吉井英勝の発言 (本会議)
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○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる政治改革三法案について質問いたします。
そもそも今回の政治政章の出発点は、八八年に発覚したリクルート疑獄であります。自民党は政治改革大綱で「リクルート疑惑をきっかけに、国民の政治にたいする不信感は頂点に達し、わが国議会政治史上、例をみない深刻な事態をむかえている。なかでも、とくにきびしい批判がわが党に集中している。」として、そして自民党政府は、巨額の金を必要とする政治の仕組みに目を向け、金権体質をもたらす根源に踏み込み、政治のあり方そのものの抜本的な改革を行うとしておりました。
ところが、今回の三法案は、これら政府・自民党みずからの言い分さえ全くすりかえて、議会制民主主義を破壊する小選挙区制の導入と金権腐敗を深める企業献金拡大を強行しようとするものであります。これは、政治改革を求める国民の期待を裏切るものと言わなければなりません。総理の所見を求めます。
企業献金については、財界人がその本質をみずからずばり語っています。亀井正夫経団連副会長、第八次選挙制度審議会委員は「企業献金はそれ自体が利益誘導的な性格をもっている」とし、経済同友会代表幹事であった石原俊氏は「企業が議員に何のために金を出すのか。投資に対するリターン、株主に対する収益を確保するのが企業だから、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待する。」と公に語っております。また、日経連政策委員の諸井氏も「企業の立場で言えば、本来、企業にとってプラスにならないことに金を出すことは株主に対する背信行為であり、何かプラスのことをやろうとすると本質的に汚職」になると当然のことのように語っています。
昨日、我が党金子議員の質問に総理は答弁を避けましたけれども、財界のトップみずから認めているように、企業献金が本質的にわいろ性を持っているということは明白ではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
あなたは、最近の自由新報での対談で、みずからの三十年の議員活動の経験を踏まえて、「時間と労力」をかけ、「企業を訪問し、お礼をいいながら政治活動資金をもらって帰ってくる」「その時になんとも侘しい気持ちを感じる」と語っています。わびしい気持ちになるのは、後ろめたいものだからではありませんか。
また、そうまでして集めた政治資金を何に使うのですか。自民党の政治改革大綱では、中選挙区制のもとで「後援会組織の維持と膨大な有権者への手当のため、多額の金がかかる」としていますが、その「有権者への手当」とは一体何なのか、あわせて伺いたいと思います。(拍手)
総理、あなたは同じ自由新報の中で、「ユートピアの皆さんが年間経費を公表されたが、平均すると一億二千万円ほどだった」が、「私のところも改めて調べてみると、やはり同じようにかかっていた。」と述べています。企業から金を集め、それを膨大な有権者に手当てして、そして議員の地位を得て、企業の利益に尽くす、これは金権政治そのものではありませんか。総理の見解を問うものであります。
総理は、企業は社会的存在であるとして企業献金を容認しています。しかし、社会的存在といえば、暴力団も外国企業もすべてそうであります。あなたは、社会的存在からの献金は何でも許されると考えているのですか。そもそも政治献金は、国民の政治参加そのもの、憲法で保障された国民の参政権の行使です。この参政権は、投票権とともに主権者である個々の国民に保障された権利であり、憲法は企業に対して参政権や投票権を認めてはおりません。
このことは諸外国でも同様であり、だからこそ、例えばアメリカでも、八十年余り前、連邦の銀行及び会社が連邦の公職選挙に関して寄附することを禁止する立法、すなわちティルマン法が制定され、同年のニューヨーク州控訴院判決で、政治献金は国民の政治参加、参政権の行使であり、企業献金は選挙人の権利を侵害するとしています。国民の参政権、投票権を侵害し、金の力で政治を動かす企業献金というものを、それでもあなたは認めるのですか。
政治資金規正法第二条、基本理念では、政治資金は国民の浄財であるとうたっています。営利を目的とする企業の献金は営利資金の拠出であって、決して国民の浄財ではないのであります。企業の政治献金は、財界トップの言にもあるように実質的なわいろ性を持つものであります。禁止するのが当然ではありませんか。総理の見解を伺います。(拍手)
さて、これまで第一次、第二次、第五次の選挙制度審議会の答申では、企業献金の禁止を打ち出し、政府答弁でも政治献金は個人献金が望ましいと述べてきました。七五年の政治資金規正法改正の際にも、附則第八条で、企業・団体献金のあり方について、同法施行の五年後に、さらに検討を加えるとしたのも企業献金が望ましくないとする立場でした。ところが、今回の改正案でこの条項を削除してしまい、一方で、企業、団体からの政党への献金枠を最大一億五千万円まで、現行の一・五倍に拡大し、さらに、政治献金に対する税制上の優遇措置を法人にまで拡大してこの規正法案に書き込み、これによって政党への企業献金を一層奨励するものとなっています。これは企業献金の制限、禁止の方向から企業献金を拡大強化する方向への百八十度の転換です。総理、これでは政治改革ではなく政治改悪ではありませんか。
また、リクルート事件で問題になり、これまで脱法行為として行われていた政治資金パーティーの名による政治献金を法案で合法化していることも重大であります。一枚二万円から五万円のパーティー券を、百万円、百五十万円と企業がまとめ買いをして、パーティーに出席しなくても、それはパーティーへの参加費であって寄附、すなわち政治献金ではないなどという理屈は全く通用しません。政治資金パーティーは、政党はもとより個人でも政治団体を名のれば合法とされ、しかもパーティー開催回数にも、企業側の購入回数にも何ら制限はないのであります。これでは無制限に形を変えた企業献金を容認するものではありませんか。
さて、政治改革と称して提出された関連三法案は、リクルート事件の反省と言って出発しながら、自民党の一党支配体制を保障する小選挙区制の導入にすりかえるばかりか、小選挙区制によってますます金権選挙が横行するものであります。しかも政治資金の改正案は、指摘いたしましたように、政党への企業献金を五割増しにし、個人や政治団体に対しても新たにパーティー券の販売を認め、企業献金を温存するものであります。
その上、小選挙区制とセットで政党に国庫助成をするということは、自民党が小選挙区制で議席を実力以上に獲得した上、助成金もその議席数に応じて第一党である自民党に特別に有利に配分される結果、まさにこれは自民党助成法案となり、結局、金権政治と政治腐敗を助長して、国民の期待に逆行するものであることは明白ではありませんか。総理の所見を伺います。
さらに、政党への国庫からの助成は、権力による政党への干渉、介入に糸口をつくるものであり、憲法の保障する結社の自由を脅かすものであります。とりわけ、国会議員五人以上または国政選挙で二%以上の得票を獲得できない政党に対しては国庫助成をしないなどとすることは、まさに憲法の保障する結社の自由に明確に反するものです。総理の所見を問うものであります。
さらに、法案では、助成金の支出に関する帳簿の記載、報告書などへの記載に誤りがあったとして警察権力が政党に介入することが可能となっています。しかも、自民党の政治改革大綱が「国庫補助を中心とした政党法の検討」をうたい、選挙制度審議会が「政党に関する法制の整備」を答申し、自民党幹部によって政党法制定のたび重なる発言がされております。本法案を糸口にしての政党法の導入を懸念せざるを得ません。
最後に、小選挙区制は、主権者国民の多数の意思を国会から締め出し、四割の得票で自民党が国会議席の八割を独占するものです。この議会制民主主義を破壊する小選挙区制導入を柱とする政治改革三法案の撤回を強く要求して、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕