中山正暉の発言 (本会議)

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○中山正暉君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております平成四年度予算三案に対し、賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 政府原案に賛成する主な理由を申し述べる前に、この際、予算の審議について一言申し上げたいと思います。
 平成四年度予算の審議は、共和問題に端を発した証人喚問要求取り扱いについて、二週間にも及ぶ審議の中断を見たわけであります。
 もとより、我が党としても、共和問題等政治倫理の確立については極めて重要な問題であるとの認識において、いささかも野党に異なるものではありません。私どもは、誠心誠意それを実行しました。しかしながら、平成四年度予算の成立は、我が国の経済の先行きにとって極めて重要であること、また、国民生活に及ぼす影響を考えますと、その早期成立に全力を傾注することが最も必要なことであり、政治倫理の確立に関する問題は、予算審議と並行して、その議論を進めていくべきであると主張をいたしました。審議の停滞は、国政の停滞につながり、国民の信頼を失うばかりか国際的にも信用を失墜させるものであり、得策とは申せません。世界の冷戦構造すら解消されようとすると言われるとき、日本の責任を果たすためにも、まず国会運営に政治改革を実践し、国家、国民の利益に合致する予算審議のあり方について、今後十分な改善がなされることを心から期待をいたすものでございます。(拍手)
 平成四年度予算は、現下の厳しい財政事情の中で、既存の制度、施策の見直しを行い、経費の徹底した節減合理化に努めるとともに、着実な社会資本の整備など、時代の要請に応じた重点的、効率的な配分が行われ、百七十四兆円に及ぶ公債残高も国民の貯蓄という底力に支えられて、現状において可能な最良、最善の予算であると考えるものであります。(拍手)
 まず現在、我が国が取り組むべき喫緊の課題として、国内的には、高齢化社会を念頭に置きつつ、国民が豊かさとゆとりを実感する、いわゆる生活大国の実現であり、対外的には、国際社会における増大する責任の重大さにこたえ、米国を初め各国との協調を図り、冷戦後の新しい平和秩序の構築にも参画し、世界の平和と発展に積極的に参加して貢献していくことでございます。
 かかる展望のもとに、以下、政府原案に対する主な賛成の理由を申し上げます。
 まず、賛成の第一の理由は、公共投資の拡充等、景気に配慮した予算となっていることであります。
 我が国の景気は、過熱ぎみであった高い成長から、雇用の均衡を維持してインフレなき持続性豊かな成長経済に移行する過程にあって、やや減速ぎみではありますが、引き続き底がたさを堅持しております。しかしながら、在庫調整の本格化など生産活動は抑制傾向にあり、企業家間には、不景気感が浸透しつつあります。
 このため、これ以上の減速が強まることは、我が国のみならず、国際経済にとっても好ましいことではなく、景気に十分配慮した施策が必要であります。
 平成四年予算は、生活を重視した社会資本の整備に重点を置くなど、公共事業関係費の拡充を図り、一般会計、財政投融資等において、景気の着実な拡大を持続させるに十分な公共投資の伸びを確保しております。
 限られた財源の中で、景気の波及効果の高い公共投資の拡充により、社会資本の整備を進めることは、西欧諸国に比べ社会資本のおくれている我が国にとって、極めて妥当な措置であり、公共投資基本計画の着実な実施に資するとともに、景気対策としてまことに時宜を得た最善の措置であると高く評価するものであります。(拍手)
 賛成の第二の理由は、生活に直結した施策の推進を図り、社会保障関係費の充実等、国民生活の質的向上を目指した予算となっていることであります。
 来るべき二十一世紀に向けて活力ある福祉社会の形成を目指し、高齢化対策の一環として、政府が策定いたしました「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、いわゆるゴールドプランは、本年で三年目を迎えることになるわけであります。本年も、ホームヘルパーの大幅な増員、特別養護老人ホームの緊急整備等の措置を講じるたど、老後を安心して送れる社会の実現に向け、その施策を着実に推進しております。
 また、医療面においても、ナースセンターの創設等福祉人材の確保に努めるなど、国民医療のための環境整備が着実に推進されていることは、極めて適切な措置と言えるのであります。
 中小企業対策費については、昭和五十六年以来十一年ぶりの高い伸びを確保し、厳しい財政事情下ではありますが、充実したものとなっており、とりわけ、中小企業集積活性化施策、中小企業物流効率化施策、そして、魅力ある商店街・商業集積づくり、中小企業の人手不足対策、小規模企業対策等、豊かな内容の予算案となっております。このほか、高等教育・学術研究の充実、私学助成、下水道の整備等農村社会の基盤整備、整備新幹線の建設等々、国民生活に密接に関連した施策についてもきめ細かく、めり張りのきいた予算措置が講じられており、この点についても高く評価をするものであります。
 賛成する第三の理由は、国際貢献を積極的に推進する意欲あふれるものを感じさせることであります。
 世界は今、ソ連邦の崩壊から、大規模な核戦争さえ予想された冷戦の時代が終わり、新たな世界平和秩序の構築のために軍縮政策の推進が声高に希求されています。しかしながら一方では、強大な軍事力を誇っていた旧ソ連の解体により誕生したロシアほか各共和国への分散か統一軍事組織の形成かば依然として不透明であり、旧ソ連支配下の東欧諸国、多民族国家の内紛等、不確実性を強める微妙な要因も存在しております。
 旧ソ連領内に保有されていると言われる二万四千発とも二万七千発ともされている核弾頭についても不安材料は後を絶たず、解体の技術すら確立されていない核弾頭の存在が世界における悩みの最たるものとなっております。韓国に北方四島周辺の漁業権を認めるなど、不可解なロシアの方針を一刻も早く解消して、領土問題を解決し、CIS支援に着手、完全な自由化達成を支援することも我が国の務めの一つであります。
 また、日米関係は、特に重要であり、我が国外交の基軸として、ますますその緊密性を高める必要性がありますが、日米構造協議、ガット・ウルグアイ・ラウンドでの米市場開放要求に見られるように、解決しなければならない問題を抱えております。十一日に大蔵省から発表された二月分貿易統計では、対米黒字が二九・二%も増大し、輸入が六・八%減り、輸出は七%増加しております。特に、自動車問題については過去を思い起こす必要があります。それは、一九六五年までガット十四条により、戦後特別経過処置として米国が自動車の対日輸出を規制してくれたからこそ日本の自動車産業の現在があるわけで、敗戦国日本に対しての米国の配慮は肝に銘ずるべきであり、嫌米、反米、侮米と不思議な耳なれぬ言葉が横行するのであれば、我々は、米国に感謝をするという意味で、謝米という言葉を改めて呈すべきであると思います。(拍手)
 自動車は世界一でも、日本は航空機の生産をいたしておりません。YS11は昭和四十七年で生産が停止されたままであり、米国製の飛行機により日本の空域を守るため自衛隊はその任務についていることを銘記すべきです。海軍力においては、米ソ対立の時代が厳然と存在すると言われております。
 我々の先輩が知恵で結んだ日米安保条約第一条の後段には、「他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。」と、まさに現在に指針を示し、第二条後段には、「国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」とあり、先人の先見性に改めて敬意を表す次第であります。(拍手)
 日米両国がその協力関係を深め、世界的課題に対処していくことは、我が国が真の国際国家としてその責任と役割を果たすためには、積極的に発言し、行動をすることが極めて重要であります。平成四年度の政府開発援助予算は、量的に、国際公約である第四次中期目標の最終年として、その達成に十分な規模を確保するとともに、質的にも、返済義務のない無償援助の増額や技術協力の充実等が図られております。
 また、開発途上国への援助以外でも、地球サミットの推進等地球環境保全への協力・画興和維持活動支援強化拠出金等国際貢献のための予算が計上されており、国際社会への貢献を最重要課題とする我が国の姿勢を内外に示したものとして高く評価をいたすものであります。
 賛成の第四の理由は、節度ある防衛予算が計上されていることであります。
 平成四年度の防衛予算は、平成二年に策定した中期防衛力整備計画を踏まえ、最近の国際情勢をも勘案し、効率的で節度ある防衛力の整備に努めております。防衛関係費の総額は、前年度当初予算に比べ三・八%の伸びとされています。三・八%の増加のうち、ほとんどが四年度以前に契約したものの支出である歳出化経費と隊員の給与、そして食事となる人件糧食費のいわゆる後方の充実を図ったことによるもので、艦艇、航空機などの調達に充てられる正面経費は二年連続で削減されており、一段落した冷戦時代後の国際情勢を反映した妥当な規模と思われることであります。
 しかしながら、百十一万の兵力と、朝鮮語でノドン(労働)と呼ばれる千キロ射程のスカッドミサイルDを開発、九〇年六月には日本海で実験発射し、現在話題の中心となっている中東向けミサイルを運搬中の北朝鮮を初め、中国、韓国、ASEAN諸国は国防費を増加させるなど、むしろ軍事力の強化の方向にあります。
 いずれにしても、新しい日本の安全保障体制はいかにあるべきかを根本から検討するため、私ども自由民主党は政調会に懇談会を設置して、適切な規模の防衛力を保有し、いかなる侵略にも対応し得る防衛体制を構成し、侵略を未然に防止するという防衛計画の大綱に沿った整備に万全を期したいと思っております。(拍手)
 この際、皆様方に、国力を考える必要がある。国力とは、総合的な力として領土、人口と経済力と防衛力に国家としての政策を確立し、それを継続する強い意志を持つことだとされています。
 そのことを強調し、予算が良識の府としての参議院を通過するについても、その通過の一日も早からんことをこいねがい、賛成討論といたします。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 中山正暉

speaker_id: 32328

日付: 1992-03-13

院: 衆議院

会議名: 本会議