海部俊樹の発言 (本会議)

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○国務大臣(海部俊樹君) 浜本議員にお答えを申し上げます。
 非常災害対策本部を政府は直ちに設置して、二十一分野にわたり、八十三項目にわたる災害に対する救援対策を決定して強力に今推進しておるところでございますけれども、今回新たに、政令、省令の改正や特別基準の設定などによりまして三十項目に及ぶ対策を強化して、でき得る限り御要望に弾力的に対応していくように今取り組んでおるところでございます。したがいまして、ただいまお触れになっております見舞い金、基金の問題等につきましては、地方自治体の財政を逼迫させないように今後とも対応を続けてまいりますが、詳細は後ほど国土庁長官からも御答弁を申し上げます。
 証券不祥事に対する事件の認識につきましては、今回の一連の不祥事は、免許会社としての規範に反し、内外の一般投資家の証券市場に対する信頼を大きく損なったもので、公正な社会という理念から見てまことに遺憾なことであり、政府としてはこの問題について極めて重く受けとめております。政府としては、今後こうした問題の再発を防止するために、証券取引所などの自主規制機関の充実強化を図るとともに、損失補てんの法律による禁止、検査体制の充実強化など、法制上、行政上の必要な措置を講じて、信頼回復のために全力を挙げて取り組む所存であります。
 再発防止については、何が行われたのか、それがどうであったのか、いろいろな立場からの御議論がなされることが必要であり、また具体にお尋ねの国会における場所とかそのやり方その他については、ただいま国会の場で各党各会派の間の御論議が重ねられており、政府はその決定に従い協力をしていく考えでございます。
 また、今回の証券問題にかんがみて、今後こうした問題の再発防止のためには、証券市場に対する監視機能のあり方、適正化のための是正策について、行革審に対して早急にこれの検討を開始していただくよう依頼しておるところであります。大蔵省においても、検査体制の見直しにつきプロジェクトチームを発足させて、現在精力的に作業を進めているところでございます。
 政治改革の問題につきましては、私は内閣のスタート以来、公職選挙法に関する改正案も参議院の御協力も得て成立をし、昨年二月の衆議院の選挙以来それが適用されておることも御承知のとおりと思いますし、また、現在衆議院においては議会制度協議会に各党の案を持ち寄っていただき、政治倫理に関する問題についても具体の討議を行い、参議院においてもお話し合いを続けていただくものと心得ております。
 今国会に提出している政治改革関連三法案は、政治に対する国民の信頼を確固としたものにするとともに、内外に山積する課題に的確に対応する政治の実現を目指すため、現在の選挙や政治の仕組みを政策本位、政党本位のものに根本的に改めようとするものでありまして、これは国会において各党それぞれ十分御議論をいただき理解と協力を得て法案の成立が図られるように、ただいま最善の努力をしておるところでございます。これを何としてもなし遂げたいという決意で臨んでおります。
 この三法案は一括処理でいくのかというお話でございますが、これは今度の選挙制度審議会の答申をよく読んでみましても、結局、政党政治を行い、国民に密着した選挙にし、国民の意見を反映できる政党のあり方というもの等を考えていきますと、資金の問題も政治倫理の問題も、つまるところ現在の衆議院の中選挙区制度というもの仁あって、政策を離れた、日常の政治活動から選挙活動まですべて個人中心になっていくところに必要以上な資金も要る。
 いろいろそういったことから、政党本位のものに改めていくためにはどのようにして制度にも触れていくか、どのようにして政策本位の活動にしていくか、そして資金の流れは政党中心の流れにするとか、いろいろ整合性を持って一体として解決していくべきであるという答申を受けておりますので、これを三法案として国会に提出したところであります。ぜひとも一括して御議論、御検討、御審議をいただきたい。成立を心からお願いする次第であります。
 もとより、選挙制度改革は国会の構成や議員個人の身分に係る重要な問題でもありますので、十分な御議論を期待していくのは当然の心構えと考えております。
 一票の重みの格差是正について、人口比例に徹する決意はあるかとのお尋ねでございました。
 配分に当たっては、過疎地域への配慮とか多極分散型国土の形成などの政策課題への配慮面から、人口以外の要素を取り入れるべきではないかとの意見や御要望等も各方面にあったところでございます。選挙制度審議会に御指摘のような配分方法で区割り作業をお願いしましたのは、これらのいろいろな意見等も踏まえ、人口比例という答申の考え方に準拠しつつも、人口の少ない県に対し定数配分上配慮しようとしたためであります。なお、選挙区間の人口の最大格差が二・一四六となっておりますが、格差が大幅に是正され、投票価値の平等の要請にこたえることができるものと考えております。
 新たな国際平和協力に関する基本的な考え方として政府が中間報告をまとめた際に明らかにいたしました我が国の平和維持軍への参加に当たっての基本方針は、停戦合意が成立したこと、当事国の同意があること、中立的な立場から参加すること、武器の使用は生命防護の必要なときのみに限定することなど厳しい基本方針に基づいて、平和維持軍に参加することは憲法九条との関係で問題を生ずるものではないと考えたのであります。
 また、我が国が国連平和維持活動に適切、迅速に協力するためには、平和維持活動協力隊が行う活動に自衛隊を従事させることが適当と考えておるところであります。なお、自衛隊の参加については、平和維持活動協力隊の隊員の身分と自衛隊員の身分とをあわせ有することとして中間報告にはまとめましたが、今後、各党との協議も経て所要の検討を行い、成案を得ていきたいと考えております。
 我が国が戦争否定を鮮明にしたことほそのとおりでございます。しかし、我が国は平和を目指す責任ある国家として、相互依存関係がますます深まりておる今日は、平和主義の理念を現実のものとするためにも、日本の憲法にも、自国のことのみに専念してはならない、一国平和主義を戒める理念も出ておるわけでありますから、我が国は国際社会の一員として世界の平和と繁栄のため積極的に協力し、貢献していかなければならないと考えておる次第でございます。
 自衛隊をはっきりと国際貢献隊あるいは国際協力隊に改組して、これに役割を担わせるようにしたらどうかとの御提案でございました。私もよく勉強をさせていただきます。しかし、現在は、政府の出した中間報告を政府としては御理解をいただきたい、こう考えておるところでございます。
 また、国連の五大常任理事国の恣意によって国連の安保理が動かされて、中小国の主権を制限するおそれはないかとの角度のお尋ねでございましたが、今回のサミットでもすべての参加国が強く求めたことは、新しい世界の平和や秩序を維持するためには国連の機能というものの強化がうたわれて、国連を中心とした新しい秩序の枠組みづくりに世界の国々が協力していくべきということであり、特に対立しておった東西関係が終わりを告げた今日でありますから、東西関係の中で、特にソ連の新思考外交も地球的に、グローバルに適用されるべきであるということ、また五大常任理事国が参加をして、例えば中東における武器の移転をどのようにして抑えていくかという会議がパリで行われるなど、常に常任理事国が考えておることは世界じゅうの平和と安定であると、私はこのような認識をいたしております。
 また、国連の安保理事会は、御承知のとおりでありますが十五の理事国から成り立っており、五つの理事国のみの恣意によってすべてが決定、運営されるものにもなっておりませんので、私はそのような御懸念は当たらないのではないかと受けとめております。
 また、兵器移転の国連登録制につきましては、これは世界の軍備管理あるいは軍縮に向かっての方向についてまず着手をしてやるべき問題だと私は考えておる次第であります。各国が自衛のため必要な範囲で行う兵器の調達、各地域における軍事バランスの確保といった複雑な問題がこれには絡んでおります。非同盟の国々を初め、多くの国が自国の安全保障の観点から慎重に対応しておるのが現実でありますけれども、このような中でさきに申し上げた五主要兵器供給国が、中東を念頭に置いて、大量破壊兵器の不拡散の徹底、通常兵器の移転に関する共通ガイドラインの作成に関して具体的な協議を始めました。
 私は、中東地域のみならず世界のすべての国々において、通常兵器の国際移転の透明化の増大に向けた努力は必要である、国連を中心とした報告制度や自主規制の枠組みの整備強化は重要であると考え、過日、京都の国連軍縮会議において基調報告でこのことを主張いたしましたし、今回のサミットでもこの考え方は多くの理解と同意を得てサミット宣言にも反映されたと考えております。
 政府は、引き続き秋の国連総会に関係国とも協力の上通常兵器移転に関する国連報告制度の創設を内容とする決議案を提出すべく、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、これは解決しなければならない緊急課題であり、年内決着に筋道をつけるために、世界の国々が保護主義の台頭を抑える、このことで意見が一致したことは御指摘のとおりでございます。我が国の繁栄と世界経済の発展を確保するためには多角的自由貿易体制の維持強化が必要であり、政府としては率先して課題解決に取り組んでいく決意でございます。
 ただ、お尋ねの米につきましては、世界人口の着実な増加が今行われており、農産物需要が増大傾向にある一方、穀物の国際需給が予想しがたいことなど、いろいろな問題が含まれております。ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、我が国は食糧安全保障の観点から、基礎的食糧については所要の国内生産水準を維持するため必要な国境調整措置を講じ得るよう提案を行っているところであります。米は、国会における決議等の趣旨を体して、今後とも国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいる考えであります。
 今回のサミットは対ソ支援について賛成とか消極的とか、いろいろ仕分けをなさいました。議論の中では確かにいろいろな考えはありましたが、対ソ支援に当たっては抜本的な経済改革、政治的文脈、特に新思考外交の世界にわたる適用が必要であって、現状でG7として行い得る支援としては、六項目から成る三国間及び国際機関を通じた技術的支援の拡大強化の用意を表明した次第であります。ペレストロイカの成功は我が国としても強く希望しておりますし、同時に改革の成功のためにはソ連自身の自助努力が何よりも必要であり、それに対してサミット国とともに共通の認識を持って技術支援を行い、積極的に成功するようにソ連のペレストロイカに協力をしていく考えであります。
 また、さきのASEAN拡大外相会議における問題については、国際情勢が変革期にある中で、アジア・太平洋地域の友好国の間でお互いの信頼と安心と協力感を高めるための政治対話を活用することを通じ、一層強化していこうとするものであります。我が国の外務大臣のこうした発言については基本的に参加国の同意を得られ、今後その具体的な進め方について参加国の中でさらに検討をしていくということになりました。
 ODAの問題については、これは我が国が発表いたしました政府開発援助の実施に当たって国際紛争を助長しないという観点から、被援助国の武器輸出入の動向、被援助国の民主化の促進などといった諸点にも十分注意を払いつつ、二国間、国際情勢、被援助国のニーズ、経済社会状況等を総合的に判断していくというものであります。
 私は、国際紛争を助長するような武器の輸出入が問題であるところに留意する必要があると考えておりますし、いずれにしても、相手国に対して内政干渉と受け取られるような状況は避ける必要はありますが、二国間協議等の場を通じて相手国側に繰り返し注意を喚起し、懸念表明を行い、なおかつ改善が見られないならば実際の援助額等においてしかるべき反映をさせていくこともあろうと考えております。
 ODAの供与基準を実効あらしめるためには、我が国も今日まで、経済協力の一層の効果的、効率的実施のために現行の関係法令等の範囲内で運用改善を図ってまいりましたが、今後とも、対外経済協力関係閣僚会議の積極的な活用等によって、関係行政機関相互の緊密な連絡の確保、援助評価の一層の充実とその結果の活用等に注意して努めてまいりたいと考えます。
 被爆者等援護法の制定は、一般戦災者との均衡上問題があると考えており、政府としては現在の原爆二法を中心とする施策の充実によって対処する基本的な考え方であり、今年度におきましては、諸手当の大幅な改善を行うとともに、新たに原爆死没者の方々の慰霊等のため諸事業を実施することとしたところであります。
 また、地対協の問題にもお触れになりましたが、政府は昭和四十四年以来各種事業を推進し、生活環境等の改善が相当進んできたところでありますが、現行の特別措置法における事業の進捗状況について、今後ともその内容の把握をしていくものと考えております。一方、地対協においては、一般対策への円滑な移行の方策についてさらに議論を深める必要があることから中間的な意見の取りまとめには至らず、会長談話が出されたものと聞いております。今後のこの協議会の意見を尊重し、検討を続けてまいる考えであります。
 残余の質問につきましては関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣西田司君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 112115254X00219910808_003

発言者: 海部俊樹

speaker_id: 5376

日付: 1991-08-08

院: 参議院

会議名: 本会議