海部俊樹の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(海部俊樹君) 秋葉議員にお答えをいたします。
一人一票同価値のことについていろいろお話しになりました。全く一イコール一という完全無欠なことは、これは理想であることはよく私も承知しておりますが、原則として一対二の範囲というものを決めてその中に価値を求めようと、こうしたわけであります。衆議院の定数是正については、政府は、選挙制度審議会の答申の中の投票価値の平等の要請にもこたえることができるものと、こう思って諮問をし、審議をしてもらったのであります。四捨五入するとゼロになるというのも、これは数学的には言える言葉かもしれませんが、一票をいかにしてもゼロにするというような発想は我が方にほ全くございません。できるだけ原則一対二未満に入れたいという努力をしたわけであります。
根拠を示せということですが、全国の議員一人当たり人口の三分の二から三分の四までとするという基準を設けて作業を行ったのでありますが、議員一人当たり人口が全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回るところも現実としてあったわけでありますので、結果として格差は一対二・一四六となったところが一番開いたところであった。こういうことになりました。しかし、大幅に価値が狭まりてきたことだけはどうぞ率直にお認めをいただきたいと思います。
また、定数格差の是正を目的としておるわけでありますから、今後国民の政治に対する信頼を確固とするためには、今の結果に従った票で行っていけば価値の是正の問題も解決できますし、もし衆議院選挙区画定審議会が機能を果たすなら、なぜこの設置だけを切り離して法律をつくらないのか、並立制の導入と同時に設置しなければ機能しないというその理由はというお尋ねがありましたが、将来の選挙区間の人口の異動に伴い投票価値の不均衡是正を行うとすれば、必ず区域の改定を行わなければなりません。そのために、中立公正な第三者機関として区割りの改定案を作成する選挙区画定審議会を設置するということを今回の三法案の中に書き込んでお願いしておるのでありますから、制度がスタートすればこの画定審議会も同時にスタートするように法律においてお願いをしておるわけであります。
また、機能と特徴、衆議院と参議院の二院の違いをどう見るかということでありますが、これはいろいろな違いもございます。そうしてまた、スローガン的にはいろいろなことがきょうまでも言われてきました。私は、つまるところは、議事の公正と慎重を期するために設けられたのがまず二院制の本質であろうと思います。したがって、要は国民のために慎重な審議を衆議院もやり、参議院もやる。もう一つの面では、第一院としての衆議院は解散その他の問題もございます。活動できなくなった場合にも、どのように民主的に国務を処理するかという実質的な必要にこたえるためにも参議院の制度が置かれておるもの、これは憲法を読んで私もそのように判断しております。
小選挙区比例代表の並立制、衆議院の持つべき特徴からいってどうなんだとおっしゃいましたが、小選挙区制は民意の変化が敏感に議席数に反映するものであります。そして、比例代表制を並立させることによって少数意見の国政への反映にも配慮しようとしておるものであります。政党本位の選挙を実現するために最も適当な制度と考えて、提出しておるものであります。議会制民主主義というのは政党政治であり、衆議院というのは特に政権を争う政党間の政策論議の場であるはずであります。その衆議院議員を選ぶ選挙もまた政党間の政策論争が中心になってくるべきものと私は認識をいたしております。
アメリカにおいての例を出されましたが、アメリカは御承知のとおりの大統領制の国でありまして、議会と行政府の関係というものは質が違っておりますし、我が国は議院内閣制でございますから、そういった意味で、アメリカの小選挙区制度とその当選率、再選率の問題が必ずしも妥当するものとは考えておりませんし、また、選挙のたびにいろいろなところで新人候補が立候補され、それによって交代が起こることも、これは世界共通の原則であろうと思っております。
また、政治倫理法案の問題につきましては、政治倫理が政治改革の第一歩であるということは、私も何回も申し上げてきました。所信表明演説でも申してきました。だからこそ、政治倫理に関する議員の資産公開法を自民党は国会に出しておりますし、党自体においては議員自身の問題も厳しく戒めておりますし、また院における政治倫理審査会とかその運用とか強化の問題は座長試案まで出していろいろと努力をしておりますので、事柄の性質上、国会の最高機関としての各党の皆さん方のお話し合いによってその問題を進めていただくように、政府からはまた強く皆様にもお願いをしたいと思うところでございます。
三法案を即刻取り下げたらどうか、名が残るようなことにしたらどうかとおりしゃいますが、これは今本当の意味で議会制民主主義を政党政治にしたいと、強い願いからこの三法案をお願いしておるのであり、改革をするためには根源にさかのぼった制度の問題にもいきませんと、個人個人の問題だけを云々しておったのではいけないという認識に立って、審議会の答申等も踏まえ、三法案を提出したわけでありますので、どうか御議論をいただき、御協力いただきたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣吹田愰君登壇〕