海部俊樹の発言 (本会議)

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○国務大臣(海部後樹君) 星川議員にお答えを申し上げます。
 停戦案とか和平提案を出すべしというお話でありますが、もう御承知のとおりに、今日まで五カ月半にわたって、ブッシュ大統領やミッテラン大統領も国連の事務総長も、また私どもも、直接何回も何回も和平の提案もいたしましたし、平和回復をするためには原則に従った公正な解決が必要であるという立場で、このことは今の国際の平和の秩序を乱した、力で侵略を行ったイラクがみずから兵を引くという行動によって初めて和平が実現するんだということは、たび重なる国連決議で明らかなことでありますから、私は、一日も早い平和回復のために、引き続きイラクに対してクウェートからの撤退を呼びかけるとともに、平和が一日も早く回復されることを強く願っておるものでございます。
 また、憲法第九条と国連憲章第二条の平和主義の理念についてお述べになりましたが、その点は私も全く同感であります。日本国憲法は平和を強く求めておる。国連憲章もまた、お互い隣人同士、平和的に問題を解決していくべきであるという平和主義の理念を高く掲げておるわけであります。私は、日本国憲法が求めておるような信義と公正に基調を置いた平和が貫かれるように、すべての国が、自分の国のことだけを考えないで、他国を無視しないで、この平和の理念を守っていこうという憲法と国連憲章の理念を、身をもって実行してくれることを強く期待しておるものでございます。
 アメリカに対しても、もちろん今日までも平和的解決についての問題をいろいろと主張してまいりました。同時に、今大切なことは、その転換のかぎを握っておるのはイラクだということ、そして公正な平和の回復を皆が求めておるということでありますから、我が国としても外交ルートを通じて、アメリカはもちろんのこと、関係諸国とも協議連絡に努めながら、外交努力を通じて公正な平和回復が一日も早く訪れるように努力をしてまいる考えでおります。
 また、九十億ドルの根拠と使用目的ということでございますが、我が国は平和を前提として今日まで生きてまいりました。諸国民の公正と信義に信頼してすべての国民が平和の中で生きてまいりました。すべての国が力に頼らない公正な平和を求めていくためには、多くの人々の合意に従った国連決議に基づく平和が必要であります。我が国は憲法の制約があって武力でお役に立つということはできませんので、それ以外の方法でできる限りの協力をするべきであるという考え方に立って、国際の平和回復のために九十億ドルの追加支援を考えたわけであります。
 その積算の根拠というものは、あくまで我が国の置かれておる国際的な地位、国際的な立場ということを十二分に総合的に判断して自主的に決めた金額でございまして、政府がまず決めたのでありますから、それを今こうして国会に御説明をし、また党首会談でも各党の党首の皆さんにお話しを申し上げておるところでありますから、どうか御理解と御協力を賜りたいと思う次第でございます。
 また、自衛隊の輸送機によって避難民の輸送をするという問題について、その根拠はどこかと言われましたが、現行自衛隊法第百条の五の規定に基づきまして、「国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」と、こうなっておりますので、その授権の範囲内で政令を内閣でつくり、安全保障会議の議を経て、具体的な要請が国連から、国際機関から来たときにはそれに対応できるようにあらかじめ政令を決めたということでありまして、法治国家として手続を無視しておるわけではないのでございます。御理解をいただきます。
 また、海外出動をなさざるということは、確かに昭和二十九年の参議院本会議の御決議もあり、その有権的解釈は参議院によって行われるものである、私もそのとおり考え、前国会でそう申しました。ただ、当時の参議院の本会議の御決議については、武力行使の目的をもって武装部隊が他国の領土、領空、領海へ行くことを海外派兵と呼び、いわゆるこの御決議の海外出動もそういったことを念頭に置いて決められたものではないかと私は考えたわけでありまして、国際機関の要請を受け、人道的な見地から避難民の輸送をするということもここに言う海外出動に当たるのか当たらないのか、人道的な問題まで許されないものであるかどうか、これはどうか参議院において有権的な御解釈を賜るべき問題であろうと行政府としては考えております。
 また、防衛大綱の見直しを行わずに防衛計画の基本を決めたのは何かとおっしゃいますが、これは情勢が変化しつつあることは閣議決定でも率直に認めておりますが、しかし、平和時における基本的な防衛力を整備しておいて我が国の平和と安全を確保するという責任も政府にはございます。みずからを守るためにはどのようなものが必要で、どのようなことが国際情勢や国内諸情勢などを踏まえて必要な、そして節度ある防衛力の整備かということを考えて、平成三年度以降の基本的な考え方を策定したわけでございます。
 また、国土発展の不均衡是正、これは、東京一極集中を是正して多極分散型国土の形成を図るということは、国土政策の上からいって極めて重要なものであると考えております。また、活力ある地域づくり推進本部の設置を検討して、みずからの創意と工夫を生かした地方の努力に政府も協力をしてまいりたいと考えております。
 政治改革につきましては、御指摘のように、金の問題が政治改革にとっては一番重要であるというお考え方に、私もそれはそうだと思います。ただ、政治家一人一人が政治倫理の確立をすることも極めて大切でありますし、なぜ必要以上にお金がかかるかという問題についても、よく考えてみなければならぬ問題だと思います。選挙が政策中心、政党本位によって争われておらないというこの一部面を見ますと、制度の改革もまた選挙とお金との関係については大切な問題でありますし、だからこそ選挙制度審議会は、そのような見地から、現行の中選挙区制のもとでは個人中心の選挙とならざるを得ないので、衆議院議員の選挙制度としては小選挙区の比例代表並立制をとることが適当であるという答申をしてくれたわけであります。自由民主党の政治改革大綱に従って、これとおおよそ同じ方向を見ることの決定もしてあります。
 同時に、政治資金については、これを節度あるものとして、公正と公開の確保が必要なことも当然でございます。政治資金の収支の公開の強化等を基本とした改革もまた答申の中には盛られておるところでありますし、一票の価値の問題についても、答申並びに政府の考え方は、一対二以内におさまるなればそれはどうしたらいいだろうかという点で、今成案を得るべく鋭意努力しておりますが、事は政治家、政党のよって立つ基本に関する問題でありますので、行政府も努力しておりますが、各党各会派においてもこれらの問題についてはどうぞ御議論をいただいて、そして適切な結論が出るように御理解と御協力を賜りますよう、お互いの問題として御理解をお願いしたいと思います。
 残余の質問については関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 112015254X00819910130_018

発言者: 海部俊樹

speaker_id: 5376

日付: 1991-01-30

院: 参議院

会議名: 本会議