が確認されたと認識をいたしております。ただいま公明党、民社党と自民党との三党合意に基づいて、新しい国際協力のあり方について成案を得るべく努力を進めておるさなかでございます。
 第二次海部内閣は、内外まさに多くの問題を抱えて改造をいたしました。閣僚のすべてが、これらの諸問題に向けて決意を新たにして取り組んでいこう、問題に真正面から取り組んで解決していこうという気持ちで皆が就任をしてくれました。したがって、清新実行内閣と私は呼んでおるところであります。(拍手)
 また、平和憲法を持っておる我が国が、多国籍軍の武力行使に対して、なぜ極めて遺憾であると言わないで確固と支持をしたのかと、こうおっしゃいますけれども、私は、国連がきょうまでたび重なる決議をして、五カ月以上にわたって各国のあらゆる努力があり、アメリカとイラクの直接対話があり、国連事務総長の調停など、各方面でいろいろなイラクに対する、国連決議を受け入れろというあらゆる努力が積み重ねられたことは御承知のとおりでございますし、毫も反省を示さないで、今なお居座って武力侵略を続けておる反省のないイラクの態度にこそ、森井議員からも極めて遺憾だと言っていただきたいわけであります。(拍手)
 新しい世界の秩序の根底は、武力でもって国の侵略、併合は許さないということをまず第一に守るべき原則であるとこれは打ち立てないと、世界の平和は図れません。私は、侵略の排除、平和の回復という、これがなければ公正な世界は成り立たないということを改めて申し上げるとともに、一日も早く、一刻も早くイラクが反省をしてクウエートからの撤退を行うように強く重ねて要求をしておきたいものでございます。(拍手)
 このように世界の二十カ国を超える国が、侵略を排除し、平和を回復するための国連決議に従った共同行動で武力の行使に入っております。我が国も、世界の安定した国際秩序の中で、冷戦後の世界の秩序を模索する上において、この国連の権威にも関する平和回復への努力を一日も早く終わらせなければならないと考え、国際社会における地位にふさわしい支援を行うことが必要である、こう考えて九十億ドルの追加支援を決めたところであります。
 また、補正予算はいつ出すかということでありますが、成案が得られ次第、今国会に平成二年度補正予算及びこれと一体をなす法案を提出することとしたいと考え、努力をしておりますが、具体的な財源措置について今後の検討を要しますし、補正予算書や法案の作成等に物理的に相応の時間が必要であることをどうぞ御理解をいただきたいと考えます。
 また、今般の湾岸危機に伴い生じた避難民の輸送に対し、人道的、非軍事的な分野において、関係の国際機関から要請のあるもののうち、民間機を活用して既に行っておるものもありますが、そのようなことが難しい状況において、人道的見地から輸送を要する場合には、現行自衛隊法第百条の五の規定に基づき、「政令で定める者」というため、新たに必要な政令を制定の上、具体的な要請を受けたときに対応することができるように準備をしているものでありまして、撤回をする考えはございません。(拍手)
 また、森井議員は、国際機関を通じた非軍事、民生分野の難民の輸送、医療支援、民間機により積極的に対応すべきであり、医療分野では赤十字等を通じて貢献すべきではないかとお尋ねでありましたが、我が国は、今回の措置に関しても、国際赤十字を含む関係国際機関の要請にこたえて、人員の派遣とともに六千万ドルの資金協力を行ったのみならず、IOMを通じての具体的要請に対しても、民間航空機をチャーターし既に行っておることも申し上げさせていただきます。行っておるわけであります。
 また、日本と世界の経済にどのような影響があると見ておるかということであります。
 過去二回の石油危機のときと比べますと、石油への依存度が大きく低下しており、備蓄も百四十二日分を有し、国際協力のもとでこれに対処しておりますが、政府、消費者、企業が適切な対応を行えば、今般の事態は過去の石油危機のときと比べて小さなものにとどまる条件にあると考えてはおります。しかし、湾岸情勢の動向には予断を許さないものがあります。世界経済への影響や程度について、今後事態の推移を注目をし、十分これに対しては適切な対処をしていかなければならないと考えております。
 地価税は、これの導入のほかにも、固定資産税の評価の適正化、均衡化、譲渡課税の負担の適正化、土地の相続税評価の適正化、三大都市圏の農地課税の見直し、土地を利用した節税策への対応、優良住宅地の供給促進のための譲渡課税の軽減など、保有・譲渡・取得の各段階における総合的な見直しを含んでおります。これらのものがすべて相まって、全体として、資産としての有利性の縮減、有効利用の促進、仮需要の抑制、住宅地の供給促進が図られ、地価の抑制、低下につながっていくと考えております。
 住宅や店舗の固定資産税、大幅に五分の一、六分の一と拡充すべきではないかとのことでございますが、固定資産税については、住宅用地について税負担の緩和を図るために、二百平方メートルまでは四分の一、二百平方メートルを超える部分についても二分の一とする特例措置を既に講じております。この措置は、住宅部分が一定割合以上の店舗併用住宅についても既に講じられておるわけでありますから、これをこれ以上軽減措置を講じていくことは、市町村財政に与える影響も大きくなることからして、極めて困難な問題であると考えております。
 四百三十兆円の公共投資計画、それをもっと生活基盤の社会資本と福祉への充当に充てろとのことでございますが、公共投資基本計画においては、公共投資額のうち、生活環境、文化機能に係る公共投資額の割合を過去十年間の五〇%前半から六〇%程度に増加させることとするとともに、下水道、公園等については整備目標を示したところであります。地方公共団体が、地域に密接に関連する社会資本整備に自主的に取り組み、必要な施策を総合的に講じられるよう留意してまいる所存であります。
 また、廃棄物の減量化や再資源化を進めるとともに、廃棄物の適正な処理を確保することが重要であると考えております。法改正に取り組むべきではないかとのお尋ねでありますが、その問題も含めて必要な措置を積極的に推進いたしてまいります。
 また、労働時間につきましては、週四十時間労働制の実施のために、経済運営五カ年計画における目標を踏まえて、今後その実現に向けて努力をしてまいりますが、そのため、本年四月より週四十四時間労働制に移行すべく政令改正を行ったところであります。
 また、学校五日制の問題につきましては、教育水準の維持や学校運営のあり方、国民世論の動向に配慮しつつ、文部省において調査研究を行っておりますが、平成三年度末までに一応の結論を得たいと考えております。
 内外価格差の問題については、国際的になお割高感があることは事実でありますから、既に政府・与党価格差対策推進本部において取り組んでいるところであり、これまでも、流通について規制の緩和、独禁法の厳正な運用、輸入促進等が実施されるとともに、電話料金や航空運賃が引き下げられたほか、消費者との懇談会や情報提供を進めるなど、内外価格差対策については着実な実施が図られているところでございます。
 違法カルテルに対しては、政府として、消費者利益の確保と国民経済の健全な発展に資するため、今後独禁政策を強化することが必要と考え、カルテルに係る課徴金の大幅な引き上げに関する改正法案を今国会に提出することを予定いたしております。
 また、商品の持つ欠陥が原因で損害をこうむった消費者の救済を図る製造物責任制度については、民法の基本原則の一つである不法行為制度に係る大きな問題でもありますが、諸外国の動向を踏まえつつ、引き続き検討をいたしてまいります。
 なお、米についてお触れになりましたが、我が国の稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議等の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処いたしてまいります。
 食糧の安全性確保を含めた新しいルールづくりをと言われましたが、国民に安全な食糧を安定的に供給することが政府の責務であると考えております。安全な食糧供給を旨として、検疫、衛生のルールづくりに積極的に参加しているところであります。
 また、すべての人々がひとしくその人権を保障されるべきである、部落差別撤廃についての所信を述べろということでありますが、人種、信条、性別、社会的身分または門地によって差別されてはならないものでありまして、今後ともあらゆる差別解消のため努力をしてまいる考えであります。
 消費税につきましては、ただいま両院合同協議会において引き続き協議が行われておると承知いたします。政府としては、国民の全体的、長期的な利益といった次元から協議が行われ、建設的な合意が得られることを期待しておりますが、具体的な合意が得られたならば、その趣旨に沿って誠実に、迅速に対処してまいる考えであります。
 育児休業法の法制化のためには、子供を育てながら働く人々にとって、その能力と経験を生かしつつ職業生活と家庭生活の調和を図ることができるようにすべきであり、育児休業制度の確立に向けて鋭意努力してまいる所存であります。
 また、原爆被爆者対策につきましては、政府として原爆二法を中心とする諸施策の充実により対処していく考えであり、来年度においては、諸手当の大幅な改善を行うとともに、新たに原爆死没者の慰霊などのための諸事業を実施することといたしておりますので、御理解をいただきたいと思います。(拍手)
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発言情報

speech_id: 112005254X00819910129_004

発言者: 海部俊樹

speaker_id: 5376

日付: 1991-01-29

院: 衆議院

会議名: 本会議