柳田稔の発言 (本会議)
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○柳田稔君 私は、民社党を代表して、ただいま提案のありました税制三法案について、総理及び大蔵大臣に質問を行うものであります。
まず、一連の増税措置についてお尋ねいたします。
景気後退、バブル経済崩壊により、大幅な歳入欠陥が続く状況となり、宮澤内閣は、湾岸協力のための法人税増税及び普通・小型乗用車の消費税の割り増し税率の事実上の延長だと、増税を決定しましたが、安易な措置と批判せざるを得ません。我々は、五つの点で問題があると考えます。
第一に、行政改革に着手することなく、国民にツケを回しているということであります。各界の有識者から成る行革国民会議は、自民党政府の行革について、百点満点中二十六点という低い点数をつけています。国鉄、電電公社、専売公社の民営化はよしとして、補助金行政の抜本的見直し、中央省庁の整理統廃合、地方分権確立、国家公務員定数の大幅削減など、本来の行革がきちんと行われていないことはだれの目にも明らかであります。
第二に、増収対策のみに終始し、理念、哲学がないことであります。突然、国際貢献税構想を打ち出し、批判を受けるとすぐ撤回するようなやり方は、こそくきわまりないと言えます。国際貢献は、国民全体が二十一世紀に向けて背負う課題ですが、この口実で増税を行うことには反対です。一たび国際貢献のお題目が立ては、中身を問わず歳出が膨張し、そのための安直な増税が正当化されるおそれがあり、環境や福祉の名においてもいたずらな増税を認めることにつながります。
第三に、今年度限りで撤廃する増税を継続するなど、公約違反を犯していることであります。昭和六十三年十二月十五日、水野主税局長は、自家用自動車の消費税割り増し税率について、極めて例外的に経過措置として導入したと答弁しています。また、平成三年二月二十六日、橋本大蔵大臣は趣旨説明において、「湾岸平和基金に対する新たな九十億ドルの拠出のための財源措置につきましてはこ「一年限りの税制上の措置」だと明言しています。
第四に、増税は、減速する景気をさらに悪化させるおそれがあることです。内需を中心に堅調な拡大を続けてきた我が国経済は、下降局面に直面しています。政府は、実体経済の真っただ中にある勤労者や経営者の声を無視して、景気は拡大基調にあるとの解釈をとり続けてきました。一月二十八日の月例報告でも、日本経済は調整過程にあるとして、非現実的な分析を続けています。厳しい経済情勢のもとで増税を行えば、大不況が訪れ、深刻な歳入欠陥が生じることは火を見るより明らかであります。
第五に、消費税を導入し、間接税をふやせば、景気に左右されない安定した税収が確保できるとの政府のこれまでのレトリックが正しくなかったことであります。経済が減速し、平成三年度、四年度はそれぞれ二兆八千億円、六兆円もの歳入欠陥が生じる見通しとなったことを、主税当局はどう説明されるのでしょうか。
以上の諸点にかんがみ、政府は増税策を撤回すべきと考えますが、宮澤総理及び羽田大蔵大臣に約束をしていただきたい。
次に、消費税率引き上げと行財政改革についてお尋ねいたします。
政府・与党の首脳がたびたび消費税率の引き上げに触れています。宮澤総理は今月十九日、経済か順調に成長するように運営し、税収を回復することが一番大事だ、消費税率を上げるのは経済政策として下の下だと答弁されておりますが、消費税率は引き上げないと言明しなかったことについては不満でございます。また、羽田大蔵大臣が昨年の十二月三日の参議院大蔵委員会で、私の在任中に税率を上げないと言えない立場を理解してほしいとの発言は、税率引き上げを容認したものと受け取らざるを得ません。
昭和六十三年十一月十六日、消費税関連法審議に際する徹夜の交渉で、自民党、民社党両党は、行財政改革を強力に推進し、消費税率は極力その維持を図るよう努めるとの合意を交わしました。一体この約束はどこへ行ってしまったのでしょうか。行財政改革を推進し、消費税率は絶対に引き上げないと政府は公約すべきです。我が党との合意を誠実に守るのか、これをほごにするのか、宮澤総理及び羽田大蔵大臣の選択肢を示していただきたいと思います。
さらに、宮澤内閣は、新たな行財政改革計画の策定、実施を急ぐべきだと考えます。
一月二十九日の我が党の大内委員長の代表質問に対しても、総理は何一つ具体的な中身を示していません。我々は以下に五つの行革の哲学を示します。
一つは、明治以来の旧態依然とした中央集権体制を覆し、国の行政権を外交、防衛、社会保障等に絞り、第二交付税など地方の自主財源を確立した上で、その他はすべて地方に委譲すること。二つは、環境、消費生活向上など総合調整機能を強化すること。三つは、行政の民間企業に対する業務を公正、透明なルールづくりとその環境整備のみに限定し、行政指導は廃止すること。四つは、公務員採用制度を根底から見直し、いわゆる純血主義を排し、民間企業など外部からの登用を進めること。五つは、国会の立法能力を強化し、国民のニーズを反映できる議員立法中心の体制を確立することであります。
以上の諸点に基づいて、政府は新しい行革五カ年計画を策定、実施すべきだと考えますが、五つの提案それぞれについて具体的にどう対応するのか、詳細なる答弁を総理に求めます。
当然、平成四年度予算案においても可能な限り歳出削減を行うべきだと考えます。三年度予算においては、湾岸協力のために予備費の二千億円の減額など歳出をカットしましたが、四年度も同様の措置をとるべきだと考えます。さらに、不要不急の経費を切り詰め、政府保有の土地、株式を売却すれば、大幅な財源調達が十分可能であり、増税は全く必要なしと考えますが、総理、大蔵大臣の御所見を求めます。
次に、相続税減税等についてお尋ねします。
地価高騰や土地評価額引き上げに対処するため、基礎控除の引き上げや税率調整を行うことは当然であります。特に、後継者不足に悩む中小事業者のため手厚い配慮が必要です。しかし、政府提案の減税は基本的に数字のつじつま合わせにすぎず、中小企業の事業継承の円滑化に資するものではありません。我が国経済を支える中小企業の育成は、日本の将来にとっても重要な政策であります。
民社党は、取引相場のない株式の評価方法の改善や、個人事業者が事業土地等の生前一括贈与をする場合、贈与税納税猶予制度を創設する等、本来の中小企業承継税制の確立を求めるものでありますが、政府はこれにどう対処するのか。総理、大蔵大臣の見解を明らかにされたいと思います。
さらに、我々の提案に応じて青色申告特別控除制度三十五万円の創設が政府案に盛り込まれたことは一歩前進と評価しますが、さらなる引き上はを求めます。これについても御答弁を承りたいと存じます。
最後に、所得税減税等についてお尋ねします。
ことしから新土地保有税である地価税が実施されました。この税収を減税や土地対策に充てるよう与野党で合意しましたが、宮澤内閣はこの約束を踏みにじり、一般財源としました。地価税収は、サラリーマン対策として、毎月十万円まで住宅家賃を所得控除する制度を創設すること、パート、内職の非課税限度額を百五十万円に引き上げること等に充てるべきだと考えます。
以上の減税にどう取り組むか、総理、大蔵大臣の答弁を求めます。
ところで、宮澤総理は、家賃だけをなぜ控除するのか理由づけができないと述べておりますが、持ち家世帯にはローン残高を税額控除する制度があります。なぜ借家世帯には減税の恩典を与えないのか。総理の言う生活大国とは、賃貸住宅で生活する人には認められないものなのか、あわせて答弁をいただきたい。
また、近年、資産格差の拡大や、家柄、生まれによる階層の固定化が顕著になっています。日本国憲法第二十七条は、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」とうたっています。額に汗して働く勤労者の生活は、日本の経済力に照らしてみれば、まことに貧しいものと言わなければなりません。共和など一連の事件は、懸命に働く勤労者の怒りを呼んでおります。今、バブル経済が崩壊し、投機や財テクに走った人たちに審判が下されようとしています。
まじめに物づくりやサービス提供にいそしむ人たちが豊かな生活を送れるような基盤をつくることこそが、生活先進国や総理の掲げる生活大国の基盤であり、税制改革においてもこの理念を貫くべきだと考えます。このため、国民のプライバシー尊重や合意形成に配慮しつつ、納税者番号制度を導入し、株式売却益、利子配当所得も含めた総合課税体制を確立すべきだと考えます。この点については与野党で合意を交わしており、遅くとも平成五年度の税制改正に盛り込むべきだと考えます。
さらに、不公平と国民から指摘されている項目は洗いざらい議論し、必要な施策を講じるべきであります。当面、貸倒引当金の圧縮、受取配当益金不算入割合の圧縮などから進めていくべきだと考えます。
以上の諸点について、総理及び大蔵大臣の答弁を求めて、質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕