宮澤喜一の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 最初に、我が国の向かうべき進路というようなことについてお尋ねがございましたが、これは、いつぞやも申し上げておりますように、今大きな国際激動の中にあって、大変に大きな流れとしましては、平和を求める人類の願いが実現する方向に世界は進みつつあると認識しております。その中で我が国は、この流れの先頭に立って、自由と民主主義が尊重され、また、願わくば市場経済の原理に基づく繁栄が享受される国際社会を構築いたしたい、そのために貢献をすべきであると存じております。
 そして同時に、軍備管理・軍縮の促進、国連の機能強化、あるいは地域問題の解決、さらには地球環境、難民問題など、人類共通の課題にこのいわゆる平和の配当を向けてまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから、生活大国についてもお尋ねがございました。
 基本的な考え方としましては、とかく生産者が中心になりやすい行政の視点を、消費者あるいは生活者をより重視する方向へ、また、効率も大事でございますが、公正ということにも十分配慮しなければならない。また、労働時間の短縮、あるいは自由時間の活用によって、自分自身の価値観による生活のできるような、そういう人生のあり方、また、そのための社会資本の充実による生活環境の創造、女性が社会に働くということはもう当然のことでございますが、そのための条件整備を図る、あるいは、高齢者や障害者が、ただ長らえていただくということではなくて、社会のために貢献をして、生きがいを持って生きてくださる、そういう環境をつくってまいりたいと考えておりまして、たまたま今年は長期経済計画の改定の年でございますので、経済審議会に対しまして、そういう趣旨において計画をつくっていただくようにお願いをいたしておるところでございます。
 租税体系の関係についてお尋ねがございました。
 そういう中にあって、やはり租税というものは公平でなければならない、また経済活動に対して基本的には中立的でなければならぬ、あるいは簡素でなければならないというようなことが、その幾つかの原則であると思います。そういう中で、所得、消費、資産等に対する課税を適切に組み合わせるということであろうと思います。国民が社会共通の費用を広く公平に分かち合うためのものであるという基本的認識のもとに、国民が信頼できるような税体系の構築をいたさなければならないと思います。
 次に、今回の法人特別税の創設及び普通乗用自動車に係る消費税率の特例措置についてお尋ねがございました。
 従来の措置は失効するわけでございますが、その上で、法人特別税につきましても控除額を大きくいたしましたし、また、自動車の消費税につきましても特別税率を低くいたしました。その上で石油臨時特別税を失効いたさせましたので、従来に比較いたしますれば、現在の経済の基調に対してマイナスの影響を及ぼすものではない。それはそのとおりでございますけれども、できるならばこういう御負担もかけたくなかった、財政の実情から申して、まことにやむを得ない選択であったと考えておりまして、御理解をいただきたいと存じます。
 行政改革につきまして、昨年、行革審から提言を受けまして、昨年の末に来年度の行革大綱を決定いたしました。それを今後も着実に進めてまいりますが、同時に財政改革も、御承知のように増税を考える前に十分いたすべきことであって、来年度予算編成に当たりましても極力歳出の切り詰めを行いました。また、税収動向、財政事情は厳しゅうございますので、建設国債の発行を増額させることはやむを得たかったということとともに、今回の、先ほど申しました増税措置をやらしていただきました。やむを得なかった措置として御理解をいただきたいとお願いを申し上げます。
 それから、税法上のいわゆる引当金制度、これは、おっしゃいましたように法人税の所得変動を調整して、課税をならすと申しますか、合理的に計算するために設けられた制度でございますけれども、これにはいろいろな御指摘のような問題がございますから、必要に応じて実情に即した点検を常にやってまいる必要があると思います。
 それから、租税特別措置につきましても、これは確かに特定の政策目的を実現するために設ける措置でございますから、そういう意味では、公平とか中立とか簡素とかいう基本原則からいえば、これは変則になる、これはおっしゃるとおりだと思います。その上でなお政策目的を実現するためにいたすわけでございますから、常にその見直しかなければならない。原則に対してこれは変則であるということは常時考えておく必要があると思います。
 納税者番号制度につきまして、これは従来からいろいろ政府でも検討を続けておるところでございますけれども、プライバシーの問題、あるいはこういう制度を導入いたしますならば、国民がいろいろな煩わしさがある、それから費用等の問題もございます。その辺で国民の合意が得られるものであるかどうかということについて、なお十分に検討する必要があると思っておりまして、税制調査会の検討小委員会を再び開いていただきまして、検討をお願いをいたしておるところでございます。
 大都市圏を中心に地価の鎮静化傾向が強まりつつございますけれども、水準そのものは依然として高うございますから、総合的な土地対策をこれからも推進していく必要があるという認識でございます。
 それから、小規模宅地の特例の拡充ということを今度もいたしました。つまり、大都市にございます、親から受け継ぎました小さな、いわば猫の額のような土地、住宅地でありましても商業地でありましても、これが実は大変な評価を受けてしまうという問題が今おっしゃっているところでございます。ですから、これについては評価の特例をいたしました。かなり思い切った特例を設けておりますので、この辺が限度ではないかというふうに考えております。
 それから、税制に絡みました地価対策でございますが、土地基本法を踏まえまして、平成三年度改正において土地税制全般にわたる総合的な見直しを行いました。その中で、いわば土地を資産として持っておることが税制上得である、有利であるというようなことを何とかないようにいたしたいということから、地価税の導入あるいは土地譲渡益課税の見直し、農地課税の見直し等をいたしたところでございます。
 それから、地価税収の使い方についてでございますけれども、これは土地対策に資するという観点から使えということで、創設時の趣旨にかんがみまして、歳出面においてそのような配慮をいたしたところでございます。
 それから、家賃が控除できないかということでございますが、家賃は生計費の一つである、食費や被服費と同じであるという意味で、これだけを所得から控除するということは、税制の面からいろいろ問題があるのではないかというふうに考えます。
 それから、消費税につきまして、両院合同協議会で昨年十月、議がまとまらなかったということで、それに基づきまして改正をいたしました。ただいまとしては、その円滑な定着に努めておるところでございます。
 それから、所得税・パート減税でございますけれども、先般の大税制改正におきまして、税率構造の累進の緩和、基礎控除の引き上げ、配偶者特別控除の創設など、基本的な所得税の改正をいたしました。中低所得者層を中心とした重税感、負担の累増感が大幅に緩和されて現在に及んでおると思います。パート所得につきましては、配偶者特別控除の創設、拡充、非課税限度は百万円ということで、これは、これ以上非課税限度を引き上げますと、税負担の公平の面から問題があるというのが専門家の意見のように存じます。
 以上でございます。(拍手)
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発言情報

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発言者: 宮澤喜一

speaker_id: 13804

日付: 1992-02-25

院: 衆議院

会議名: 本会議