松浦利尚の発言 (本会議)
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○松浦利尚君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいまの財政演説、平成三年度補正予算に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
海部内閣を引き継いで、宮澤内閣が発足して早くも一カ月がたちました。振り返ってみますと、宮澤総理は、海部政権を批判し、長年の念願だった総理・総裁のいすを手におさめられましたが、しかし、今総理は何をしようとしているのか、今なぜ宮澤政権でなければならないのか、国民が納得できる政策をお示しになっていません。これでは、内外情勢が歴史的な転換期を迎えている今日、的確な対応はおろそかにされかねません。結局、旧態依然の自民党派利派略による政権のたらい回しと批判されても仕方がないのではないでしょうか。発足以来、世論調査結果は早くも支持率が低下し始めています。総理は、余り気にしていないと発言をされていますが、世論はある意味で国民の声ではないでしょうか。
「君子は憂えず恐れず」の例えばありますが、私は、内閣支持率が低下した大きな原因は、総理自身の優柔不断さにあると思います。政治改革を一年以内に実現すると公約したかと思うと、それをいつの間にかあいまいにしてしまい、また、自衛隊の海外出動、平和維持軍などへの自衛隊の活用に消極的であったかと思うと急に積極的になるといったことに、国民が戸惑いを感じている結果ではないでしょうか。
世論を無視し、国民の声を聞かずして民主政治は成り立ちません。私は、国民の沈黙の抗議だと受けとめるべきものと思います。ぜひ総理自身の口から、世論調査の低下を宮澤内閣のどこに原因ありと分析されているのか、それともそんなことは馬耳東風とされるのか、お聞かせいただきたいと存じます。(拍手)
第二は、総理は、リクルート問題に関連をして、当時大蔵大臣を辞任されました。しかし、大臣を辞任された後、振り返りますと、大型景気と株、地価の高騰の火つけ役は、宮澤大蔵大臣がとった超金融緩和を中心とした円高不況対策だったのではないでしょうか。その後、金融・証券市場は乱れに乱れ、御承知のような金融・証券不祥事を誘引しました。国民は、土地高騰で泣かされ、今またバブル経済の崩壊で泣かされています。
すべてを宮澤総理の大蔵大臣時代が原因だと極論はしませんが、大臣個人が責任をとって辞任をされても、あなたのとった政策は動いていきます。結果的に今日のバブル経済に泣かされ、国民は怒りを爆発させ、大蔵省に対する国民の信頼は完全に失墜しています。上級公務員たらんとする優秀な人材は集まりません。まことに憂うべき現象であります。
私は、リクルート問題はまだ終結していないと思います。依然としてそのツケは大きく国民の上にのしかかっております。宮澤総理、私は、再度あなたのリクルート問題に対する反省を含めて、
昨今、姿勢が弱まったと指摘される政治改革についてどう対処されるのか。もちろん、自民党一党支配体制の継続を画策する党利党略の政治改革、選挙制度の改革は絶対に実施すべきではありません。しかし、国民の理解を得られる政治改革を目指し、少なくとも与野党の合意形成に向けた努力の一端は示すべきでありましょう。
総理自身も関係したリクルート問題、そして昨今の証券・金融不祥事を見ましても、実効性のある政治倫理の制度的な確立は、その端緒とすべきものではないでしょうか。自民党総裁として、また総理としてその決意をお聞かせいただきたいと存じます。そしてまた、あなたがいみじくも関係をされたリクルート事件等、かかる不祥事を絶対に起こさないという決意をお聞かせをいただきたいと存じます。(拍手)
第三に、私は宮澤内閣発足一カ月を見るにつけ、詩人ニーチェの「生に対する歴史の利害」の中の「時には歴史を忘れることが必要だ」の一節を思い出します。「歴史を忘れないと過去に支配され、自由に生きることが出来ない。だから自由に創造的に生きるには、歴史を忘れ、過去を忘れて生きることが必要だ」という論文であります。あなたの政治は、PKO法案に見られるように、時として歴史を忘れ、また、過去に支配されないために国会決議すら忘れようとしておられます。米の完全自給の国会決議であります。
総理、確かに国会決議は法的には政府を拘束するというものではありませんが、しかし、国民の総意をあらわすものであることは間違いありません。だからこそ、歴代政府は、この決議を尊重すると繰り返し答えてまいりました。ガット・ウルグアイ・ラウンドの決着を迎えて、例外なし関税化を受け入れるのか、部分自由化とするのか、それとも国会決議を守ろうとされるのか、農家の皆さんはかたずをのんで、今日、宮澤総理の発言を見守っています。
宮澤総理、あなたは米の完全自給の国会決議を尊重するかどうか、我が党の田邊委員長に対する堅白同異の弁でなく、イエス、ノーでわかりやすくお答えください。あわせて、農林水産大臣にもお尋ねをしておきます。
次いで、経済政策についてお尋ねをします。
経済企画庁が今月四日発表した、本年七月から九月期の国民所得統計速報によりますと、GNPの実質成長率は前期比〇・四%、年率換算で一・六%に減速しました。これは、消費税導入直後の八九年四月から六月期以来の低い水準であります。
総理は、国政を運営するに当たり、生活大国を一つの大きな柱に据えております。その宮澤政権が発足早々景気の減速が明確になったのは、何か皮肉を感じさせないでもありません。経済成長率という量的側面ばかりを重視する必要はないとも思いますが、この難しい局面に当たって、総理は生活大国実現に向け、具体的にどのような対策を講ずるつもりなのか、御見解をお聞かせいただきたいと存じます。(拍手)
経済企画庁や日銀は依然として強気に見ていますが、景気は後退局面に入ったのではないでしょうか。九一年度の政府見通し三・八%の成長は見込めないのではないか、お尋ねをいたします。また、景気後退に対する政府の対策は不必要だとお考えになられるのか、それとも対応されるとすればその方策についてお尋ねをいたします。
一方、日本の成長が低いと必ず国際的な日本批判が起こることは火を見るより明らかであります。まして、一千億ドル近くの貿易収支の黒字が出るようなことになれば、米大統領選挙を前にして、また日本たたきが激しくなることは間違いありません。経済摩擦を避けるため、来年に向かって三・五%前後の成長を見込むには、思い切った金融財政の転換が必要とする説がありますが、総理並びに経済企画庁長官の答弁を求めます。
また、不動産に対する総量規制を撤廃する方針と聞きますが、私は、今日なお、融資の総量規制などにより地価は下落傾向にあるとはいえ、地価は勤労者にとって依然として手の届くまでには至っておりません。総量規制は引き続き継続すべきであると思いますが、総量規制は来春の地価動向を見てからでも決して遅くはないと存じます。地価高騰はとまり、下がり出したと判断されているのか、あわせて、撤廃しても再び地価高騰の呼び水にはならないと言われるのか、ならないとすれば、その理由をお聞かせいただきたいと存じます。
最後に、来年度予算編成について一、二お尋ねをいたします。
宮澤総理は、歳出抑制効果の大きい地方交付税率の引き下げを含む交付金の見直しを当然としておられると聞きますが、事実でしょうか。また、歳入面では、依然として消費税率の引き上げを画策していると聞きますが、宮澤政権は消費税率引き上げせずのお答えをここですることができますか、これまたイエス、ノーで簡潔にお答えいただきたいと存じます。
以上で私の質問を終わりますが、宮澤総理は若くしてニューライトともてはやされ、リベラルな考え方は、政界だけでなく言論界をリードしてきたのであります。しかし、PKO法案を国民の合意のないまま、強引な手法すら導入して成立を図ろうとする姿に、あなたに期待した多くの国民は、失望というより悲しみの目で見詰めておると思います。
私は宮澤総理に、今からでも遅くはありません、PKO法案を廃案にし、国民合意による国際貢献の道を選択なさるように、宮澤総理の真のリーダーシップを発揮されるよう期待をして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕