金子満広の発言 (本会議)

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○金子満広君 私は、日本共産党を代表して、小選挙区制の導入を中心としたいわゆる政治改革三法案について質問をいたします。
 総理、今や小選挙区制に対する国民の批判は日ごとに高まっています。国民の多数の声となっていることは事実であります。今国会の開会から今日までの短い期間に、小選挙区制反対の請願署名は既に百数十万に達しています。さらに、地方議会においても次々に反対の意見書が採択されているのが現実であります。また、最近のマスコミの世論調査の結果でも、小選挙区制を支持するという声はわずかに二割台であります。しかも、すべての野党が政府提出の小選挙区制に反対し、自民党の中からも反対の声がますます大きくなっているのは、天下周知の事実であります。(拍手)
 言うまでもありませんが、選挙制度は民主主義の基本にかかわる問題であります。総理は、このような反対の世論と声をあくまでも無視して、小選挙区制を強引に押し通そうというのか。それは、総理が常々言っているところでありますが、自由と民主主義の普遍的原理ということとどのように両立するのか、この席ではっきりとお答えをいただきたいと思います。(拍手)
 今、政府が提出した小選挙区制がどういうものであるかは、余りにも明らかであります。小選挙区部分で九割台をとります。そして比例代表部分を加えて四割台の得票で八割の議席を独占するということは、だれが計算しても同じなんです、これは。これが現実なんです。国民の過半数の声は死票として葬り去られることになることも明らかであります。まさに民主政治の破壊そのものと言うほかありません。(拍手)
 総理は、先月八日のこの本会議で、我が党の不破委員長の質問に対して次のように答えました。「選挙制度のよしあしをはかる最大の基準は、国民の意思が国会に正確に反映されるということ」だ、このように明確に答えました。この答弁が真実であるならば、政府提出の法案は、この答弁の立場にも根本的に反するということになるではありませんか。それとも総理は、政権党の議席占有のためならば、国民の意思が国会に正確に公正に反映されなくてもよいとでも考えているのか、改めてお伺いをいたします。(拍手)
 総理は、小選挙区制になれば金がかからないんだということを繰り返し言っております。その誤りは既に明らかであります。日本は、かつて戦前、二度にわたって小選挙区制のもとで選挙を体験をしています。そして、その選挙がいかに金権腐敗にまみれたものであったかは、当時の政府が繰り返し繰り返し強調してきたところであります。最終的に小選挙区制を廃止して現在の中選挙区制に移行したのは大正十四年、一九二五年であります。そのときの国会の模様は今改めて各方面で議論され、検討されています。
 そういう中で、当時の加藤高明総理は、小選挙区制の害悪について厳しい指摘を行いました。次のように言っています。「近時ノ選挙ヲ実見」つまり実際に見て、「近時ノ選挙ヲ実見致シマスルニ、各種ノ悪弊百出シ、殆ド其極ニ達シタカト見ラルル程デアリマスこさらに加えて、「就中選挙費用ノ濫増」、やたらにふえることであります、「濫増ハ量モ著シキモノノーツデアリマスこのように断言をしています。そして、当時国会に提出した資料でも、都道府県を単位とする選挙制度と比べ、小選挙区制の方が一・五倍から二倍の金がかかっていることが、具体的な提出された資料の中で明らかにされています。総理はよく、それは昔の古い話だと昔話で片づけようとしていますが、これこそ現実的な問題であります。
 私は、先月二十二日の本院予算委員会でこのことを指摘し、金がかからないと言うのであれば科学的な数字を具体的に示すように求めましたが、総理は何と言ったか。「科学的な数字を比較検討して出せと言われても、ちょっとそれは困難な作業」であらざるを得ない、このような答弁であります。それにもかかわらず、繰り返し繰り返し、小選挙区というのは金がかからないんだということを述べていますが、どのようにかからないのか、空宣伝でなくて、これこれこうだということをきようは具体的にお聞かせ願いたいと思います。(拍手)
 言うまでもなく、選挙制度は政党や議員のためにあるのではありません。国民の意思をどのように広く正確に国政に反映するのか、ここに基本があります。これが大原則であります。この点で今やるべきことは、小選挙区制などではなくて、既に五年前の一九八六年五月に国会決議になっている、現行選挙制度のもとでの抜本的な定数是正を緊急に行うことであります。
 国会決議は次のように述べています。「選挙権の平等の確保は議会制民主政治の基本であり、選挙区別議員定数の適正な配分については、憲法の精神に則り常に配慮されなければならない。」こう述べた上で、二人区・六人区というのをなくすんだということを明記しています。現行選挙制度の堅持を前提にして定数是正を義務づけているのであります。七日の日に放映されたNHKの世論調査の結果でも、五二%、過半数が現行の中選挙区制のもとでの定数是正を要求しているのであります。まさに国民の声であります。
 ところが、総理は、一票の格差を先ほども、一対二に近づけるんだということを繰り返し答弁していますが、それは現行中選挙区制のもとでの定数是正という国会の決議とは全く違ったものであり、まさに本末転倒、このことであります。総理は、明確な国会決議を否定するのかどうか。勝手な解釈はできないはずでありますから、はっきりと答えていただきます。(拍手)
 かつて総理は、八九年十月の衆議院の本会議では、この定数是正の問題について、衆議院本会議において決議されていることであり、事柄の性質上、各党で十分御審議をいただくことが重要だと明言しているのであります。
 そこで総理、我が党を含め各野党は、既に国会決議に基づいて現行中選挙区制のもとでの一票の格差を一対二未満にする具体的区割り案を出しているのであります。審議する条件は既にできている。審議できないのは、自民党が責任を持った案を出していないからであります。なぜ総裁として自民党に責任ある案を出させないのか。よく、対案を出せ、対案を出せということがその辺で聞こえますが、案を出していないのは自民党だけではないですか。(拍手)その理由について伺います。
 次に、この際、明らかにしておかなければならない問題があります。それは、政府が政治改革を言うなら、小選挙区制などではなく、政治腐敗の根底にある企業献金にまずメスを入れるべきだということであります。
 政府が政治改革を言い出したのも、企業の出す金で政治が動かされる実態が白日のもとにさらされたあのリクルート事件がきっかけだったではありませんか。ところが、先日自治省が発表した九〇年の政治資金収支報告書を見ても、いかに企業献金が政治を動かし、国民の不信を買っているのかが浮き彫りになっています。しかも、今癒着構造の究明が大問題となりており、一大不祥事件の渦中にある四大証券及び金融不正の問題の六銀行から国民政治協会を通じて自民党に六億円を超える献金がされていることが公表されています。こんなことでどうして証券・金融、あの不祥事件、不正事件の究明ができるのか、国民は今大きな疑問を持っています。総理の答弁を求めるものであります。
 企業献金については、今や財界の中からさえもその本質が公然と指摘されています。日経連の諸井虔氏は、先月の新聞紙上で、「企業の立場で言えば、本来、企業にとってプラスにならないことに金を出すことは株主に対する背信行為であり、何かプラスのことをやろうとすると本質的に汚職ということになる。企業はいま背任と汚職のはざまにいるようなものだ。」と述べているのであります。これはまさに事の核心をついた真実の発言であると考えます。諸井氏といえば、日経連の政策委員であります。その財界の幹部が、企業献金は背任と汚職のはざまだと言っているのでありますから、総理は、この企業献金を背任とみなすのか、それとも汚職とみなすのか、どちらの態度をとるのか、明確に答えていただきます。(拍手)
 総理、企業献金がリクルート事件以後も大幅にふえ続けています。ところが、出されている法案では、襟を正すどころか、企業献金を温存し、拡大し、リクルート事件であれほど問題になった政治資金集めのパーティーについても、これを合法化しているのであります。
 今、政治献金が、企業の献金が大問題となっているとき――当時、三木総理は、政治資金規正法を改正して、企業・団体献金については見直しし、政治献金は個人による拠出をふやすための方策を検討することを条文に書き込みました。ところが、金権政治の反省から出発すると言いながら、海部総理はその条項をも今度は削除しているのであります。全く逆ではありませんか。企業も社会的存在などと言わないで、企業献金を続けるのか、それとも禁止するのか、明確に総理、自治大臣、答えていただきたいと思います。(拍手) 政党助成法でありますが、そこでは、まず政党とは何かを、その定義を決め、国費をそこに支出しようというものです一そもそも政党の政治資金は、それぞれの政党と党員が政策を国民に訴え、その支持のもとに個人から自主的に拠出してもらうのが原則であり、根本的な民主主義の立場であります。我が党の政治資金はこの原則にのっとっています。その努力を放棄し、企業献金を継続し、さらに国費をそこに充てるなどということは全くの邪道であります。政治献金のあり方、これを一体どう考えているのか、お答えをいただきます。(拍手)、以上、私は明確に問題点を指摘し、質問をしてまいりました。ここで改めて、民意に背き、議会制民主主義を破壊する小選挙区制、この小選挙区制を柱とする法案の撤回を強く求めて、総理の見解をただします。そして、今後一切、小選挙区制導入の火種を残すべきではありません。今やるべきことは定数是正である、このことを再度主張して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕

発言情報

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発言者: 金子満広

speaker_id: 2848

日付: 1991-09-10

院: 衆議院

会議名: 本会議