東祥三の発言 (本会議)

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○東祥三君 私は、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案、相続税法の一部を改正する法律案に関連し、公明党・国民会議を代表して、総理に質問を行います。
 昨年の一九九一年の世界は、湾岸戦争によって幕があき、ソ連邦の崩壊によって幕を閉じた目まぐるしい激動の年でありました。世界経済が深刻な景気後退の様相を呈する中で、繁栄を誇ってきた日本経済も、昨年下半期から明らかに好況に陰りが見られるようになり、最近の法人企業動向調査でも、国内景気判断指標がマイナス四二を示し、法人のほとんどが景気の落ち込みを感じている状況であります。
 国の内外ともに政治、経済、社会環境に大きなうねりを生じ、激動し続ける中で明けた一九九二年。ごろ合わせではありませんが、本年一九九二年はイククニ(行く国)と読めますが、日本はどこに行こうとしているのか、さっぱりわかりません。
 かつて、ジョン・メイナード・ケインズが、その著「一般理論」で、経済というものは確信にある、予想される変化が不確実であると、確信が揺らいでしまう、その結果、将来に対する懸念が深まり、経済活動への意欲が失われてしまうという趣旨のことを述べております。手おくれにならないうちに先手を打つのが政治家の使命であるとすれば、今こそ、日本のナビゲーターである総理自身が、国民の前で、抽象的ではなく具体的に、日本の進むべき方向と、さしあたって何をやろうとしているのかを示すと同時に、断固たる決意を明らかにしていただきたい。
 さて、施政方針演説で総理は、「生活大国への前進」を六項目の指針を通して高らかにうたいとげましたが、国民が豊かさを実感できる社会の実現のためには、税制の果たす役割も非常に重要であるにもかかわらず、生活大国と税制の関連については全く触れられておりませんでした。
 今、政治が直面している課題は、土地・金融資産の大部分が企業に集中しているのと同時に、異常な地価の高騰の中で、持てる者と持たざる者という資産格差の二極分化が進み、国民の不公平感は非常に大きくなっているという事実にどう対応するかということであります。額に汗する人々が十分に報われていないという感じを持ってしまっており、まことに残念なことであります。
 言うまでもなく、政治は公正な社会をつくるために精いっぱいの努力をしなければなりません。そのために、国民の皆様が信頼できる公平な原則にのっとった税体系の構築に今こそ取り組むべき
ではないでしょうか。早急に、現在の生産者、企業優遇の税制から、生活者重視の税制への抜本的な転換を図るべきと考えるものであります。
 日本の進路に対する明確な方針と、その実現のための御決意並びに生活大国実現のための税体系の構築について明確な答弁を求めるものであります。
 そこで、私は、生活者重視の税制構築という視点から、幾つかの問題点を指摘し、総理の御見解を伺いたいと思います。
 第一に、歳入対策のための増税の問題であります。
 政府は、法人特別税を創設し、新たな税負担を法人に求め、自動車の消費税も四・五%の特例税率で実質的に延長させようとしております。いずれも最終的には消費者への負担となるものであり、景気を冷やす増税であることからも問題は多く、安易な増税とのそしりは免れません。
 二十一世紀の高齢化社会を目前にして歳出はさらに伸びる傾向にあり、その意味からも、まずは旧来の惰性を排した思い切った歳出の見直しが必要なのであります。増税の前に、歳出の見直し、不公平税制の是正、行政改革などによる歳出削減などの財政努力によって歳出減を図るべきではないのか。今回の増税案が景気に与える影響、一層の行財政努力の必要性、これらの点について御見解を伺いたい。
 第二に、不公平税制の是正についてであります。
 現行の税制では、個人より法人、事業者が有利な制度となっております。特に、法人税において必要以上の経費が損金算入される各種の引当金は、実際は課税回避策として使われることが多くなっております。また、租税特別措置は一定の役割を果たしていることは否定しませんが、原則的には廃止をし、どうしても必要なものだけ制度化するか、あるいは歳出面で配慮すべきであります。
 今回の改正で五項目の租税特別措置の廃止が決められておりますが、この際、さらなる抜本的な洗い直しを行い、課税ベースの拡大を図る必要があります。各種引当金並びに租税特別措置の全面的な見直しを求めるものであります。
 さらに、税の徴収についても不公平が指摘されるところであります。脱税額の新記録が毎年更新されるようでは、国民の信頼は得られません。まじめな納税者がばかを見るような状況を放置せず、罰則の強化、時効の延長など論議されるべきです。
 来年度税制改正で納税者番号制度が検討されることになっておりますが、プライバシーの保護を前提として、導入を真剣に検討すべきだと思います。各種引当金、租税特別措置の見直しとあわせて、納税者番号制度について、総理の明確な御見解を伺います。
 第三に、土地住宅税制について伺います。
 まず、大都市圏における地価の鎮静化の兆候が見えてきていると言われているが、高騰前の状況と比べると、いまだはるかに高い水準にあります。現状をどう認識し、今後どのような対策を講じようとしているのかをお伺いしたい。
 次に、地価税導入の関係から、相続税の土地評価額の引き上げが行われようとしていますが、特に都市住民が現在住んでいるところに住み続けられるように、小規模宅地等の相続税の課税の特例について改正案で提案されている減額割合をさらに引き上げるべきであります。
 なお、地価税収については、所得税減税に充てるか、土地住宅対策に回すべきものであったはずであります。地価税は増税目的ではないはずであり、一般財源化が目的でもないはずです。また、税率、基礎控除の高さ、いわゆるしり抜けの措置によって地価の引き下げ効果は大変弱くなっております。所得、資産、消費のアンバランス是正のためにも早急な見直しが必要であります。これら小規模宅地への特例の拡充、地価対策としての税制措置についてお答えをいただきたい。
 地価税収の使途については、土地高騰により家が持てなくなった賃貸住宅世帯層の家賃控除に充てるという我が党の従来からの構想があります。政府は、これだけ高騰し家計を圧迫している家賃を食費や被服費と同様などと言っておられるが、安い食事や服はあっても、安い借家というのはそうそうありません。生まれ育った地域に住み続けたいと思っても、それも不可能になっているのが現状です。また、家賃控除制度の創設は一極集中を助長するといいますが、それでは、家賃が高ければ一極集中が是正できるのでしょうか。その発想には根本的な誤りがあると言わざるを得ません。住宅取得促進税制と歩調を合わせる意味でも、生活大国への最も重要な要素である住宅問題への果敢なアプローチをなさるべきであります。可処分所得という点では、借家人も持ち家の人も同じではないのでしょうか。その意味で家賃控除を検討されるべきではないか。この点もあわせてお伺いしたい。
 第四に、懸案となっている消費税であります。
 逆進性、益税の欠陥を持つ消費税の取り扱いについては、両院の意思として合同協議会が設置され、付託されたはずであります。ところが、昨年の自民党の一方的な解散通告という非常に乱暴な手段によって、協議はできなくなってしまいました。国会の正式な機関として設置され、数を重ねて積み上げてきた協議会の論議を政府はなぜ尊重しないのか。自民党は早急に再開を行うべきではないでしょうか。
 また、我が党は、電気、ガス、水道の公共料金を初め、飲食料品について全段階非課税を実施するよう求めてきましたが、この点についても御見解をお伺いしたい。
 最後に、所得税減税について伺います。
 政府は、サラリーマンの重税感の解消を唱えておりますが、給与生活者は、名目賃金の上昇により、減税をしなければ物価、賃金の上昇分だけ実質的に増税となることは既に自明であります。政府は、特定支出控除制度を設け、この面で対応しているようでありますが、残念ながらこの制度の利用者は余りにも少ないのが実情です。
 物価上昇に対応し、雇用政策上からも所得税減税、パート減税が必要と思われます。この点について総理の御所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕

発言情報

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発言者: 東祥三

speaker_id: 22278

日付: 1992-02-25

院: 衆議院

会議名: 本会議