海部俊樹の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(海部俊樹君) 金子議員にお答えをいたします。
国際貢献は、憲法の平和原則を貫き、湾岸問題の局面転回を図り、戦争を一刻も早く終わらせるためにふさわしい役割を果たすことが大切だと、私もそう思っております。一刻も早くこの局面の転回を図らなければなりません。その転回を図るかぎを握っておるのは、イラクがクウエートから撤兵をするという、国際社会と国連決議のその原則を受け入れるということによって初めて行われるわけであります。私は、それによって一日も早くこの武力行使が終結することを心から願っております。
〔議長退席、副議長着席〕
湾岸情勢の現状を踏まえて、我が国としてのできる限りの措置として、我が国の自主的な判断に基づいて、今般九十億ドルの追加支援策を決定したものであります。これは、湾岸の平和と安全を回復するために行動しておる二十を超える国々の努力が報われるように、また一日も早く平和が回復されるように、当面要する経費に充てるため行ったものでありまして、政府としては、戦闘行為が一日も早く終結することを願っており、現在のところこれ以上の追加支援は考えておりません。
また、アメリカにおいていろいろの報道がなされておることは承知いたしておりますけれども、アメリカ政府としての経費の見積もりや財源調達の方針について説明を受けたことはございません。
また、国際機関から要請を受けて自衛隊の輸送機による避難民輸送に対応することについては、人道的な見地から緊急の輸送を要する場合に必要に応じて行うものでありまして、自衛隊の輸送機による避難民の輸送を行う際には、安全の確保に万全を尽くすことは民間機の場合と同様でございます。
また、国連平和協力法が廃案になって、我々はこのことを厳しく受けとめておりますが、同時に、あのときの審議を通じて、我が国が平和のために資金面、物資面のみならず人的な側面においても貢献すべきであるという点については、皆さんの間にも共通の認識が生まれつつあるのではないかと認識をいたしております。また、そのとき公明党、民社党、自民党の三党において合意を得たあの基礎を踏まえて、新しい国連協力のあり方について成案を得べく、目下努力を続けておるところであります。
今般の避難民の輸送という人道的、非軍事的な分野において関係国際機関の要請のあったものについては、現行の自衛隊法第百条の五の規定に基づいて、「その他政令に定める者」というのに従い、必要な政令を制定の上、対応できるようにしておる次第でございます。
湾岸戦争のどさくさに紛れた海外派兵だとおっしゃいますが、海外派兵というのは、武力行使の目的を持って武装した部隊が他国の領土、領海、領空へ行くことを海外派兵というのではなかったでしょうか。人道的な面で避難民の輸送にこたえるということは、これはどさくさ紛れの海外派兵ではないと私は考えております。(拍手)
なお、一月十五日のぎりぎりの時点まで日本は何をしたか。最後まで私は、平和的解決の努力をすべきであるということを粘り強く言ってまいりましたし、また直接、国連の事務総長やその他の国の首脳に対しても、クウエートからの撤退をイラクが受け入れるように、いろいろな方法を通じて努力を重ねてきたところであります。そうして、日本としては、最後に努力をされた国連事務総長の調停に対しても、これは全面的な支持を表明するとともに、国連事務総長のあの最後の声明というのは、フランスの案もアメリカの意見も、安保理事会に所属する国の意見が、全部徹夜のぎりぎりの努力を通じて事務総長の声明という形で表明されておるわけであり、また、十六日のフランス国民議会においては、フランスの最後のぎりぎりの提案に対しても何らイラク側からは反応を得ることができなかったという判断がフランス政府において行われておることも、あわせて申し上げておきたいと思うわけであります。すべての努力を受け入れなかったイラクの態度にすべての根底があると私は考えております。
また、我が国の防衛政策についてお触れになりましたが、防衛計画の大綱をつくりましたときは、世界は東西対立から安定化の努力が始められたときでございました。我々は、この大綱制定のときに、平和時における我が国の保有すべき基盤的な防衛力というものを想定し、日米安保条約のもとにおいて日本の平和と安全を確保するための節度ある防衛力の基準を決めて、従ってきたわけであります。その後、好ましい方向に世界の情勢が流れておること等も考えながら、憲法及び専守防衛の基本的な防衛政策に従い、昭和六十二年の閣議決定の精神を踏まえて、引き続き整備を行ってまいりたいと考えております。
また、我が国の福祉、医療の水準は、先進諸外国と比較しても遜色のないものになってきておると認識をいたしております。医療保障の確保に引き続き努めるとともに、平成元年に策定した「高齢者保健福祉推進十か年戦略」に基づき、この基盤整備等をさらに推進していくところであります。
消費税につきましては、この前の国会の経緯を踏まえて、両院合同協議会において引き続き協議が行われておると承知しておりますが、全体的、長期的な利益といった観点から建設的な合意が得られることを期待しており、政府は、合意が得られたならば、その趣旨に沿って誠実にかつ迅速に対処してまいりますが、税率の引き上げは、ただいまのところ考えておりません。
また、米の問題は、アメリカの要求をきっぱり断るかどうかとおっしゃいますが、ガット・ウルグアイ・ラウンドという多国間の協議の場で今審議が続いておるところであります。日米二国間の話ではなく、多国間の国際協議で議論しておりますので、我が国における稲作の重要性にかんがみて、今後とも、米は国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいる考えでございます。
政治改革については、定数抜本是正の国会決議を実行し、金権政治をなくせと、こういうことでありますが、私は、政党本位、政策本位の選挙に改めることが重要だと考え、この見地から、審議会の答申を受けて改革の努力を続けております。定数是正は、国会決議に基づき速やかに検討が求められる問題であることは十分理解をいたしておりますが、この答申においても、新しい制度の中で選挙区間の一票の格差を一対二未満とするということを原則といたしております。これに従って実現すれば、投票価値の平等の要請にもこたえることになるものと考えます。
また、政治資金においては、企業なども一つの社会的存在であり、この政治献金がよくないと決めてかかるのはいかがかと思います。もとより、企業の政治献金が節度を持って透明裏に行われるべきことは当然のことであると考え、政党各位の皆さん方のこのことに対するお話し合いと適切な結論を強く期待させていただきます。
政府といたしましては、答申の趣旨を尊重し、選挙制度及び政治資金制度の改革を一体として不退転の決意で実現できるよう取り組んでまいる考えでおります。
最後に、日ソの領土問題についてお触れになりましたが、北方領土は、歴史的にも法的にも我が国固有の領土であります。北方領土問題を解決して平和条約を締結し、あらゆる分野で質的に新しい両国関係を構築することが我が国の一貫した方針であり、ゴルバチョフ大統領の訪日を日ソ関係の抜本的改善の突破口にしたいと考えております。
御質問のヤルタ協定については、同協定の当事国でない我が国は何ら拘束されませんし、サンフランシスコ平和条約によって千島列島を放棄した我が国でありますが、我が国固有の領土である北方四島は、我が国が放棄した千島列島には含まれておりませんので、ソ連に対して一貫して四島の返還を強く求めていくところであります。(拍手)
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