海部俊樹の発言 (本会議)

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○国務大臣(海部俊樹君) 鶴岡議員にお答えを申し上げます。
 湾岸における戦闘行為が一日も早く終結して公正な平和が回復されることを私も強く望むものでありまして、そのためにはイラクが速やかにクウェートからの撤退を決意することが第一の方途であり、それによって公正な湾岸の平和が回復されなければならないと強く求めるのは議員の御指摘のとおりでございます。我が国としては、外交ルート等を通じてブッシュ大統領を初め米国や関係諸国との協議、連絡に努めておりますが、さらに情勢の推移を見きわめつつ、御指摘の国連等への働きかけを含めて平和回復に向けての外交努力を続けてまいりたいと決意しております。
 九十億ドルの支援の必要性と使途についてというお話でございますが、我が国は、御承知のように、国際社会の一員として、平和な環境の中で戦後生活をしてまいりました。同時にまた、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求してまいりました。日本のこういう平和主義というものは、議員御指摘のように、自分の国だけよければいいという一国平和主義であってはならないということは私もそのとおりに考えております。
 傍観者になってはいけないというならば、日本国憲法で許されない武力の行使を伴う面ではお役に立てませんが、軍事面ではない面で可能な限りの協力をして、国際の平和、秩序を回復するため日本が協力をするということは、これは果たさなければならない役割であり、どの国も自国のことのみに専念して他国を顧みないのはいけない、国際協調主義の考え方に立ってでき得る限りのことはすべきであるというのが今回の措置をとった考え方の基本でございます。
 同時にまた、それはどうするのかということでございますが、具体的な使途については、今後、湾岸アラブ諸国協力理事会及び関係諸国ともいろいろ協議をいたしまして、その上、湾岸平和基金の運営委員会で決定されることになっております。政府といたしましては、戦闘行為が一日も早く終結することを願っておりまして、現在のところこれ以上の追加支援は考えておりません。
 中期防の見直しにお触れになりましたが、中期防は、御承知のように、大綱に定めておる平和時において有する防衛力の水準がおおむね達成される現状を踏まえて、最近における国際情勢の変化を勘案しながら、節度ある防衛力の整備に努めてまいりました。この中期防の計画のときには、厳しい財政事情等を勘案して、今回は正面装備費の伸び率をマイナスにするなど、他の諸施策との調和を図りながら、節度ある防衛力の整備のために必要最小限の経費を計上したものでございます。
 また、湾岸危機に対する我が国の支援が最重要であるというならば平成三年度予算の歳出の節減合理化を考えるべきではないかとお尋ねでありますが、これはもう御指摘のとおり、節減合理化をしていかなければならないということは常に政府が心がけてきておるところでございまして、これ以上後世代にツケを残す赤字公債の発行に頼らない予算の編成というものに全力を挙げて取り組んできておるところであります。各種歳出は、厳しい状況のもとで真に必要な財政需要に適切に対応するために、またいずれも国民生活に密接に結びついているものでございまして、そのような削減努力を平成三年度予算編成についても政府は続けてきておるということをどうぞ御理解いただきたいと思うわけであります。
 そして、財政支援を行うための原則を五つお述べになりました。私は、御質問の御趣旨等を考えながら、今後ともこれらのことによって戦争が一日も早く終結するように、公正な平和があの地域に一日も早く回復するように心から願っておるところであります。
 また、法律の基本的な枠組みを政令の追加で政府が勝手に行えるのはいけないのではないか、撤回せよというお話でございますが、避難民の輸送という極めて人道的な、そして非軍事的な分野において、関係国際機関から要請のあるもののうち、民間機が活用されないような状態において人道的見地から緊急の輸送を要する場合には、現行の自衛隊法の第百条の五の規定に基づきまして新たに必要な政令を制定して、具体的な要請があった場合に必要に応じて対応しようとしたわけであります。これが政府の方針でございます。
 なお、IOMからは難民を輸送するため一般的に民間・軍用輸送機の要請があったことはこれは事実でございます。ただ、国際機関から要請を受けて関係国の協力を得ながら行うという前提でございます。なお、二十一日にはさらにカイロからベトナムまでの輸送の具体的な要請も参りましたので、本件においては日本航空で対処したことは御承知のとおりでございます。
 また、原油流出の問題につきましては、アハマディ沖ターミナルから石油が海上に流出をいたしております。イラクは、海上を含む自衛のために石油を使うことは正当化されると大統領が発言をいたしましたが、これは環境破壊という面からいって極めて重大な問題であり、私は極めて憂慮をいたしております。我が国は、早速この問題に対して、海洋汚染ということに対する我が国の対応という経験も生かしながら、具体的協力について何ができるのか、例えばオイルフェンスの提供とか、海水淡水化装置については技術情報の提供とか、あるいは原油流出による環境汚染調査に関する協力等が考えられますので、政府としては既に具体策を検討し、できたものから関係諸国と協調の上、具体的に協力を進めてまいる考えでおります。
 ソ連についてお触れになりましたが、ソ連の経済改革はただいま停滞し、連邦諸国との間柄も混乱をいたしております。私は、ゴルバチョフ大統領がこれまで推進してきたペレストロイカの真価が問われる状況だと考え、またバルト諸国に対する一度ならずの武力行使、これについては深く憂慮をし、事態の民主的、平和的解決を強く求めているところであります。
 なお、日ソ関係の抜本的改善のためには、北方四島の返還を実現し、平和条約を締結し、あらゆる分野で質的に新しい関係を構築していくことが大切であるのは御指摘のとおりでございます。私は、今後とも必要に応じて、例えば経済調査団の受け入れとか、知的技術の交流、人物交流、いろいろな協力は拡大均衡の方針で今日までも進めてまいりましたが、今後とも四島一括返還の基本的方針及び無原則な政経分離はとらないとの考え方を堅持して関係の打開に努力をし、四月のゴルバチョフ大統領の訪日をそのような日ソ関係の突破口にして抜本的関係改善をしたいと考えておる次第であります。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドについては、これがもしまとまらなければ、保護主義の急速な台頭など世界経済に深刻な影響を与えることが予想されます。我が国としては自由貿易体制の維持強化が必要であり、そのために政府は、成功裏に終結することができるようにガット・ウルグアイ・ラウンド交渉に全力を注ぐ考えでおります。我が国は、食糧安全保障などの観点から、基礎的食糧については所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講ずるようウルグアイ・ラウンドにおいて提案を行っているところでありますが、今後とも、この交渉において食糧輸入国としての我が国の立場が適切に反映されるよう全力を挙げて取り組んでまいる考えでおります。
 住宅政策の基本については、重要性は同じく我々も考えており、ただ、家賃控除制度の創設の問題については、家賃は食費や被服費などと同様、典型的な生活費でありますから、これだけに特別の控除を設けることには基本的な問題があるものと考えております。
 住宅費負担を軽減すべきであるという貴党御提案の御趣旨については、融資、税制の活用等により賃貸住宅供給コストの低減を図るとともに、特に低額所得者等の世帯については公共賃貸住宅の的確な供給などの施策の充実に努めてきたところでありますが、平成三年度予算案においても、一般的な家賃補助制度ではありませんけれども、貴党御提案の御趣旨をも踏まえて、民間賃貸住宅の公的管理を通じて家賃軽減を図る借り上げ公共賃貸住宅制度の拡充、並びに公営住宅及び密集木賃住宅の建てかえ促進を図るために家賃激変緩和のための補助制度の創設等を盛り込んでおり、住宅政策に取り組む政府の考え方も御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 住宅基本法の問題につきましては、住宅建設五カ年計画を策定し、良質な住宅ストック及び良好な住環境の形成に努めてきたところであります。基本法を制定することについては、その目標、国・地方公共団体の責務、住宅費の負担の取り扱い、居住水準のあり方等に関しコンセンサスがいまだ未形成と考え、引き続き研究を続けてまいりますが、今後とも居住水準向上のための施策の充実に一層努力をしてまいる考えでございます。
 地価税につきましては、土地に対する負担の公平を確保しつつ、その資産としての有利性を縮減するために、土地の資産価値に応じた負担を求める観点から創設するものでありまして、土地保有コストに対する意識を高め、地価の低下、抑制、有効利用の促進等土地対策に資するものと考え、その内容は最善のものであると考えております。
 育児休業法の問題につきましては、これは職業生活と家庭生活との調和を図ることが、子供を育てながら働く人にとって、その能力と経験を生かしていただくためにも大切なテーマであると認識をいたしております。今後とも、検討小委員会の結論等も踏まえて育児休業制度の確立に向けて鋭意努力をしてまいる考えでございます。
 児童手当制度は、その充実を図る必要があると考えており、世代間の助け合い及び児童養育家庭に対する育児支援の強化という観点から制度改正を行うこととしており、また老人医療対策では、安心して老後生活を送ることができるよう、保健医療、福祉など全般にわたる施策の充実を図ることが重要と考え、老人保健制度について介護に関する総合的な体制づくりや老人医療費の費用負担のあり方の見直しを行い、制度の長期的安定を図ることにいたしております。
 救急医療については、救急現場、搬送途上における医療の充実が緊急の課題でございます。平成三年度予算において、より救急医療体制の成果を上げるために努力をしてまいりたいと考えております。
 消費税につきましては、先回の国会における法案処理の結果を踏まえて設置されました両院合同協議会において引き続き協議が行われるものと承知をいたしますが、政府といたしましては、全体的、長期的な利益といった観点から具体的な合意が得られることを期待し、その御趣旨に沿って誠実かつ迅速に対応していく考えでおります。
 最後に、政治不信、政治改革についてお尋ねがありましたが、私は個々の政治家の政治倫理の確立というものが大前提であることは当然のことと考えますが、政党中心、政策本位の選挙制度の確立も大切であり、また資産、政治資金の透明性の確保、これも極めて重要なことと考え、先般来、選挙制度審議会の答申や自由民主党の政治改革大綱の党議決定を受けて野党の党首の皆さんとも党首会談を開き、私からその考え方をお伝えし、御協力をお願い申し上げたところでありますが、御指摘の政治資金の規制の強化、政治倫理の確立を通じて、信頼回復のためには積極的に不退転の決意で取り組んでまいりたいと思っておりますので、どうか御理解と御協力を賜りますようにお願い申し上げる次第でございます。
 残余の質問につきましては関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 112015254X00819910130_005

発言者: 海部俊樹

speaker_id: 5376

日付: 1991-01-30

院: 参議院

会議名: 本会議