海部俊樹の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(海部俊樹君) 羽田議員にお答えをいたします。
 貴重な御意見と、そして御質問をいただきました。さすが自由民主党の選挙制度調査会長としての御経験から、自由民主党が平成元年の五月、厳しい反省に立って世に問うた政治改革大綱を基本にして、新しい政治改革、また政治のあり方についてのお尋ねがございました。率直にお答えを申し上げます。
 第一に、私は、基本的には政治の目標は国の安全保障と国民生活の安定、向上にある、こう思っております。羽田議員と同じように私も、国民対話集会やいろいろな選挙応援などに行ったときに、皆さんに呼びとめられて言われたこともございました。政策の方向はいいけれども、姿勢をもう少し何とかしてくれないかという率直なお声も聞きました。
 私は、それらの問題を考えるときに、やはり国民の皆さんの信頼の中で動いていくべき民主政治でありますから、いけないところは率直に反省もする、いいところは自信を持って続けていく、今日の政権政党としての光の面と影の面を区別をして私どもは取り組まなければならない。その意味で、どん底から出発した海部内閣ではありましたが、先輩皆さんがお決めいただいた政治改革大綱の精神を私も心から同感をし、共鳴をし、不退転の決意でその実現に取り組んできたわけであります。
 今日、今羽田議員もおっしゃったように、政治改革というのは区割りの問題だけではありません。その前に、まず政治倫理の確立の問題があり、また政治倫理確立のためには、自由民主党は衆議院に政治倫理確立のための国会議員の資産公開の法律も提起をしてあるのです。また、自由民主党自体で、党所属国会議員の倫理綱領を党大会で決めて、みずから厳しい戒めも自由民主党はいたしました。党紀委員会の組織も変えて、党紀も厳しくするように、そのような努力をいたしました。また、昨年二月の衆議院選挙のとき以来、公職選挙法の一部改正も議会の協力を得て通り、政治家の出と入りの中で寄附や出す方については一応の改正もいたしました。
 けれども、よく考えてみると、物事の根本に手がついていない。一皆さん、議会制民主主義というのは、一言で政党政治と言われます。政党政治というのは、主義主張、志をともにする人がおのおの集まって、我々の政権が国民のためにこのような政策をするというときは、選挙を通じて政権の獲得を目指し、政権を獲得して、最初に申し上げた国の安全と国民生活の安定のためにみずからの政策をそのまま行うということが、政党政治の願いであり、目標ではないでしょうか。(拍手)
 そういう角度からいきますと、私が選挙制度審議会からいただいた答申の中にいろいろ詳しく書いてありますけれども、やはり政党政治であるべきである。今はややもすると個人中心で、余りにもいろいろなことが個人の責任の上で行われる。日常活動も選挙活動もそうでありますから、私は、この際、国民の皆さんの前で本当の意味の政策論争のできる選挙の仕組み、本当の意味の政策努力、政党中心の活動ができるような政党政治を打ち立てていくことが、新しい時代に即応する日本の政治の活力になるものと信じて疑わないのであります。(拍手)
 そして、このことは単に自由民主党のためのみに言っておるのではなくて、選挙制度審議会の答申を読んでみてください。百三十の選挙区の中で、きょうまで複数の候補者をいつも立て続けでやってきた自由民主党の率直な反省からいって、大切な場面で政策が姿を消すということは、本来政党が行うべき組織活動や政党が行うべき政策広報宣伝活動を個人がやらなければならないというところに、ややもすると大事な場面で政策本位の争いが姿を消して、必要以上にお金のかかるような状況になってきたのではなかろうかということであります。
 また、今回の小選挙区制は、自民党が永久政権をねらう党利党略とおっしゃいますが、それはとんでもない間違いであります。私は率直に言いますけれども、選挙制度審議会の御議論や答申をいただいたときに、今のままの制度では政権交代の現実的可能性がないから政治から緊張感が薄れていく、政権交代の可能性の出るような選挙の仕組みも必要だということを指摘されたときに、私は自由民主党の総裁としては、率直に言って極めて厳しい気持ちでこれを受けとめざるを得ませんでした。
 例えば一昨年の参議院選挙の後の得票率を見たって、NHKを初めいろいろな新聞が一昨年の参議院並みの得票でこの制度で割り振ったらどうなるかというあのシミュレーションを発表しましたが、各社によって上下はありましたけれども、すべて社会党の数が多く、自民党の数が少なく発表されたあの現実を見ると、我々はしっかりしなければならぬなということを逆に思ったことでありまして、初めから何もできない、できないと決めてかかるのは、私は、その意味で、羽田議員が言われたことの方がはるかに的を射た。長い目盛りの、高い次元の御議論であったということを率直にお答えをさせていただきたいと思うのであります。(拍手)
 政権交代の抽象的可能性が出てくるということは、政党間の政策の歩み寄りも行うことであります。私は、それが日本の議会政治のために大切なことであると考えております。
 なお、羽田議員は私に、今回提出した三法案のほかに、資産公開法案、国会改革、党改革、地方分権の確立をも進めることが大切だとお尋ねになりました。私も全く同感でございますし、また、一月の国会召集の取り決めを各党でおやりいただいたことも、それに向かって一歩前進であったという、こういう評価もいたしております。
 同時に、政治倫理のことをおっしゃるなれば、どうぞ、自民党からも出しております政治倫理確立のための国会議員の資産公開の法律について、与野党の適切な御議論も賜りたいと思いますし、また地方分権の問題についても、やはり新しい飛躍をする上においては、国と地方の責任分担、役割分担ということを明確にし、国会は国政に、地方議会は住民に身近な地方の活性化に、おのおの全力を挙げて取り組むことができるようなシステムづくり、御意見に私も全く同感でありますから、今後とも、与党の協力も得ながら、この作業を進めていきたいと考えております。
 なお、参議院の制度について、一日も早く結論を得るべきであるとの御指摘がございました。望ましい参議院選挙制度の具体案づくりに向けて、各党におかれてもいろいろた御議論があるところと思料いたしております。引き続き御議論が重なることを、また、政府としては、そのような議論の動向を踏まえたがら、成案化について努力を続けてまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたします。(拍手)
    〔国務大臣吹田愰君登壇〕

発言情報

speech_id: 112105254X00619910910_006

発言者: 海部俊樹

speaker_id: 5376

日付: 1991-09-10

院: 衆議院

会議名: 本会議