野坂浩賢の発言 (本会議)
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○野坂浩賢君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成四年度予算三案に対する反対の討論を行うものであります。(拍手)
今日の内外情勢は、第二次大戦後の世界を規定してきた米ソ対立が、ソ連の崩壊という衝撃的な出来事に伴って崩れ去り、歴史的転換期の様相を明確に示しておるのであります。冷戦構造は終えんし、体制間対立から協調へと、時代の流れは大きく変化したのであります。こうして平和な世界への期待が膨らむ一方、地域的、国内的な民族対立を要因とした紛争の続発、経済摩擦の深刻化やブロック化への傾斜といった困難な事態に直面しておるのであります。
また国内を見ましても、自民党一党支配が続いてきた戦後政治の限界性は、リクルート事件、証券・金融不祥事、そして今回の共和・佐川問題に示されておるのであります。参議院補欠選挙での自民党候補の連敗は、政府・自民党に対する国民の不信の表明であると言わなければなりません。(拍手)経済情勢も、単なる循環による景気後退にとどまらず、バブル経済破綻に伴う一種の混迷期に差しかかっていると言えると思うのであります。
この歴史的な変動期にあって宮澤政権は、その初めての政府の顔と言われる予算案において、どのような顔をあらわすのか、国民の注目を集めてまいったところであります。しかし予算案においては、国際貢献、軍縮・平和の推進、景気後退への対策、生活大国の実現、高齢化社会への対応など山積する諸課題のどれをとってみても、宮澤色は鮮明に打ち出されていないのであります。国民は今、失望感をあらわにし、支持率の低下が端的にそれを物語っておるのであります。(拍手)
したがいまして、私どもは、予算審議の過程で予算案の問題点を指摘し、追及をしてまいりました。また、生活重視、国際協力推進の観点を重視して、実現可能で必要最小限の予算修正を。野党四党共同で要求したのであります。その幾つかについて若干の回答があったものの、予算案が修正されなかったのは極めて遺憾とするところであります。政府は、予備費、補正予算などによって適切に対処、対応するように、この際、強く求めておきたいと思うのであります。
さて、予算案に反対する理由を順次申し述べさせていただきます。
その第一は、現在の景気後退に対処できる予算案ではないということであります。
最近、自民党・政府首脳や財界からは、予算を早期に成立させ、公共事業の前倒し発注が景気対策上必要であると再三にわたって指摘されております。しかし、公共事業を早期に執行すれ借景気対策にたると発想すること自体、旧態依然たるものがあります。むしろ景気対策の観点から申しましても、生活重視の観点から要求した私どもの予算修正要求を大胆に受け入れるべきだったと言わなければなりません。景気対策の面でも、中身の薄い予算案をそのままにして、公共事業を前倒しをすれば景気が高揚するといったような考えは、いかにも場当たり的であり、選挙目当てであると言わなければなりません。
一般会計の予算総額は、七十二兆二千百八十億円と九一年度当初予算に比べ二・七%増の低い伸びで、国債費や地方交付税交付金を一般会計歳出から除いた国の政策経費である一般歳出も、三十八兆六千九百八十八億円で同じく四・五%伸びているのにすぎません。いずれも政府の経済見通しにおける名目経済成長率の伸びを下回っておるのであります。これだけを見ても、景気対策、内需中心の成長への効果は小さいものであると言わなければなりません。
その反対理由の第二、生活重視への転換が不十分であるということを挙げなければならぬと思うのであります。
今、貿易摩擦への根本的な対処策として、また国内的な要請からも生活大国が言われており、生活重視への政策全般にわたる転換が今急務なのであります。
その観点から一般公共事業を見ると、住宅対策や下水道の伸び率が若干高くなっておりますが、その点では、生活重視は配慮されておるというふうにも考えられます。しかし、これは微々たるものであります。従来の固定した予算の配分から転換したとは到底言えないのであります。社会資本整備計画の達成を建前とした公共投資充実臨時特別枠も、一般公共事業や従来の予算枠の配分の枠内の量的な増額にすぎないのではありませんか。
また、生活関連特別粋の二千億円も、農村漁村整備、道路整備、ごみ処理施設などに配分される比率でありますが、今回は特に環境衛生、治山の伸び率の増加が目立ってはおりますが、総額自体が一般公共事業に比較して小さく、公共事業全体の転換に結びついてはいないのであります。
次に、国民生活に深くかかわります社会保障関係費は、総額十二兆七千三百七十四億円、対前年度比五千二百四十六億円の増であります。伸び率四・三、政管健保の補助率の引き下げや国民健康保険の事務費への国庫負担削減などのために、近年になく抑制をされておるのであります。今、一般歳出の伸び率を下回ったものでありますが、その中で、ホームヘルパー等、在宅福祉政策というものが特徴的に出ておりますが、在宅福祉中心の福祉政策、いわゆる高齢化対策には、国の負担の軽減のねらいというものが明らかにされようとしております。この状態は、家族の負担がふえかねないこと、地域格差や個人格差が拡大する可能性があることなど、検討を要する問題が出てきたと言わたければなりません。何よりも、予算抑制を目的化するような態度は改めるべきであるということを申し上げておきます。
第三に、安易な増税が行われようとしているということであります。
政府は九二年度予算案を、まず増税ありきで編成したのであります。公約に違反して法人臨時特別税などを実質的に延長、地方交付税の減額や、税の公平を確保するためという意味で、普通乗用自動車の暫定的な消費税率の適用などを延長するのであればまだしも、税収確保のみを目的とした場当たり的な対応は問題と言わなければなりません。(拍手)
また、予算編成の最終段階で突如浮上した国際貢献税構想は、その構想全体の不明瞭性、使途と税目の関連性の欠如など多くの重大な欠陥があり、結局は放棄されましたが、一般的な増税に対する批判をかわすために、国際貢献という美名を持ち出してきたとしか思えないものであったのであります。(拍手)バブル経済崩壊後の税収確保策として、国際貢献税構想が今後浮上するのではないかと危惧されておるのであります。
消費税については、飲食料品非課税化など緊急に、早急に是正を実施すべきであり、税率引き上げ等は断じて我々は容認いたしません。(拍手)
反対理由の第四は、防衛費が増額されているということであります。
防衛関係費は、総額四兆五千五百十八億円と、対前年度比千六百五十八億円増となっております。政府は、最近の国際情勢を踏まえ、抑制したと強調しておりますけれども、米ソ間の核軍縮を初めとした大胆な軍縮の進展、米ソなどでの軍事費の大幅削減等という国際環境を踏まえれば、防衛費をふやすこと自体が問題なのであります。それもだ、新多連装ロケットシステムや新八十一ミリ迫撃砲、その他、米国では製造中止になったAWACSの調査費の計上までもやっておるということについては、極めて問題があると思うのであります。
防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画の見直しに早急に着手し、軍縮計画を明らかにするとともに、来年度についても防衛費の大胆な削減に取り組むべきでありました。軍縮を何とか回避するかのような態度は、近隣諸国の不信を買うだけであり、早急に軍備費を下方修正するよう、この際、強く求めておきたいと思うのであります。(拍手)
以上、指摘しましたように、予算案は、歴史的転換期にあって、我が国が、そして世界が直面する諸課題に適切に対応できているとは到底言えないのであります。諸君、今求められているのは、国民の期待にこたえられる政治のリーダーシップであります。
にもかかわらず、政治への不信は、今回の共和・佐川問題などによって決定的な段階を迎えており、特に参議院補欠選挙に示されたように、自民党政治に対して厳しい審判が下されておるのであります。(拍手)このような状態では、歴史的な課題への対処などできるはずがありません。政治への国民の信頼を回復することが急務であり、そのためには、疑惑の全容の徹底的な究明と政治責任の明確化が不可欠であり、そして政治腐敗防止制度の確立が求められておるのであります。そのため、皆さん、国会の権威と誇りを保つためにも政治家の疑惑を究明し、政治責任を明らかにする必要があり、そのために証人喚問などを要求し続けてきたのであります。しかし、いまだにリクルート事件の政治責任、総理、あなたの問題である。共和・佐川問題の全容など、残念ながら明らかになったとは言えないのであります。
最後に私は申し上げたい。今後とも政治不信の払拭に向け疑惑の解明、政治責任の明確化、政治腐敗の根絶に私どもは手を緩めることなく全力で取り組んでまいるということをここに改めて決意表明をし、証人喚問の実現を必ず図っていかなければならぬと思うのであります。(拍手)これに対して、政府・自民党は逃げることなく積極的な対応を求め、私の討論を終わる次第であります。(拍手)