小西博行の発言 (本会議)
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○小西博行君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表いたしまして、さきの海部総理並びに関係大臣の所信演説に対し質問を行うものであります。
世界の国民が平和解決を望み、国連を中心とする諸外国の懸命な外交努力が積み重ねられましたが、フセイン大統領は、これらの努力をことごとく踏みにじり、今日の戦闘になった責任はすべてイラク側にあると断ぜざるを得ません。今回の多国籍軍の戦闘は、国際的な平和維持の唯一の機構である国連の権威を守り、世界平和を回復するための戦いであると言えましょう。
我が国は、憲法前文にあるように、国際社会において名誉ある地位を占めるためにも、憲法の精神を踏まえ、世界平和実現のため積極的な貢献を果たさなければなりません。したがって、今回の資金協力についても、また人的支援に対しても、最大限の協力を行うことが国際社会の中で世界から信頼をかち得る道であると信じます。
私は、以上の基本方針に立ち、具体的に総理に質問を行います。
まず、資金協力の面についてでありますが、現在クウェート支援のために戦っている諸外国に対して九十億ドルの追加支援を行うことは、現在の日本の立場からして、やむを得ない措置であると思います。しかし、その資金協力は、あくまで平和主義の憲法の精神を踏まえたものでなければなりません。国民の心配は九十億ドルの追加支援がどのような根拠によって決定されたかでありますし、また、この種の援助を何の歯どめもなくアメリカの要求のたびに今後も無条件で受け入れなければならないのか等につきまして、政府は明確に答える義務があると思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
次に、財政措置でありますが、私も安易な増税や赤字国債の発行は避けるべきであると思います。まず政府みずからが行政経費の節減などを図るなど、最大限の努力を尽くすべきであります。有識者の中には、行政経費を一%節減すれば七千億円の財源が生み出されるなどの発言がありますが、行政経費の削減を行う意思があるのかないのか、総理の明快なる答弁を求めます。
政府の身を切るようなあらゆる努力を積み重ねてもなお新たな財源が必要となる場合には、国民がひとしく負担すべきでありまして、国民の合意の形成に努めるべきであります。その際、与野党協議や各界の責任ある立場の方々への要請を行うべきと思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
第二に、避難民の救済や医療チームの派遣等の人的支援措置は、国際社会への我が国の積極的な貢献策でありまして、人道的見地からも積極的に行うべきであります。政府は、人道的見地からの緊急措置として、自衛隊機の派遣を決定しました。その法的根拠として、自衛隊法第百条の五にかかわる政令を改めることで対処しようとしておりますが、かえって誤解を招くことにはなりませんか。この際、一歩踏み込んで、自衛隊法の改正によって自衛隊機の海外出動に対するシビリアンコントロールを確立することが筋であると確信するものでありますが、総理の見解をお尋ねいたします。
次に、中山外務大臣がソ連を訪れ、ゴルバチョフ大統領と会談が持たれ、その際、大統領の訪日について話し合われたと聞いております。対ソ関係の改善は、北方領土の解決なくしては前進いたしません。伝えられるところによりますと、ソ連側は、領土問題は長期的課題との見解を示したと聞きますが、解決の糸口が開かれたのか否か、外務大臣にお伺いいたします。
私は、ゴルバチョフ大統領の訪日を契機に、多年にわたる国民の切実な願いであります北方領土の返還を実現すべきであることを強調してやみませんが、総理の決意をお伺いいたします。
また、ソ連はバルト二カ国に対し武力で弾圧を行いましたが、これは人道上許されない行為であります。こうした弾圧が今後も続いた場合、対ソ経済支援は見直すべきであると思いますが、総理の御見解を求めます。
次に、山積している国内問題についてお伺いいたします。
まず第一は、土地の問題であります。
地価の異常な高騰は、サラリーマンや庶民のマイホームへの夢を打ち砕き、資産格差をますます拡大させるなど、我が国の社会経済システムをゆがめております。したがって、地価問題の解決こそ当面の重要な政治課題であります。今日の地価高騰は、政府の無為無策によるところに最大の原因があると断ぜざるを得ませんが、その責任を総理ほどのように受けとめておられるのか。土地問題に対する総理の政治姿勢をお伺いいたします。
政府はこのたび、土地対策の柱として地価税の導入を提案しておりますが、この法律の導入によって土地問題が解決されるとでも考えているとしたら、その姿勢そのものが間違いではありませんか。まず、地価税は、土地保有税としての目的や理念をゆがめ、単なる税の増収対策になりはしませんか。課税対象を骨抜きにし、その結果、生産やサービスを提供している業者に負担が偏り、地価の引き下げや土地供給に結びつかず、むしろ諸物価の高騰によって国民生活を圧迫することは必至であります。このような地価税はやり直すべきであると考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
土地政策は、税制と相まって、金融の見直しや、都市計画法や建築基準法等の抜本的な改正なくして、その解決は不可能であります。この際、担当省庁並びに責任省庁を明確にして、国民が待ち望んでいる土地対策が一日も早く進められますように総理の強い指導力を求めたいのでありますが、総理の決意をお伺いいたします。
次に、消費税問題についてお尋ねいたします。
我が党の積極的なリードによりまして、消費税の欠陥を是正する案が与野党でまとまりました。
〔議長退席、副議長着席〕
これを実現すれば現行消費税の欠陥を相当部分改正できることになり、国民の不満の解消のためにもその実現が期待されました。例えば、消費者の支払った税金はきちんと国に納められ、預かった税金を自分のものとして財テク等に投資できなくなり、家賃、車いすなどは非課税となります。しかし、一部の政党が食料品が非課税とならなかったことを不満として、すべてをぶち壊す結果となりました。そのために、欠陥だらけの現行消費税がそのまま続いております。我々も食料品を非課税とするよう今後とも努力していく決意でありますが、まず、与野党で合意した改正点を一日も早く実現させるべきであると思います。
国民の利益を守る立場に立って、やる気のある政党で成案をまとめ、消費税の欠陥是正を早急に実現すべきと思いますが、総理の決断をお伺いいたします。
次に、政治改革、選挙制度改革についてお伺いいたします。
選挙制度は、政党間の競争ルールを定めるものであり、あくまで公正なものでなければなりません。また、その改革はたびたび行えるものではなく、国民の合意を得つつ、正しい手順に沿って慎重に行われなければなりません。私は、この政治改革と選挙制度改革は切り離し論議すべきだと考えます。一部の政治家による不正事件が報道されるたびに、政治家の一人として肩身の狭い気持ちにさせられるのは私だけではありますまい。そのたびに国民の政治に対する信頼は著しく失墜し、政治に対する期待がますます失われつつある現状を総理はどのように感じておられるのでしょうか。
みずからを戒めるためにも、一日も早く諸対策を進めなければなりません。まず、政治家の資産公開などの内容を柱とする政治倫理法の制定、政治資金の公開性、透明性を高めるための政治資金規正法の改正、政党への公費補助制度の確立など一連の政治改革を実現し、国民の政治への信頼を回復していくことが重要であると考えます。
総理は、選挙制度改革と政治改革を一体的に行うとの見解を表明されておりますが、この立場をとり続ける限り政治改革は一歩も進まないことになりませんか。総理は、あくまで一体的改革に固執し、段階的改革を拒否するつもりなのか、お伺いいたします。
さらに、次期参議院議員選挙は一年半後に迫っております。平成二年の国勢調査速報値によりますと、選挙区間の最大格差は六・四二倍となっており、早急な是正が求められております。我々は、参議院選挙制度の抜本的改革案として、比例区、選挙区をともに廃止して、ブロック別個人名投票に一本化することを提案しておりますが、少なくとも次の選挙までに選挙区定数の是正、比例区については選挙制度審議会の答申でも触れられている個人名投票、党名投票いずれも可とする改正を行うべきであると考えますが、総理の御見解をお伺いしたい。
次に、育児休業法についてお伺いいたします。
近年、働く女性はふえ続けています。家族的責任の大部分を女性が担っている我が国の現状で、働く女性が切実に願っていることは、安心して子供を生み育て、働き続けることのできる条件整備でありまして、そのことによって多様な生き方を選択できることであります。そのためには育児休業制度の確立が重要課題であります。
昨年末、本院の社会労働委員会の小委員会において、育児休業法について政府に立案に当たらせることで与野党が合意し、現在、その作業が進んでおります。また、労働大臣は、就任早々の記者会見において、休業期間中の所得保障について前向きの発言をされました。働く女性の強い要望にこたえるために、我々が三回にわたって提出した育児休業法案の内容が最大限取り入れられますよう求めるものでありますが、労働大臣の決意をお伺いいたします。
次に、教育問題についてお伺いいたします。
今日、我が国は米国に次ぐ経済大国として揺るぎない地位を占めております。これは、額に汗し、こつこつと物づくりにいそしんできた日本人の努力と勤勉さのたまものと言えましょう。しかし、最近、経済の礎である物づくりを嫌う風潮が高まりつつあり、将来を担う若者たちの間でも製造業離れが進み、労働力不足と相まって深刻な社会問題となっております。産業界の一部では外国人労働者の受け入れでその場をしのいでいるようですが、根本的な解決にはなりません。職場の環境改善、労働条件の向上など企業としての努力は当然でありますが、もう一度教育のあり方を見直し、青少年に物づくり、創造の喜びが実感できるような創造的教育の場を与えることが大切ではないかと思います。総理の御所見をお伺いいたします。
次に、文化財の保存と修復についてお伺いいたします。
我が国の文化財は、神社仏閣は言うに及ばず、絵画、彫刻、歌舞伎あるいは全国に散らばっている遺跡など、歴史の考察上からも世界に冠たるものであることは衆目の一致するところであります。しかし、予算の少ないことや修理技術者の養成不足から、修理、保存が十分ではありません。特に、日本の文化財の特徴は、材料が木や布、紙といった脆弱なものでつくられているために、修理のタイミングを失すると貴重な文化財を失うことになります。政府は基金制度を導入して対応しようとしておりますが、修復のための専門技術者の養成や修復作業がスムーズに行えるような条件整備を急がねばなりません。文化先進国を目指す立場から文化行政を積極的に推進すべきと思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
最後に、被爆者援護法について総理の見解をお尋ねいたします。
既に野党各会派は、国家補償の精神に基づき、被爆者年金の支給などを柱とした被爆者援護法案を国会に提出し、本院において継続審議になっております。戦後四十六年目を迎える今日、被爆者の多くが老齢化が進む中で、援護法の制定を悲願として一日も早い成立を待ち望んでおります。この援護法が成立するか否かは、一にかかって与党たる自民党の判断にあるのです。折しも、平和を望む世論が高まる中で、原爆被爆者に国家補償を行うことは、平和国家としての日本の姿勢を内外に強くアピールする上でも必要であると考えるものであります。総理の決意をお伺いします。
私の質問を終わるに当たり、以上の諸課題が一日も早く解決され、国民の期待する政治の実現が第一であります。総理の決断と強い指導力を期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕