伊藤英成の発言 (本会議)
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○伊藤英成君 私は、民社党を代表して、ただいまの羽田大蔵大臣の財政演説について、総理及び大蔵大臣等に質問を行うものであります。
まず第一に、当面の景気対策についてお尋ねいたします。
内需を中心に堅調な拡大を続けてきた我が国経済に陰りが見えています。経済企画庁は、十二月四日、七—九月期の国民所得統計を発表しましたが、実質成長率は前期比〇・四%、年率でわずか一・六%にとどまり、景気後退の姿がはっきりとあらわれたと受けとめております。
ある民間信用調査機関がまとめた十月の全国倒産状況によると、負債総額一千万円以上の企業倒産は、前年同月比六五・八%増の千七十一件で、八七年十月以来四年ぶりに一カ月一千件を超えました。製造業、販売業などの倒産も目立っており、もはやバブルの崩壊一言のみでは片づけられないほど深刻な状態と言っても過言ではありません。こうした実体経済にかんがみれば、政府の現状認識は甘いと言わざるを得ません。
日本銀行は十一月十四日、公定歩合を五・五%から五・〇%に引き下げました。しかし、引き下げが中途半端で景気浮揚の効果はないとの批判もあります。公定歩合の再引き下げなど、機動的な金融財政政策を速やかに講ずるべきだと考えますが、政府はこの提案にどうこたえるのか、宮澤総理の御所見をお尋ねしたい。
また、景気減速が顕著になる中、政府は来年度の実質経済成長率の見通しを三・五%を軸に調整していると聞きますが、生活大国実現を公約に掲げる宮澤内閣とすれば、せめて実質四%強程度の経済成長を達成することが絶対条件だと考えますが、宮澤総理及び野田経済企画庁長官の答弁を求めるものであります。
第二に、税制問題についてお尋ねいたします。
バブル経済の崩壊、景気の減速により、今年度から来年度にかけて税収の落ち込みが予想されることについては、我々も真剣に対策を考えています。しかし、道半ばの行政改革を棚上げし、硬直的、固定的な予算編成を踏襲したままで安易な増税を企図する財政当局の動きには絶対にくみしないことを強調しておきます。
消費税関連法案審議に際して、昭和六十三年十一月十六日、自民、民社両党で「行財政改革を強力に推進しこ消費税率は「極力その維持を図るよう努める。」との合意を交わしました。行政改革の推進状況について、六月十二日に提出された行革審の報告書が、改革の目標にはいまだ到達していないもの、また、改革が遅々として進んでいないものがあると指摘し、各界の有識者から成る行革国民会議も、これまでの成果に百点満点の二十六点という低い点数をつけています。国鉄、電電公社、専売公社の民営化はよしとして、補助金行政の抜本的見直し、中央省庁の整理統廃合、地方分権確立、国家公務員定数の大幅削減など、本来の行革がきちんと行われていないことはだれの目にも明らかであります。
自民、民社の合意を誠実に守る気があるのなら、自民党政府はまず行政改革の断行を進めるべきであります。それなくして、消費税増税を安易に求める一連の動きは、公党間の約束を踏みにじるものと受けとめざるを得ません。宮澤内閣は消費税率引き上げなどという安易な増税策は絶対にとらない、まず政府みずからが汗をかき、行政改革を最優先させると総理及び大蔵大臣に約束していただきたい。
また、法人税、石油税の臨時増税及び普通・小型乗用車の消費税率の割り増し税率六%を延長する案が伝えられております。かかる措置は今年度までの暫定措置であり、来年度以降も継続するとすれば事実上の増税であり、かつ公約違反だと断ぜざるを得ません。湾岸協力増税については、その趣旨説明で、大蔵大臣だった橋本氏が、一年限りの税制上の措置と約束をしております。乗用車の消費税の割り増し税率についても、主税局長だった水野氏が、経過的なものと答弁をしております。さらに、サウジアラビア政府が、石油臨時
特別税の継続は国際公約違反と主張し、欧州企業が、乗用車の消費税暫定税率延長に反対するなど、一連の増税措置は我が国の国際社会における信頼を失墜させるおそれもあります。また、経済が低迷している時期に増税を延長すれば景気はさらに失速し、逆に税収を落ち込ませる結果になることを認識しなければなりません。
宮澤総理、羽田大蔵大臣、国民に約束したことを守るのが政治の原点ではありませんか。安易な増税の延長はやらないと国民の前に明らかにしていただきたい。あわせて、安易な赤字国債発行や地方交付税の圧縮など国民や地方へのツケ回しもやらないと約束をしていただきたい。
来年度の税制改革の重要課題の一つは相続税改革であります。近年の地価高騰により、相続税負担は庶民の生活をむしばむほど重いものとなっております。さらに、地価税導入に際して、相続税の土地評価額が公示価格の七割から八割に引き上げられることとたり、相続税はさらに増税となります。このため政府は、相続税の負担調整を行うため、課税最低限の引き上げ、税率区分の緩和などの改正に取り組むと聞いておりますが、当然のことと考えます。これに加え、中小企業の円滑な事業承継を促進するため、取引相場のない株式の評価方法の改善、個人事業者の事業土地等の生前一括贈与の場合の贈与税納税猶予制度の創設、二百平方メートル以下の小規模宅地等に係る減額率の引き上げなどを実現するよう提唱いたしますが、この約束を総理及び大蔵大臣にしていただきたい。
もちろん、地価の引き下げや資産格差防止など社会的公正という視点を忘れてはなりません。来年一月から導入される地価税の実施に合わせて地価引き下げのため機動的な政策を講じるとともに、附帯決議等で取り決めたよう地価税収は土地対策や所得減税に充てるべきだと考えますが、総理及び大蔵大臣の明確なる答弁を求めます。
第三に、来年度予算編成についてお尋ねをいたします。
税収不足を見通して増税ばかりを模索し、歳出の中身に切り込めない自民党政府のやり方は、本末転倒であると言わざるを得ません。公共事業関係費一つとってみても、省庁別配分はここ十年間ほとんど動いておりません。一般会計の公共事業配分について昭和五十六年度と平成三年度で比較すると、建設省分は六八・二%と六八・五%、農水省分は二一・九%と二一・八%、運輸省分は六・二%と六・三%などとなっております。まさに、省あって国なしという実態を如実に示すものであります。
宮澤総理は、「所得のみではなく社会的蓄積や美観などの質の面でも、真に先進国家と誇れるような、活力と潤いに満ちた、ずしりと手ごたえのある生活大国づくり」を唱えておりますが、その基本となる生活関連の社会資本整備を着実に進めるためには、従来までの各省庁の権益、与党の利益誘導を最優先させた固定的、硬直的な予算編成を根本から改めなくてはなりません。そのため、来年度予算編成については、既定経費を前提に増分を基調とした方式は取りやめ、真に国民生活に必要なものをゼロから積み上げていく形で行うべきだと考えます。
政府は十カ年で四百三十兆円の公共投資を実現することに取り組んでいますが、公共投資全体のあり方を根本的に改めることなく、生活関連枠の継続、新たな別枠の設置という方式でこれを乗り切ろうとしていることは、政策上の誤りだと批判せざるを得ません。そもそも公共投資すべてが生活関連のために行われるものであり、時代のニーズに即して柔軟に配分を変えることができなくては、何のための政治かと問いただしたくなります。
過去の予算実績には一切こだわらず、不必要な部門は思い切って削減しつつ、平成四年度予算は、公共住宅、道路、下水道、都市公園、文化・余暇施設、高齢者に優しい町づくり、産業廃棄物処理場、衛生処理場等の生活環境を守るための施設など、民社党の主張する生活先進国建設に寄与する社会資本整備を重点とすべきと考えますが、総理及び大蔵大臣の御所見を賜りたい。
また、バブルを再燃させないため、地価を引き下げるために、不動産融資総量規制の継続、さらに国土利用計画法における監視区域制度の見直しなど、必要な措置をあわせて講じる必要があると考えますが、この点についても答弁をいただきたい。
最後に、提案されている補正予算について伺います。
人事院勧告実施のための給与改善費を盛り込んだことは当然と考えます。同時に、生活大国実現のため、国家公務員の完全週休二日制実施に必要な措置も盛り込むべきであります。また、災害復旧等事業費が計上されたことは評価しますが、雲仙・普賢岳の噴火災害のように長期にわたり避難を余儀なくされた方々や、リンゴやミカンのように復旧に何年もかかる場合、対策が被災者に十分納得できるものとは言えません。火山噴火、台風、大地震など自然災害から国民の生命、生活を守る災害対策先進国づくりを目指しつつ、政府は新規立法も含め所要の措置を講じるべきであります。
以上の諸点について宮澤総理の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕