海部俊樹の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(海部俊樹君) 大内委員長にお答えを申し上げます。
九十億ドルの追加支援と憲法の関係についてるるお述べをいただきました。
私は、国際の平和回復ということは、日本国憲法も恒久の平和を念願しておりますし、また、日本国憲法の前文にも「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、」「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」と宣言をいたしております。第九条は、その前半において「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求しこと書いております。我が国の平和憲法の平和主義、国際協調主義というものは、国連が今行おうとしておる国連決議に反する力による他国の侵略、併合という事態を許さない、認めないという新しい平和の枠組みに対して、一番根本的な問題を提供しておると思います。
これに対して、日本が憲法で禁止する武力の威嚇または武力の行使を伴わない方面ででき得る限りの支援を行うことは、お説のとおり憲法に違反するものとは考えませんし、逆に、さきに申し上げました憲法が宣言しておる平和主義、国際協調主義に合致したものであると私は考えるものでございます。(拍手)
また、日本が米国と決して同率の負担をするということではないわけでありまして、そのようなときに日本はどのような協力ができるかということで、あらゆる事情を総合的に勘案して、自主的な判断で行ったものでありまして、経費の何%とかあるいはアメリカと同額とかいうようなことでやったわけではありません。アメリカ政府としてのいろいろな見積もりが米国内部で取りざたされておることは承知しておりますけれども、政府としての見積もりについては説明を受けたこともございません。
また、これはどこへ支払われるかというお話でございましたが、あくまで国連決議に従って平和回復活動に参加している多国籍軍に支援するものでありまして、米国を中心とする多国籍軍への支援でありますが、これの支出は湾岸平和基金に提供をし、そこの運営委員会において最終的にどうなるかのことについては決定をされるものとなっております。
また、この資金協力は憲法との関係でお尋ねがありましたけれども、日本の憲法が禁止しておりますものは、武力による威嚇または武力行使、同時にこれは国家による実力行使でありまして、資金の提供、世界平和と安定を回復するための行動に対する支援というものは、憲法の理念に合致しておるものと考えております。
自衛隊の問題につきましては、人道的立場から海外の避難民の移送について自衛隊機を使用せよ、ただ、法改正がなぜできなかったかというお話でございましたが、具体的な要請が既に来ておったわけでありますし、同時にまた、自衛隊法を見ますと、第百条の五に、明瞭に「その他政令で定める者」という規定が自衛隊法の中にございます。そこで、「政令で定める者」というその政令を新たに設け、今回の湾岸危機に伴い生じた避難民の輸送という極めて人道的な、非軍事的な分野において関係国際機関から要請がありましたので、それに対する対応のできるように、新たに必要な政令を制定した次第でございます。
また、自衛隊輸送機とともに防衛医官の派遣をすべきではないかというお尋ねでございましたが、輸送機を派遣するに当たって、自衛隊員の保健衛生、医療に従事することを主たる目的として医官を派遣することについては、現在、防衛庁において検討中と承知をいたしております。
原油の流出に対する問題については、地球環境の破壊、周辺関係諸国民の社会生活への重要な影響が及ぶという観点から、極めて憂慮すべき事態と受けとめておりますし、このような環境に対する行為は極めて慎重であらなければならぬということを、重ねてイラクに強く求めたいものであります。
我が国としても、国内での海洋汚染とこれに対する対応という経験を生かして、今般のペルシャ湾における原油流出に対しましては、関係諸国の要請を踏まえ、可能な限り対応をいたしてまいります。具体的には、例えばオイルフェンス等の必要な機材の提供、海水淡水化装置については技術、情報の提供など、さらには、原油流出による環境汚染調査に関する協力などが考えられておりますので、既にこれらの問題の具体策については、何がどのような形でどの程度なし得るかについて具体的な検討を進めております。
また、国連の平和活動に対する法整備についてのお尋ねでございました。
先般の臨時国会における国連平和協力法案の審議や各界各層における議論を通じて、我が国が平和のために、資金、物資面のみならず人的側面においても貢献すべきであるという点について御理解と共通の認識が深まりつつあるということは、私は大いに心強いことだと受けとめております。政府といたしましては、その際、公明、民社、自民各党間の合意事項を尊重いたしまして、新たな国際協力のあり方について一日も早く成案を得たいと考えておる次第であります。御理解を、そして御協力をいただくようにお願いを申し上げておきます。
また、北方四島の返還問題については、私は、日ソ間においてこれまで関係改善のために随分あらゆる努力が続けられてきたということを承知いたしております。そして、今こそ抜本的改善のための飛躍を実現したい。そのためには、ゴルバチョフ大統領の来日をその日ソ関係解決のための突破口にしたいと考えておるわけであります。
我々は、今まで知的交流やあるいは技術調査団の受け入れやいろいろなこと等をして、できる限りソ連のペレストロイカの正しい方向性を支持するという立場に立って協調もしてまいりました。ただ、無原則な政経分離は、これは行わないで、北方四島の一括返還と平和条約の締結を含めて、拡大均衡の中でともに解決をする、そのための節目にしたいと考えておるわけでありまして、大切に考え、今後、四月のゴルバチョフ大統領の来日に向けて、日ソ間の関係改善のために真剣に取り組んでまいる決意でございます。
逆進性等の欠陥があり、税収が国庫に入らない消費税手直しの決意を問うというお尋ねでございました。
第百十八回国会における法案処理の結果を踏まえて国会に設置された両院合同協議会において、引き続き御指摘の中小事業者向け特例措置の問題等も含めて協議が行われるものと承知いたしております。政府としては、消費税の必要性を踏まえつつ、国民の全体的、長期的な利益といった次元から協議が行われ、具体的な合意が得られることを期待しておりますが、合意が得られれば、政府はその趣旨に沿って誠実にかつ迅速に対応していく考えでおります。
地価の引き下げ効果について御指摘がありましたが、地価税の具体的な効果については、地価税の導入だけでそれができるというよりも、固定資産税の評価の適正化、均衡化、譲渡課税の負担の適正化、土地の相続税評価の適正化、三大都市圏の農地課税の見直し、土地を利用した節税策への対応、優良な住宅地の供給促進のためなど、いろいろな施策を総合し、保有と譲渡と取得の各段階における抜本的な見直しを含めて、これらが相まって全体として土地の資産としての有利性の縮減、有効利用の促進、仮需要の抑制、住宅地の供給促進などが図られて地価の抑制、低下につながっていくと考えておるわけであります。
これは大衆課税となるのではないかとの御指摘でございましたが、地価税の転嫁の可能性やその程度については、それぞれの財・サービス市場の需給状況等に依存するものであり、一部の財貨・サービスの価格が上昇することは考えられますが、一回限りの物価上昇にとどまり、全体としては一般的なインフレ、大衆課税にはつながっていかないものと考えられます。
また、都市計画法、建築基準法についてお触れになりましたが、都市のビジョンを踏まえた適切な土地利用の規制、誘導が大切であることは、御指摘のとおりでございます。今後の都市計画制度のあり方については、現在都市計画中央審議会に諮問し、幅広く検討を進めているところであります。
このような見地から、地価税は抜本的に再検討すべきではないかとお結びになりましたが、地価税は、公共的性格を有する資産である土地に対する負担の公平を確保しつつ、その資産としての有利性を縮減するために、資産価値に応じた負担を求める観点から創設するものでありまして、土地の保有コストを増加させ、保有コストに対する意識を高め、地価の低下、抑制、土地の有効利用の促進等、土地対策に資するものと考えており、その内容はただいま最善のものを提出するように考えております。
老人保健につきましては、政府は、本格的な高齢化社会に向けて老人保健制度を改正し、介護についての総合的な体制づくりを進めるとともに、今後とも増大が見込まれる医療費について、介護の色彩の強い部分の公費負担割合を三割から五割に引き上げ、あわせて必要な受診を抑制しない範囲内での患者負担の見直しを行おうとするものであります。長期的安定が図られるものと考えております。
また、米の問題は、ウルグアイ・ラウンド交渉においても、米、稲作の重要性にかんがみ、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる考えでおります。
また、政治改革は、なさなければならない問題であるということを考え、この実現をするために、私は、選挙制度審議会からいただいた答申の趣旨を尊重し、民主主義の根底を支える選挙制度及び政治資金制度の抜本的な改革を図っていくことが時代から課せられた厳粛な使命だと受けとめておりますから、不退転の決意を持ってこれに取り組んでまいります。なお、できるだけ早く成案を得て国会の御審議がいただけるよう、政府として最大の努力を続けてまいりますが、各党各会派の御協力もお願い申し上げる次第でございます。
また、定数是正は切り離して先行させるべきではないか、与野党協議の場をどう考えるかとお話してあります。定数是正は、国際決議に基づいて速やかに検討が求められている重要な課題でありますが、事柄の性質上、各党各会派で十分御論議いただくことが御指摘のように大切なことであると考えております。
また、二十一世紀に向けては生活先進国を政治的マニフェストにすべきではないかとの御説でありました。私も御説に同感をしながら聞いておりました。一人当たり所得は確かに世界の最高水準になっております。失業率も比較的低くあります。平均寿今も高くなってきております。これら欧米先進国に比べてすぐれておる部面が多いに反して、住宅や社会資本の整備や、労働時間や食料の価格や余暇関連の時間など、まだまだ豊かさを実感できないものは御指摘のように残っておると言わなければなりません。私は、ゆとり、安心、多様性のある国民生活を実現するための具体的な方策として、昨年十二月に国民生活審議会に対して、これらを通じて生活先進国を実現するための諮問をしたところであり、答申の成果を踏まえて頑張ってまいりたいと考えております。
文化先進国に関して、また国際協力先進国に関して、文化、スポーツの薫り高い豊かな暮らしをできる社会を実現していくように努力をせよという御指摘に対して、私は、その御質問の御趣旨を十分に念頭に置きながら、今後とも責務を果たしてまいりたいと考えております。
残余は関係大臣から御答弁いたさせます。(拍手)
〔国務大臣中山太郎君登壇〕