海部俊樹の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(海部俊樹君) 矢追議員にお答えいたします。
 今国会に提出しております政治改革関連三法案は、政治に対する国民の信頼を確固としたものにするとともに、内外に山積する課題に対して的確、機敏に対応することができるようにしたい、そういった政治の実現を目指しておるものでございます。政治というものは、政党だけのものでもありませんし、政治家のものでももちろんありません。国家国民のためにあるものであります。メンツにこだわってこの法案を出したのでもありません。政治の実現を目指すために、今はこの国会において十分に御審議をいただき、各党各会派とも今のままでいいのかという原点に立って御議論いただきながら、御協力を得て、法案の成立が図れるよう最善の努力を尽くしたいと思っておりますから、どうぞよろしく御協力をお願いしておきます。
 また、政治倫理の確立が第一だと言われましたが、私もその点はそのとおりだと思います。そうして自由民主党も、政治倫理確立のために平成元年五月には政治改革大綱をつくりました。また、議員に対しても、政治倫理確立のための政治家個人の資産公開や政治倫理確立のための行為規範の改正の問題は既に具体案を国会に提出し、御検討をいただいておると聞いております。今国会の開会前にも、この政治倫理の確立と国会改革について自由民主党としても議長にこのことを申し入れ、過日はまた、一月召集の問題等もお決めいただいたと聞いております。事柄の性質上、国会において適切な各党各会派の結論が得られますことを私は強く期待をいたすものであります。
 また、公正な政治というのは、民意の変化が敏感に議席の変化をもたらすとされる小選挙区制に比例代表制を並立させることによって、少数意見が国政の方にも十分反映できるように配慮しようとしておるものでありますから、このようなことによって、公平で公正で偏りのない政治を実現するために制度改革が必要であると考えておるわけでございます。
 また、小選挙区がかつて一時期日本で行われていたころの話として、大正十四年の普選、普通選挙法制定前後のお話もいただきました。私も、これは先人の努力の跡として率直に敬意を表してよく耳を傾けましたが、しかし、時代は変わっております。今や政党政治、政党中心の政策本位の選挙をやらなければならないという世の中の大きな移り変わりというものも視野に入れて、どのようにしたら必要以上に金のかからない選挙ができるのか、どのようにしたら本当の政党政治ができるのかということを今考えたのがこの三法案でございますから、どうぞその点も御理解をいただきたいと思いますし、また、現行中選挙区制の問題では、私は率直に、個人レベルでの争いが激しくなると、ややもすれば、政策以外の問題で、個人の責任で本来政党がやるべき仕事をやらなければならないという弊害について申し上げました。議員は今、それは自民党だけの話で、よその政党には関係ないことだとおっしゃいますが、それはいけません。政党というのは、いつの日か必ず政権をとろうという大きな志と夢があるはずじゃありませんか。だからシャドーキャビネットもできたんじゃたいですか。政権をとろうという気持ちがなかったらシャドーキャビネットはおつくりになる必要はないはずです。私はそういう意味で、我が党が体験してきた。同じ政策同士で、しかも個人の域で争うことをやめて、なるべく政策、政党本位に持っていきたいということを考えておるわけでございます。
 同時にまた、今小選挙区のイギリスや韓国の例を引いていろいろおっしゃいましたけれども、イギリスは単純小選挙区制でございました。制度を各党の代表の皆さんが御視察をいただいて、そのイギリスの選挙制度についての各党の皆さんの帰国の報告書も私はいただいてよく読ませていただきました。イギリスで、もし過半数の議席を獲得し得る政党が存在する間は改革はされないでしょう、改革があるとすれば、連立政権が二、三回続いた後でしょうという有名な教授の発言等もその中で紹介されておりました。私は、いろいろな状況があると思いますが、選挙制度はその国の歴史や文化や伝統にふさわしいものが選ばれていくのではなかろうか、こう考えております。
 したがいまして、今御意見のありました。いわゆる併用制につきましても、審議会でも、自民党の方でも、いろいろな議論のときは視野に入れて議論がなされたことはそのとおりでありますし、答申にもその理由がきちっと書いてございましたが、それは、民意をそのまま反映するという特性も持つ反面、小党分立とたり連立政権となる可能性が高い、連立政権となる場合には、政権を担当する政党が国民によって直接選択されるのではなくて、政党間の組み合わせ、交渉によって決定されてしまうというところにも一つの問題点があると答申に指摘がございました。
 また、この制度、方向を加えていきますと、いわゆる過剰定員の制度というものも理論上出てくることになりまして、それらの問題点を十分視野に踏まえた議論の結果、比例代表制と、そして並立制とをあわせるということ、それが小選挙区比例代表並立制の答申の考えでございましたから、御理解を賜りたいと思います。
 また、人口格差と区割りの問題は、審議会で、選挙区間格差は一対二未満とすることを基本原則として作業を行っていただいたと承知しております。最大格差はその結果一対二・一四六となりましたけれども、基本原則はほぼ貫かれており、改正案をお認めいただければ投票価値の格差是正の要請にこたえることができるものと考えております。
 また、政治資金規正法改正案において資金集めパーティーを公認はいたしましたけれども、極めて節度を設け、厳しい条件をつけ、公開性、透明性と限度をきちっと決めました。これによってパーティーの行き過ぎが是正され、節度あるものになっていくと私は考えておりますし、選挙制度の改革にあわせて政治資金の調達を政党本位の流れに改めていこうとしており、選挙制度及び資金制度を通じた根本的な改革にこれはつながっていくと信じております。
 なお、政党助成を行うというのであれば、現行法が目標としておる企業献金を廃止しろと御指摘がございましたが、企業献金については、これは原則として政党に限ることにし、同時にまた、こういった企業の社会的存在というものも十分考えながら、節度のある態度で臨んでいきたいと考えております。
 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 海部俊樹

speaker_id: 5376

日付: 1991-09-10

院: 衆議院

会議名: 本会議